大都五不思議調査部
「…い、おーい」
「う…あれ?」
気がつくと…私達は、書類の山に囲まれた部屋にいた。
「おー、やっと起きたねー」
目の前には、さっき助けた白衣の男性がいた。
「アンタさっきはよくも…!」
Ajisai_chanは私達を穴に落としたことでお怒りだったようだ。
「まぁまぁ…落ち着いてくださいな、キリカさんにAjisai_chan、そして悪魔のシロさん」
教えた覚えはないのに、白衣の男性は私達の名前を言い当てた。
「な!?なんでアタシ達のこと知ってんのよ!」
名前だけじゃない、シロの正体までバレている…!
「そんなに警戒しないでください…あ、自己紹介まだでしたね。吾輩は『大都五不思議調査部』情報担当の柊御影と申します。みなさん、わざわざここまで来てくださりありがとうございます」
柊御影というその人はそう言った。
「貴方が…その調査部の関係者ですか?」
私はそう聞くと、
「そうだよー。あ、吾輩のことは柊と呼んでくれたまえ。ちなみに、吾輩は主に解析やサポートを担当しております」
柊さんはそう言うと、
「部長、出番ですよー」
小さな男の子が書類の山から現れて、『部長』と書かれた机へトコトコと向かい、その席に座った。
「初めましてだな。私こそがこの大都五不思議調査部長のクニハラだ」
「…小さい」
「…子供?」
「…かわいい」
Ajisai_chanから「かわいい」という言葉がでた。
「子供扱いするなぁ!これでも私はお前達より年上だぞ!」
かわいい部長のクニハラはほっぺを膨らませる。
「クニハラ部長は、こう見えて30歳なんですよ」
…え?
「30歳!?」
「小さい子供の姿で30歳は無理がある…」
私とAjisai_chanは衝撃的すぎて、驚きを隠せなかった
「他にも紹介したい奴がいるんだ。案内するから、ついてきてくれ」
部長がそう言って席から離れれると、
「これ、私の名刺な」
私とAjisai_chanに渡された名刺には「國原薫」と書かれていた。難しそうな名前だ。
私達はクニハラ部長についていくため、部長室を後にした。その時シロは、具体的には聞き取れなかったが…ブツブツと何か言っていた気がした。
「クニハラ、クニハラ…」
薄暗い通路を歩いて…私達は「解析室」と書かれた扉の前へ着いた。
「ここが『解析室』だ。うちの部員はここで解析や実験等を行っている」
クニハラ部長がその扉を開けると、図体が大きい男性とロングヘアーの女性の2人がいた。
「お疲れ様です、部長。あら?ひょっとして…この子たちが例の新人?あなた、背が高いわねぇ」
「退治屋と聞いていたが…そのうちの2人は、まだ子供ではないか」
その2人はこちらに歩み寄り、私達をジロジロと見ている…。
「そうでしょー!でもですね、この2人…キリカさんとシロさんこそがあの『プレデター』を退治したお方なんだ!」
柊さんは嬉しそうにそう伝えた。
「まぁ!すごいわぁ!…紹介が遅れたわね、私は鈴木楓よ、よろしくね」
「へぇ…やるじゃねぇか!俺は明本蓮だ!」
鈴木さんに、明本さん…。
「鈴木さんは情報収集、明本さんは悪魔に関する実験を担当しているんだ」
解析に情報収集に実験…どこかの研究所みたいだ。ひとまず私たちも自己紹介しよう。
「キリカです」
「シロ!」
私とシロは自己紹介を終えたが、Ajisai_chanは何処か不満げだった。
「どうしたんだい?」
柊さんはAjisai_chanにそう問いかけた。
「今回…ここに呼んでくださった理由は、第二都市の事件が関係しているからですよね?私は…あの時役目を果たすどころか、退治屋ではないはずのキリカ達に助けられた。だから私は…」
どうやらAjisai_chanは…あの時退治屋として役目を果たせなかったことを気にしてて、だからここにいるべきではないと思っているのだろう…。
すると柊さんはAjisai_chanにこう返した。
「いいえ。あなたは退治屋であり、とても大事な『経験者』です。あなたの実力もとても素晴らしいし、何よりあなたはあの時…怪我しているのにそのまま被害者の人命救助に協力してくれている、それは退治屋としてとてもすごいことです。それに、悪魔の特徴や行動パターンなど…あなたの証言はとても役に立ちました。我々調査部にとって素晴らしい人材なんです。もっと自信を持って良いんです」
柊さん曰く、警察署での聞き取り調査で集めた情報をまとめた結果、今回のスカウトに繋がったらしい。Ajisai_chanもとても頑張っていることを理解していた。
「…コードネーム、Ajisai_chan…です」
柊さんの言葉を聞いたAjisai_chanは少し安心したようで、
「よろしくね、Ajisai_chan!」
「頼りにしてるぜ!」
「うむ!随分と賑やかになったな!」
調査部の皆さんはAjisai_chanを歓迎してくれた。Ajisai_chanも少しだけ嬉しそうだ。
こうして、無事に自己紹介を終えたのだった。
「では、今後の方針を伝える!」
私たちはその場で部長の話を聞くことになった。
「第二都市の『プレデター』討伐に関しては、とても感謝している!皆のおかげで、今後出現すると思われる悪魔に関する予測が可能になった。そして、大都五不思議は確かに実在する!しかも、大都五不思議は過去に…戦時中に関係している可能性があると発覚した!大都五不思議の悲劇は間違いなく再び起きるだろう…だからこそ、新たな悲劇を生み出す前に皆の協力が必要不可欠だ!これからよろしく頼むぞ」
悪魔出現の予測、大都五不思議は噂ではないこと、そして…。
みんなは手がかりや仮説が見つかって喜んでいるみたいだが、私にとって…嬉しくない、むしろ怖い。だって私は…、
「キリカ、大丈夫?」
気がつくとシロは私の目の前にいて、そう言った。きっと…私のことを心配しているのだろう。
「…大丈夫だよ、気にしなくていいよ」
でも…もしもそうなら、もしも本当に…戦時中に起きたことが関係しているのなら、そして…まだ終わっていないのならば、この先とても恐ろしいことが待っているだろう。そうだとしたら、私は…もうみんなと一緒にいられないのだろう。
だって私は、元軍人だから。
1週間の定期投稿はここまでです!7月くらいに再開予定です
しばらくお休みしますが…キリカ達の冒険は、まだまだ続きます!




