20.クラリッサ・ジルコニア
本日のおやつ:パンプキンパイ
とはいえ、全部をアメシスト家に任せるわけにもいかない。そう考えたハロルドとルートヴィヒはジルコニア公爵家に面会を申し込んだ。
意外にも即日面会が叶って、二人はやらかし聖職者たちを法律でぶん殴るために意気揚々と乗り込んだのである。
そんなハロルドは現在、なぜかパンプキンパイを提供させられていた。美味しそうにそれを頬張るブランはなかなか図太い。
ハロルドは、なぜかハーブティーも提供させられていた。
(なぜ……?)
協力してもらえるし、ハロルドにとってはたいしたものではないので別に構わないのだが、公爵家の奥様に渡すものでない気がする。
ハロルドに切り分けられた皿の上で妖精たち五人組は誰が、どの部位を、どれくらい食べるかを話し合っていた。一番ガチなのは甘いもの大好きなリリィだった。
「本当にうまいな」
「ありがとう。でも、あくまで素人の料理だからちょっと恥ずかしいな」
「いえ、本当に美味しいわ……材料がいいのかしら……。かぼちゃの甘みがなんとも……」
ジルコニア公爵夫人クラリッサは真顔でパンプキンパイを口に入れていた。
まっすぐで美しい金色の髪、銀色の瞳。つり目で少しキツく見える。唇の下にあるホクロがどこか色っぽい美女だった。膝には彼女の娘であるドロシーがいた。金の巻き毛が可愛い、銀色の瞳の1歳児である。
「いります……?かぼちゃ……」
「いただくわ」
間髪入れずにそう返ってきて、ハロルドは苦笑した。異空間収納式鞄よりかぼちゃを丸ごと一つ出すと、執事に渡す。ずっしり重いそれを彼は「ありがとうございます」と受け取ると、どこか嬉しそうに持ち上げた。
「それで、あの腐れ聖職者共を法律で消し炭にできる証拠を持っていると聞いたのですけれど」
唇が柔らかに弧を描く。
ハロルドは紙の束をテーブルに載せる。その量に、彼女は嬉しそうにしている。
「今回の襲撃だけでなく、違法奴隷の売買や贈賄、信仰心を利用した信者たちからの略取……そういったものも含まれています」
ハロルドがもらった領地がその略取の場であったこともあって、証拠は山ほどある。当然それはすでに共有されているが、一部の神官は自分はやっていないのだと訴えて逃れようとしていた。ところが現在、そんな彼らにも突然の神罰がくだっている。
「今が潰し時です。ユースティア様が『真実しか話せない』という罰を与えていますので」
「まぁ、素敵!ふふ、うんざりしていたのよねぇ。一国の王女たるわたくしを、妻や妾にできると思っていたあのゴミたちには」
現在は公爵夫人である彼女だが、元々はこの国の第一王女。それも国王夫妻の初めての子だった。大切に、大切に育てられた彼女は今の夫であるジルコニア公爵と幼い時から仲を深めていた。
しかし、美しく育った彼女を手籠にしようと暗躍する者もいた。厳重に警護されていた彼女だったが、あわや、という出来事があり、予定を大幅に早めて輿入れした。
この屋敷では誰もクラリッサを害することができない。呪術に長けた公爵が彼女を守っているからだ。
(あの時も粛清はありましたけど……逃げ隠れが上手い者もいましたものね)
だが、今は神罰がある。
ユースティアによって目立つように付けられた刻印は犯罪者の証といえる。あの女神は、そんな人間にしか罰を与えない。
「ハル、ついでにスキンケア用品も渡しておいてもいいんじゃないか?使いきれないんだろう?」
「え……うーん、肌に合えば……」
コソコソっとハロルドとルートヴィヒが話し合って、帰る時に渡した。
結果として、ハロルドの野菜や美容品のファンが増えた。計算外は夫であるジルコニア公爵の肌荒れ・ニキビが治ったために、彼もファンになったことだろうか。
いつも読んで頂き、ありがとうございます。
購入や感想の声、本当にありがとうございます!!
ジルコニア夫妻「報復ですこんにちは」
そら、そうなるんよ。
ちなみに例の時も普通に粛清入ったけど、なんと!ヤベェやつほど!逃げ隠れがうまい!!
ジルコニア公爵は肌荒れしやすい体質。愛妻家。呪術系の魔法が得意。この時本人がいればよかったのにね。
Q.なんでフォルテ教の子どもに手を出して無事で済むと思ってたんだ……?
A.今まで無事にすんでたから。ちなみにやろうとした理由は見せしめ。
Q.マリエの呪いの件。
A.普通にミスってたので書き直してきました。本当にありがとうございます。でもまぁ、うん……普通に痛かった。
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