14.ダンジョン攻略3
当然のように魔物はいた。
牛頭に二足歩行の斧を持ったミノタウロス、前歯で壁や床を削る泥色のマッドリット、奇妙な笑い声を発しながら飛ぶブラッドバッド。
「ミノタウロスって、どのダンジョンにもいるものなの?」
「んなわけねーでしょ!誰、そんないい加減教えたヤツ!!」
「教えられたわけではないですけど、前にユリウスに誘拐されそうになったとき……」
「誘拐……?」
エリザベータとまだ出会う前の出来事だ。
ハロルドとアーロンの住んでいた村を襲撃し、ともすれば大きな被害が出た出来事だった。偶然にも、アーロンが神獣と出会ったことや、ハロルドの鑑定の魔眼があったから大きな被害はでなかった。
だが、ユリウスを許す気になれないのは仕方のない話だろう。
「やはり、殺しておくべきだったのではありませんか?」
「ルビー様に同意です。神子様がお優しいのは分かっておりますが、舐められますよ」
「ダンジョン内にミノタウロスがいて」
「その流れで話を元に戻そうと思えるの凄すぎ」
ハロルドは過激派に慣れている上にユリウスの処遇についてはどうでもいいので、華麗にスルーした。
「アルス様の加護はその時から?」
「いや、もう少しあ……と……」
「やぁ!」
「アデニウム殿下ぁ!!」
振り向くと、アデニウムがいた。
さっきまでいなかっただろうと、ハロルドはアイマンに視線を送ると、彼は首を上下に動かしていた。やっぱりいなかったようだ。
「城で楽しそうにしていたから、尾行したんだ!さすがに合流するのには苦労したけど、アルス様の加護の薬草のような芳しく気高い香りを追ってくればそう時間はかからなかったよ!!」
「い、犬……!?」
ペーターのドン引きした声に、皆が心の中で同意していた。
「ところで、このダンジョンはひょっとしてものすごく性格が悪いんじゃないか?君たち、多分同じところをぐるぐる回っているぞ」
アデニウムの言葉に、目を見開くハロルドたちにアイマンはとびっきり深いため息を吐きながら、「この方のスキルだ」と告げた。
「地図作成というスキルだ。ちなみに、欲しい素材などを指定するとそこへの到達経路も教えてくれるよ」
けらけらと笑いながら、手の上に光る地図を出した。
ハロルドは冷静に「使えるな」なんて呟いてエリザベータ以外をギョッとさせていた。
「幸運の女神トゥーナ様までの道のりの案内をお願いします。報酬は」
こそっと耳打ちすると「本当かい!?」とテンションぶち上がりでOKしてくれた。
なお、ハロルドからの報酬は美の女神ヴィーナからもらった花のうちの一つである。神からもらった慰めの品は、とある病の特効薬になるとされる薬草の一種でもあった。
そして、ハロルドは花の妖精にも砂の妖精にも頻繁に植物の種を貢がれているので、今回の花もそのうちの一個だと思っていた。
ヴィーナちゃん様は推しに存在を認識されたくないタイプなのでむしろほっとしてる




