33.未だ警戒は強く
フォルツァート側の聖騎士が、「勇者様の女」であるイオを通していたらしいと聞いたハロルドとアーロンは、ロナルドに白けた目を向けていた。
「何だよ」
「彼女があなたの恋人であると判断するようなことがあったのだろうと思うと、先ほどの一件に不快さが増すな、と思って」
ハロルドの言葉にアーロンも深く頷いている。
どうせ全部お前のせいなんだろうと思われるあたり、ロナルドにはまるで信用というものがなかった。
そんな二人に、ロナルドは眉間に皺を寄せながら「何もしてねぇ」と口に出す。二人の目が「本当に?」と言っているのを見てまたイラッとしながらも、ハロルドとの確執を思い出して飲み込んだだけ、ロナルドも成長をしているだろう。
「アイツとは、本当に何もない。というか……俺はハロルドとは違って、あの手の女は嫌いなんだよ」
「俺と違って、ってどういう意味?」
「どう考えても属性がお前のヤベェ婚約者と似たり寄ったりだろうが。理解できねぇ。あんなの観賞用以外の何にもならねぇ。側にいるとむしろ性欲減退する」
あまりの言い種である。
そして同属性だとは思えないハロルドは首を傾げた。完全に婚約者の欲目である。少なくともロナルドはそう思った。
ハロルドからしてみれば、エリザベータはあそこまでお行儀の悪い人ではないので一緒にしないでほしいという気持ちだったが。
「それよりも、思ったより順調に進んでるっつーけどよ。めんどくせぇ神からの依頼ってのは大丈夫なのかよ」
「問題ないよ」
むしろ、ルナリアが来たことで余裕が出た。
少しばかり、悪巧みもできる程度には。
(まぁ、セルピナ様のことは信用しきれないからね)
『保険』は必要だと思っていた。ネーヴェの時にあったことを考えると、神という存在は好意や愛を語る割に、案外人間のことを軽く見ている。ハロルドに対する影響など、あの女神が本当に考えるとは思っていない。
おそらく、とっかかりさえ得られればそれで『どうとでもなる』と考えているはずだ。
ロナルドの余計な介入を避けたいが故に問題ないと返してはいるが、本当に全く問題がないと言えないところが頭痛の種だ。
「ハル」
「わかってる。無理をするつもりはないよ」
ハロルド自身『は』。
そんな言葉の裏を感じ取っているからか、アーロンが少しばかり納得のいかない顔をしている。
そんな相棒の顔を見ながら、彼は苦笑するしかなかった。
「はぁ……確かに、おまえは別に余計なことするタイプじゃねぇもんな」
ハロルドがいつも巻き込まれている立場であることを思いながら、アーロンは溜息を吐いた。
すすんで巻き込まれているわけでもないので、これ以上言うべきことも見つからない。ただ、余計なことをするような奴が出ないことを祈るだけだ。
(その筆頭が目の前にいるわけだけど)
ロナルドをチラと見て、そんなことを思う。
やはり、どうにも好きになれない人物だった。
いつも読んで頂き、ありがとうございます。
ちなみに、思想的にはイオの方がだいぶヤバいので逃げようとしているロナルドは正解であったりはする。
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