Report--END
エリア27で確認された特異固体の排除を#2の証言により確認。
泳葬場にエリア27内による特異固体と判定されていた二体の遺体を泳葬場で確認。および、#1を確保。
すでに住民候補の避難を完了していることから、全ての作戦目標を達成したと判断し、『APPLE』は作戦エリアより退去します。
退去終了までの時刻を5時間後に設定。イレギュラー報告が無い限り、本部は設定時間にエリア27をパイプレール航路より切り離してください。
『APPLE』は予定時刻どおりに目標エリアを脱出しました。
ブルースフィア、パイプレール航路より、エリア27の切断を確認しました。
現時刻をもちまして、『APPLE』のエリア27での作戦の完了と判断します。お疲れ様でした。
システムメッセージ
(検索された項目ファイルの案内を終了します。続けて閲覧する場合は再検索をお願いします)
(検索したファイルは認可済みのメディアでのみ再生が許可されています)
(検索したファイルの再生には管理責任者による認証が必要です。認証には段階があります。読み取りコードによって、段階の振り分けが行われます。上の段階の情報の閲覧をするには上位のコードの読み取りが必要です)
タップ、タップ、タップ!!
(くそったれめッ!)
「満足できたか?」
後ろから、鈍感な長髪の男が尋ねてくる。
彼らの基準で言えば、そんな言い方は失礼にあたるだろうか。
だって、彼は、いまじゃ、尊敬すべき上司なのだから。
でも、これは、こんなものは、あんまりにも!
気づけば笑っていた。
だって、笑うほかにないだろう。
「……満足? なにに満足しろと? これで、やっとゼロなのに!」
拳を目の前のパネルに叩き込む。
エラー表示とアラートが明滅する。
私はアンサーを求めた。
あの日から、私の生活が崩壊したあの瞬間に起こったことの答えを求め続けた。そこに辿り突くためだけに、数年もの時間が消費された。
「声が……、回復していたのか」
笑える。
本気でこんな猿芝居を信じていたというのだろうか。この上司はほかの間抜けどもよりマシだと思っていたが、考え直すべきかもしれない。
「やっと、あの日に知るべきだったことが分かった。私たちの世界の裏側にあった思惑、理不尽、そして、ルイくんが殺された理由! やっと、私は、ゼロに立てた」
ここからだ、ここに立って、ようやくに、私は私のやるべきことを始められる。
首回りを撫でる。
ざらざらとした感触。
完全には治療しなかった。
機能的面での回復はした、しかし、整形手術による見た目の修復は拒否した。
あの日のことを、なかったことになど、させてたまるものか。
視覚による情報は五感の中でも特に優れている、
『親切』な彼らは、機能的には完全に復元されているにも関わらず、見た目には痛々しい喉を見て、声を出せないのは、ただ出さないように演じているだけだなんて、思っても言えない。
人間らしくしたいがために愚昧になったこの世界の人間には、疑うことにさえ、不安を感じるようになった臆病者どもには、見破れない。
「私は、復讐する」
まだ、その矛先は分からない。
ルイくんを殺したヤツか、ルイくんを追い込んだヤツか、それとも、全てを企てた奴らか。
分かっているのはたったの一つ。
この結末には誰かを殺すということだ。
「ああ、なんてことだ」
長髪の男が片手で顔を覆う。
新たに開闢される世界。
理想を託した、新たなる人類の未来。
その導き手となる存在は、『殺意』を隠していた。
「これが、代償、なのか」
切り捨て、
裏切り、
破壊し、
創造を望んだ。
彼女の瞳に燃える暗い炎を認め、長髪の男は首を振った。
おしまい
ご愛読ありがとうございました。




