5.かみさま こわい
バチコリやらかしました。
メッセージ送ってくれた皆様本当にありがとうございます……!
翌朝、目覚めたハロルドは純粋に怯えていた。
正面から「あなたが生きにくい国なら、他の民なんて知ったことではないので滅ぼすわ」みたいな内容のことを言ってくる神は初めてだった。
今までハロルドが関わってきた神はフォルテとアルスの二柱だ。彼らは割とフレンドリーで親しみやすい、優しい神様だった。ある意味では、ユースティアの方が神らしい神なのかもしれないが、なんのかんのフォルテに守られてきたハロルドは恐怖を感じていた。
(あれ、普通に俺のことが気に食わなくなったら祟るタイプの女神様だ……)
まさかハロルドが自分の価値観での勤勉さと善良さと責任感を、普通に発揮しただけで好感度爆上げしてるなんて思いもつかない話である。なんで我が子と呼ばれているのかもわかっていないだけに好感度の高さにも恐怖していた。
「おい、ハル!もう朝……顔色悪っ!?具合悪いのか?医者呼ぶぞ」
「体調が悪いというか、なんだろう……ちょっと深淵を覗いた、っていうか……」
「あの女神が怖かったんでしょぉ?」
リリィがコロコロと笑ってそう言うと、アーロンは「女神?」と呟いた。
「天秤の女神様が、俺やこの国に悪意が迫ってるとかで知らせに来てくれた」
「フォルテ様じゃねぇんだな」
「ザコ女神、海の国の冬が厳しさを増したって慌ててるんだもん」
フォルテからしたら、天候の操作で神罰を降したのは手加減だった。彼女は大地にまつわる神であり、そちらに干渉すればよりえげつない神罰になっていたはずだ。
それが制御の範囲を超えてしまって女神フォルテ、大慌てである。なお、犯人である冬の神は八つ当たりで吹雪の頻度を増やした。
「でもぉ、ハルが呼びかけたら気づくんじゃない?」
そういうものなのか、とハロルドとアーロンは首を傾げた。
呼びかけるのであれば、ハロルド作の神棚よりも、神殿の方がいいだろう。
しかし、その前にやることがあった。
「謁見の申し込みしなきゃ……。ローズ、神様案件だからカーティス様のところに飛んで行ってもらってもいい?」
「いいわよー!」
リリィが自分が行くアピールなのか、チラチラとハロルドを見ていたけれど、彼女は絶対に何か煽るような言葉を口にするとわかっている。ハロルドも別に喧嘩を売りたいわけではないのだ。どちらかと言えば仲良くしたいし、保護していてもらいたい。そんなわけでリリィの視線には気づかないふりをした。
「リリィ、俺の警護をお願いできる?」
「!?ふ、ふふーん、ウチがいなきゃハルってば寂しいんでしょぉ〜?仕方ないわねぇ〜」
代わりにいつものお仕事を頼む。笑顔で肯定すると、ちょっとだけ機嫌が良くなったリリィ。
「リリィは割と良い子なんだけど、口が悪いからな。心が広い友達への伝言くらいなら頼むんだけど」
「妖精どもで丁寧な口調なのはルクスくらいだろ。つーか、なんでアイツにしねぇの?」
「エリザ、最近また何か高性能な魔道具を買い付けたみたい。ルクスがいないと、多分声まで全部筒抜けになる」
いつもの婚約者案件にアーロンは「ルビー様、まぁじで何やってんの」と呆れたように呟いた。
苛烈な母親の目を盗んで浮気して、子供までいるのに隠し通した父親がいるエリザベータ。ハロルドのことを信じてはいるが、それはそれ。近づき籠絡するような素振りを見せるような発情期の雌猫がいるならば、始末をしないと安心できない。
「それにしても、一般に出回ってない魔道具のはずなのにどうやって買ったんだ。覗き見バットくん4号」
ハロルドの疑問も尤もなものだった。
その疑問に答えられるストーカー系婚約者は、尋ねたとしても口を閉ざしてほほえむだけだろう。
エリザにはエリザの取引ルートが……




