第五航空戦隊の状況
この時代を知り、ミッドウェー海戦に興味を持つ者にとっては言うまでもないことではあるのだが、第五航空戦隊、通称五航戦の翔鶴と瑞鶴は一か月ほど前に起こった珊瑚海海戦に参加した。
そして、米空母レキシントン撃沈と引き換えに翔鶴の損傷と多数の航空機及びパイロットを失っている。
では、その損害を表すとどうなるのか言えば……。
翔鶴。
戦闘機十七。艦爆二十一、艦攻十六。
瑞鶴。
戦闘機二十。艦爆二十二、艦攻二十一。
これが戦前の戦力。
そして、両艦合わせての残存戦力はこうなる。
戦闘機二十四。艦爆十三、艦攻七。
つまり、残りが失われたということになる。
むろん、不時着水したものや着艦後廃棄処分になったものもあるので、すべて撃墜されたわけではないのだが、とにかく大損害であることは変わりない。
一応、単純な引き算をすれば、損害は戦闘機十三。艦爆二十一、艦攻三十が損害となる。
つまり、翔鶴が被弾を免れたとしてもそのままではとても戦力にならなかったのである。
ということは、よくある話は、この損害もなかったことにして話を進めようとしているのだろうか。
だが、そうなると、レキシントン沈没もなくなり、米軍の失われた機体も復活することになる。
それとも、米軍の損害はそのままに、日本軍の損害はなしということにするのだろうか。
現実を知ってしまうと、それは非常に気持ちが悪い。
それからもう一点、触れておかねばならないことがある。
瑞鶴は健在だった。
つまり、ミッドウェー海戦に参加できた。
それが見送られたのは航空機とパイロットの穴が大きかったからということになっている。
だが、翔鶴所属の機体を瑞鶴に乗せるということはできたはず。
さらに各地から機体とパイロットをかき集めるという方法もあった。
むろんそれは両方おこなわれなかった。
ここが日本軍の欠点である、硬直した組織と思考の賜物ということになる。
その点、アメリカは柔軟だった。
珊瑚海海戦で多くの機体を失ったヨークタウンに載っていた大部分は潜水艦の攻撃で修理中のサラトガ搭載機。
ミッドウェー海戦で無双するためには、日本軍の組織的欠点も修正しなければならない。
難儀なことである。




