18.姿形が変わっても
「それにしても、エリザベータ様はハルの姿が変わっても大丈夫なんですね」
図書室でハロルドを見つけると、いつものようにウキウキしながら近づいてきた様子を思い出して、アーロンはそう口に出した。
エリザベータはそれを不思議なことでも言っているような目で見る。
「姿形が多少変わっても、ハルはハルでしょう?」
妖精たちですら「意味わかんない」という顔をしていた。彼女たちだって外見にそこまで重きを置いているわけではない。けれど、当然のように「ダサくてもハルならなんでもいいわ」とは言えなかった。元が見目麗しすぎた。
「わたくしが好きなのは、あまりにも度が過ぎると彼が判断したもの以外は受け入れてくれるその度量ですし」
「僕さぁ、それって更生を諦めてるだけだって思うんだけど」
被害者であったブライトは珍しく真顔でそう返した。彼からすると「近づくだけで気に食わないからって何も考えずに魔法をぶっ放してたの忘れてねぇだろうな」という気持ちである。
「ハルが良ければいいのですわ」
良くはない。
けれど、前科がある婚約者のおかげでまともな貴族令嬢は近づくことさえ怖がっている。ハロルドが素顔であろうとも。
例外はなぜか気に入ってチラチラ見てくるレイラくらいだろう。
「ほーらー!ハロルドくんがちゃんと言わないと直んないよ、この人ぉ!!」
「面倒な人はエリザがいるだけで真っ青な顔で逃げていくから、俺にはそれがありがたいんだよ」
「クソ、世の中に理性消失してるバカがいるばっかりに!」
ブライトが世の不条理さを嘆いていると、ルートヴィヒが「互いに利があるというのは良いことだろう」と本から目を離した。
「ハロルドが良いなら良いんだよ」
「ルイまでそれぇ!?」
「というか、以前から思っておりましたが」
「何!?」
「アーロンさんは神獣様がついていられるのでまだ良いですが、あなたはもう少し殿下やわたくしに敬意を持って接するべきではありませんか」
「ルビー嬢、私はこの気安さが気に入っているのだが」
「しかし、ガーネット様は絶対外でもこの態度が出ますわよ」
その懸念もわかるのか、ルートヴィヒは苦笑するしかない。
「んぐぐ、僕だってできるもん!」
「できていないから言っているのですわ」
それもそうである。
悔しがっているブライトを見ながらハロルドはのんびりと「これを機に俺らと復習させるかな」なんて考えていた。
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