嫌いから好きになった瞬間
2020/05/04 18:00安部首相
5/14を目途に 5/31を待たず 宣言解除も視野に入れる。
1か月延長の判断 断腸の思ひ 終息の為1ヶ月
長期戦を覚悟する必要がある
コロナ時代の新たな日常を作る
三つの密を避けよ!
正しく 恐れよ!
生活を戻せ!
集団感染確認の場所へは自粛を!
外出自体は 全く悪くない!
次なる流行に備える
自治体ごとの やり方に 応援。
まさか、この時に 未来を語っていたとは 誰も信じなかっただろう。
2020/05/04
「あれ?寿樹は?」
湯上りの鬼空に聞く健太。
「安部首相の決断後だから、会議してる・・えっと・・」
「テレビ電話?」
「あ、それ!」
鬼空はタオルで頭をわしゃわしゃ拭いている。
「長くなりそうかな?」
「長いよ。」
「じゃあ、テレビ電話の邪魔をしない様に 先にお風呂に入っているかな。」
寿樹と弦賀さんは最近忙しそうにしている。
夕飯もお風呂の時間もバラバラになっている。
いつもは、御師さまが一番最初で次に鬼空、弦賀さんがとみんな入って、僕が一番最後って決まっているのだ。
今日は臨機応変に 僕が 先に入る事にした。
「夕飯は?誰が用意する?」
順番が狂うと こうやって 自分の事が出来ない人がいるから大変だ。
「出来てるんだから、食べたかったら自分で用意して食べればいいじゃん。」
半分 風呂場まで 歩いて叫ぶ健太。
「ちっ」
という舌打ちが聞こえた。
健太は湯舟につかりながら考えた。
寿樹と弦賀さんはいつも一緒にいるなぁ。
一緒にテレビ電話しているし。
インターネットがない所には 出向いて いつも一緒に行っている。
羨ましい。
村の方で救急車のサイレンが聞こえて来た。
新型コロナウイルス感染者の受け入れが増えてきているらしい。
真正家の宿坊は徐々に埋まりつつある。
また、一人増えたかな?
感染者を連れて来る時は鳴らさない様に言ってあるのに、ほぼ半数の救急車はコロナ患者を連れてサイレンを鳴らして来る。
受入れは茂沼さん 監督しているのは弦賀さん 手伝い僕。
出来るだけ、少人数で 宿坊を管理している。
健太が風呂から出ると 鬼空はソファーに座りながらまだ 髪を乾かしていた。
夕飯は?と聞く割に 自分では準備したくない人らしい。
寿樹と真逆と言うほど正反対な性格に思える。
コロナで帰国させられたからと言って 家の事やらなさすぎる。
「長い間ドライヤーを使っているね。髪 伸びたんじゃない?」
「なんだ?イヤミか?」
性格はひねくれてる。
「ちがう。その・・・かれこれ美容院行ってないねって思って。」
「うーん。コロナで出不精になっていたからな。」
「切ってあげようか?」
「本当か?前髪が邪魔だと思っていたところなんだ。」
あれ? やけに素直だな。
まぁいい、寿樹も弦賀さんも帰ってきてないから カットしてあげよう。
しっとりとした鬼空の前髪を持った。
慎重にハサミを入れる健太。
その間 目を閉じる鬼空に無防備さを感じ変にビビった。
いつも寿樹のお荷物でしかない鬼空
いつも僕の事 バカにする鬼空
でも 鬼空の身体は女の子 そういえば 輪郭の線は細いかもしれない
僕より身長があるから 大きいと思っていたけれど 男の子にしては 華奢な体つき
変に意識し始めたので 話題を変えようと思った
「鬼空って 髪型変えたいと 思ったことないの?」
「ある。」
意外に即答だった。
「どんな風に?」
「長いのは 面倒だ。 短くしたい。」
「じゃあ、何で短くしないの?」
「俺は御師の 影役なんだ。幼いころから寿樹の代わりの器でいなければいけないと 父親からしつけられていた。」
あのお父さんなら 言いそうな事だ。
「それで、外見を一緒にする必要が あるんだ」
意外と鬼空にも役割があった事に驚く健太。
海外へ行っていながらも、こちらの寿樹の様子を把握していたとは思えないが。
実際、僕より今の寿樹の事を知っている事は確かだった。
双子の片割れなのに、あまりにも育てられ方の環境が違うことに 不敏で仕方がない。
本当は 可哀そうな 女の子・・・。
イケナイ イケナイ 感情移入してしまう所だった。
また話題を吹っかける健太。
「思い切って 短くしてみたら? 絶対カッコイイよ!」
「バカ!!」
鬼空が目を開けて 怒る。
「ウソだよ。」
「はい、出来ました!」
鬼空は直ぐに 鏡を見に行く。
変じゃなかった みたいで 納得して帰ってくる。
よかった。
と思いながら 落ちた髪の毛の掃除をしていると 後ろから「ありがとう」という言葉がかかった。
「え?」一瞬耳を疑った。
鬼空が素直に 礼を言う事なんて なかったから。
「今、鬼空が言ったの?」
「俺以外 誰がいるんだ?」
不意を 取られた。
心の準備が なかった。
鬼空が素直に 礼を言う事に 僕は全く免疫が無かったからだ。
ポンっと肩を 叩かれ。
「専属な!」と言われる。
「これから、寿樹と俺のヘアカット専属な。」
鬼空の 風呂上がりの石鹸のかおりが フワッとして。
やってみたいな 両手に双子。 と思ってしまった。
多分 僕の妄想は ヨコシマの方。
鬼空は、契約成立した気でいる。
今まで 寿樹と結婚できない理由の一つとして 鬼空が御師を断ったせいだと思っていた。
自然と心のどこかで 鬼空のせいにして 寿樹との事をあきらめたくない自分を知った。
なんの 根拠もないのに 鬼空を恨んでしまっていた。
急に後ろからドライヤーがゴーっと来た!
「おい、早いとこ夕飯にしようぜ。一人で喰うなんて嫌だ。」
鬼空が髪を 乾かしてくれた。
嬉しいのと 今まで鬼空を責めてしまっていた事に 申し訳なく思えて ウルウルしてしまった。
「おい、泣いてんのか?」
鬼空が健太の顔を のぞき込む。
「ごめんね。鬼空の事ずっと 嫌ってた。」
鬼空は そっぽを向いて言った。
「あぁ、わかってたよ。」
「寿樹と結婚できない事を鬼空のせいにして 現実を見ようとしなかった。」
「健太が寿樹のこと 心底惚れてんのは知ってるよ。とうの昔に。」
健太は心が 軽くなった。
鬼空に 謝った。
「自分を 責めるな。」
鬼空が 乾かしてくれている髪の毛は 直ぐに乾いたが。
健太の瞳は 湿ったままだった。




