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第五十七話 敵の本拠地ぶっ壊しスペシャル

ボロ屋敷のアジタートの元へ向かって行った

「開けろ、反逆者だ!」

フーガが声を荒げてカノンが施錠されたドアをガタガタと揺らしている。

「おいアジタート! 狼の獣人アジタートこっちへ出てこい! アジタートぉ!」

フーガは石をそのへんから拾い上げてドアへ投げごつんとぶつけ、もう一度叫ぶ。

「おらぁ出てこいぃ!!!」

声と振動は、出来の悪い建物をよく揺らす。3階ではアジタートがその音に呼応するように床にコツコツと足の爪を床へ打ちつけていた。

「……うるっせぇなマジで……」

アジタートは鋭く、取り巻きの狼の獣人たちすべてを見る。

「お前ら、潰して来い。俺を挑発したことを後悔させてやれ」

打ち付ける振動と声が響く中、狼の獣人たちはその音の根元へと近づいて行く。脚を組み、背もたれにもたれかかるアジタート。唸り声に近いため息を吐き出し、待たせた分どんな罰を与えてやとうかとじっと待つ。うるさい音がピタッと止まる。そこまでのたった数十秒がアジタートを苛立たせた。足の爪をカツカツと鳴らして説教の文言を巡らせる。十秒。二十秒。三十秒。一分。爪と床の音が次第に大きくなる。とりわけ頭の良い獣人を集めたというのに、なぜこの程度も早く済ませることができないのかと深いため息を吐く。下の階が焦げくさい臭いを発している。


「あ。部下? アジタートの」

「そうっすよー」

狼の獣人たちが下へ降りて2体の反逆者と邂逅したとき、それは軽い自己紹介から始まった。

「やー大変っすよホント。バカの上司でも本能のせいで上に逆らいにくいし」

「獣人ってのも大変なんだな」

「だからまあどこかで理由つけて逃げちゃおっかなーなんて思っちゃったりしまして」

始末しろという指示を受けた後とは思えないような談笑を数分。

「じゃあー、俺たちなんか手伝います?」

「うーん、なんかこう、情報。どこそこを刺激すると気絶するよみたいな、アレ」

フーガはあまりにも曖昧で適当な注文をしたが、狼の獣人の1体が言った。

「狼の獣人は群れで行動をする。1体じゃ強さを発揮しない」

それを皮切りにあれこれ言葉が出てくる。

「で、近くにいた部下は俺たちだけ。十分やれるってことだよー」

「あと戦闘のセンスは結構低い方だよ。圧政と金で上がってきたタイプだし」

「あと予想外のことが起こると本当にテンパりますよ」

「それから……」

半分文句のようにあれこれ弱点やら隙やらの話が出てくる。

「わかった、大丈夫よしわかった。もう大丈夫。予想外のことに弱いのもいびきがうるさいのもわかった」

「じゃあぼくらは頑張ってここなんとかしますけど……」

少し静寂。

「……じゃあみなさん、ご達者で。解散!」

フーガがそう言うと狼の獣人たちは、感謝の言葉やらをぽつぽつと言ってから散り散りに歩き去っていった。

「さて……それでどうするんですか?」

「予想外に弱い……じゃあー、そうだな。うん。壊すか一旦」

「最高ですフーガさん」

「知ってる」

フーガはカノンから赤い魔石と黄色い魔石の指輪を受け取る。

「……今更ですけどこの指輪返さなくてよかったんでしたっけ」

「カルマンドは持ってって良いって」

フーガは2つの魔石に染められる。そして、建物の中へ放った。

「協和音(コード)。“炎の弾丸(ラ・バル・ドゥ・フー)”!」

炎と金属片が飛び、燃やしながら当たった壁や柱を砕いた。

「キャンプファイヤーだ!」

「わぁ綺麗」

炎は轟々と燃え上がり始める。炎はどんどん燃え上がり、めきめきと建物が崩れ出す。

「……やりすぎた?」

「かもですね」

そして最終的に、3階まであったそれは真下へ落ちるように崩れてしまった。

次回 第五十八話『今回の章ボスもうなんか黒焦げなんですけど大丈夫なんですか?』

11/7 (土) 20:00更新予定

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