10.驚異の自力脱出力
ハロルドたちはアンリへの報告の後、ブライトから連絡のあった地点へ向かう。
そこには、花香風の衣装を纏うブライトとケリー、それから東宮である紫俊熙がいた。
「なんで東宮がここに……」
「なんか、ついてきた」
ブライトの言葉にハロルドとアーロンは絶句する。
エーデルシュタインでいえばアンリが敵と逃亡したようなものなのに、どうしてこうもケロッとしているのか。
そして、紫俊熙はずっとニコニコしながらブライトを見つめていた。なぜなのか分からなくて怖い。敵国の人間に向ける眼差しではないように思う。
「東宮様はこんな場所にいらっしゃる方だと思いませんでしたが」
一緒にいる黄暁明の声は冷ややかだ。ハロルドたちは暁明の肩に座ってボクシングのような動きをしているジニアを見ながら「この子関連だろうなぁ」と思った。
暁明はジニアが関わること以外では案外普通の少年である。むしろ、聞き分けが良すぎるくらいだ。ジニアが関わった瞬間おかしな挙動をとるが。
それを見たブライトがジニアに指先を向けながら俊熙に「君、何やったの? 僕は君のおかげで楽しく破壊活動ができたから何も気にしてないんだけど」なんて尋ねる。
彼の返答を聞く前に、ハロルドは思わず彼らの会話を止めた。
「待って。楽しく、何?」
「ああ。なんか、相当にご自慢の魔導武器があるらしいから、片っ端からぶっ壊してきた」
ケロリとそう言うブライトの後ろで、何を思い出したのかいい歳したおっさんが涙目になっていた。言うまでもなく、バット、もしくは棍棒代わりにされたことを思い出していた。
精神的にも物理的にもかなりブライトに振り回されていたらしい。しかし、それに関してはみんな、「ふうん」くらいの反応だった。あまりにも興味がない。
「あんなものがあるからダメなんでしょ? 多分、もう直せる人もいないんじゃないかな。結構な腐敗度だったし、有能な人は逃げ出してそう」
「もしくは殺されているか、だね」
のんびりとそう言うブライトと彼から数歩離れた場所に移動しながら続けるケリーにハロルドたちは遠い目をしていた。あまりにも慣れすぎている。
「ブライト、ルイの側近になって荒んだか?」
「まぁ、貴族としては立派に成長しつつあるんじゃないかな」
「俺らもああなった方がいいのかもな」
悩む様子を見せる友人たちにブライトは「え〜......二人はそのままでいてよ〜」と返す。
「お城の中にいると心荒むんだから、ルイ以外の友達と一緒の時くらいは呑気な僕でいたいし」
そんなことを言うブライトを見ながら、二人は「ロナルド見てキレそうだなぁ」と呑気に思っていた。
いつも読んで頂き、ありがとうございます。
ブライトは案外「あ。こいつもいるんだ」くらいだと思う。気に食わなかったら次のバットもしくは棍棒はコイツになるだけである。
その前に、ロナルドはブライトが例の美少女だと気づくのだろうか。
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