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Desire Verse Online Next ~悪童と呼ばれた剣神、次の世界では悪目立ちせずに過ごしたい~  作者: 廿楽
第二章 『アフター・グロー』

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第27話 エタニティの用事

「神の言葉……当代のという発言……私1人で抱えるには重たすぎます!」


「えーと、あの、ごめんなさい……」


「謝らないでください。神様の魂を継ぐ冒険者たちなんて、前代未聞過ぎて私はどう対応していいものか困っているのです」


「ほら、セツナくんも謝って」


「いや、なんかこう、大変申し訳ない?」


「巻き込まれて謝るかどうか微妙なラインなのを、疑問符を付けることで表明しないでください……」


「お労しやシスターさん……真面目に職務を果たしていただけなのに」



 シスター・イルマは顔を真っ青にして項垂(うなだ)れている。自分がメインに信仰していないとはいえ、神様直々に(たしな)められたのだ。無理もない。

 そのついでに神様直々に俺も魂を継いでいることをバラされた。理不尽過ぎる。



「セツナくん、()()『剣神』だったんだね……意外も意外」


「……予想は出来てるんだけど、どういう風に俺のことを聞いてる?」


「えと、更生した害悪PK常習犯?」


「返す言葉もありません……」


「まあ控えめに言って、その時期のお兄様はカスでしたからね」


「全くもってその通りです……」



 俺の黒歴史をリアルの知人に知られるのは、何気に初なのでダメージが大きい。

 不意打ち上等、闇討ち上等、毒殺謀殺何でもござれの『悪童』時代。

 人の噂も75日という言葉があるが、その程度では風化しない悪名。

 実際『四神連合』に入った後からサービス終了に至るまで、何度となくほかプレイヤーたちから闇討ちされかけていたのだから。



「そんなへこまなくても。普段の言動からしてセツナくんすごく良い人だし、本当にそんな酷いプレイヤーだったってことに驚いただけだから」


「そこに関しては銀星ギンセイとシンシアお二方の尽力の賜物です。だからお兄様はあの2人には絶対に頭が上がらないんですよ」


「事実だけど、妹が欠片も情報公開に容赦がない」


「わたくしは別にお兄様の全肯定妹ではありませんから。取り返しがつく段階で、直すべきところは直すべきです」



 当たり前のように会話を続けていたが、その内にユークリッドがエタニティをじっと見ていることに気付く。


 今更気付いたが、彼女の視点でのエタニティは、知人との待ち合わせ場所に何故かいる知らないプレイヤーなのだ。



「ところでキミはどなた? セツナくんの妹さん?」


「ええ。わたくし、エタニティ・アサルトバスターと申します。噂はかねがね伺っておりますよ、『巡礼の聖女』さん」


「エタニティ……ああ、決闘ランカーの! 最終順位は4位だっけ?」


「トップ3人は文字通り異次元でしたからね。非才の身ではそこが限界です」


「その非才の身に手も足も出ない兄に言うことはないのか」


「お兄様はこう言ってはなんですが、正面切っての戦闘は苦手ですから」


「悪かったな……」



 立ち居振る舞いは改めたものの、今でも俺の戦闘スタイルに合致しているのは、『悪童』時代のものだと思っている。

 徹底的に相手の思う動きをさせず、選択肢を奪い、そこから詰ませる。

 ゼルギオス戦の立ち回りは見栄えは良かったが、実際の所はこちらの選択肢を奪われ続け、バグに近い挙動で針の孔を通すような勝利。本領とは程遠い。

 サンダーバード戦では、比較的理想的な立ち回りが出来た気がする。そもそもそこに至るまでに、役立たずだったことの方が問題ではあるが。



「まあその話は置いておこう、俺の精神が削れる。ユークリッド、待ち合わせ場所はここで大丈夫だったか?」


「うん、中央広場は人込みが凄くてね。急に色々な人に話しかけられて面食らっちゃった。ここは静かでいい」


「街でも北の外れですからね。2日目からここに用事があるプレイヤーも、そうそうはいないでしょうから。5年が経過していても、人気に陰りはないようですね、『巡礼の聖女』さんは」


「ユークリッドでいいよぉ。聖女サマなんてガラじゃないし。ぼくも、キミのことはエタニティと呼ばせて貰うね」


「ええ。どうぞよろしくお願いいたします。ユークリッドさん」


「さんも要らないんだけどなぁ。まあいいか、よろしくねエタニティ」



 ユークリッドが笑顔で差し出した手を、エタニティが一瞬の間の後に取る。

 この時点で何となく察する。興市(おきし)永久(とわ)が苦手とするタイプだ。

 距離の詰め方の早さ、裏表のなさそうな善性、そして何より女性。

 


「……ところでお兄様。私の用事を手伝ってくれるという約束ですが」


「そんなこと言ってたな……どんな用事だ」


「はい、端的に言えばクエストなんですけれど」


「ぼくも特段やることもないし、手伝ってもいいかな?」


「ええと……そうですね、戦力は多いに越したことはありません。ユークリッドさんの現状の力量としてはどのくらいなのでしょうか」


「人間で、魔術師(ウィザード)僧侶(クレリック)。スキルは現状は初級魔法と神聖術。……残光スキルは、セツナくんも持ってるなら隠さないでもいいかな?」



 ユークリッドが『癒神の残光』のスキル説明欄を見せてくれる。

 1つ、デザバス時代の氷魔法を上級まで、神聖術の奥義までをアンロック。

 2つ、靴系の装備品の耐久値減少の無効化。

 3つ、信仰値の奉納時ボーナス。


 こうやって見るとゼルギオス眷属神の残光って手抜きじゃないだろうか。

 ふぉーりなーにせよ、ユークリッドにせよ、本人の功績、エピソードが強く残光スキルに反映されている気がする。特に2つ目の靴耐久無限。



「神に至ったプレイヤーの継続ボーナスとは凄い物なのですね……。これならわたくしも、ゼルギオスを打倒しておくべきでしたか」


「本当にできそうなのはやめろ」


「一応ここゼルギオス神殿だからね? シスターさんも今ぶつぶつ呟いて1人の世界に入ってるけど、横にいるからね?」



 シスターに聞かれなくて本当に良かった。いくらぶっ壊れスキルを持っていようが、ステータスで言えばひよっこ同然の俺たちである。

 レベル70の推定上級神官(アークプリースト)を相手にしたら文字通り秒殺される。



「で、ユークリッドの情報は分かった。戦力として申し分はないと思う。だからそろそろ本題のクエストの内容を聞きたい」


「……クエスト名は『集いし星』。ダンジョン探索。参加上限は1パーティ」


「あ、今回もあるんだそのクエスト。確かそこの報酬って――」



『ギルドクリスタル』。それはデザバス時代にも存在したキーアイテムのひとつ。

 プレイヤーズギルドを設立するためのアイテムである。

 

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