第4話 お前は誰だ?
「…あっ、そうだ、皆さん!明日の予定なんですが——」
僕はハッと我に返り、自分の仕事を思い出す。
明日は1年に1回行われる音楽の祭典があり、その年で1番ヒットした曲を決める。その様子は生放送され、ゲームの中でもメインイベントの1つだった。この音楽祭でどれだけ上手いステージを残せるかで、U-4のメンバーのこの先も変わってくる。
「明日のスケジュール表を作ったので、皆さんにも渡しておきます。集合時間も間違えないよう、よろしくお願いします」
僕はスケジュールの紙を、アダム、リュウ、ナオト、ユウヤの4人に渡すと、4人は一通り目を通した後、帰り支度を始める。
「お疲れっした」
「お先失礼しまーす」
「じゃぁ、先に帰るねえ〜!また明日ぴょ〜ん!」
アダム、リュウ、ナオトが控室を出ると、部屋にはユウヤと僕だけになった。
「ハルトさ」
「はい?」
「帰る前に、一緒にコーヒー飲んで少し話さないか?」
ユウヤからの突然の誘いに僕は嬉しくなり、ユウヤに向かって笑顔で答える。
「はい!ぜひ!」
「…いつからなんだ?」
「…え?」
「ハルトは、コーヒーは苦手で飲めなかっただろ。それで、いつも紅茶だっただろ?」
「え…」
ユウヤは切れ長の目を、じっと僕に向ける。
「今日のリュウの潔癖に対する反応、ナオトの本当の姿を見た反応は、今までのハルトと同じに思えない。君は、本当にハルトなのか…?」
(え…もうバレた…。どうする、本当のことを言った方がいいのか、それとも隠した方が…)
「本当のことを話してほしい。俺は、いつだってハルトの味方だよ」
「ユウヤさん……。実は…僕は…」
「うん」
「……あ…あの…その、…少し前に…頭を打ってしまって…。あの、僕が落ち込んでいたときに、皆さんが励ましてくださったあのときです…それで、ちょっと記憶の一部が飛んでしまったというか…」
僕は目の前の床を見ながら話していると、ユウヤが僕の肩に触れるのを感じ、僕は恐る恐る視線を上げる。
「なーんだ!それならそうと、言ってくれればいいのにさ!大丈夫か?打った場所は?もう痛くないのか?病院へは行ったか?」
安心したような満面の笑みのユウヤに、僕はチクリと胸が痛む。
「大丈夫です…。ありがとうございます」
それだけを言うのが精一杯だった僕だが、ユウヤは優しく僕の頭に触れ、髪の毛をクシャッとして言う。
「ハルトが無事で良かったよ。俺は、ハルトも同じU-4の一員と思ってるからさ」
アイドルを目指していた僕にとって、その言葉は嬉しいはずなのに、今の僕には後ろめたさで苦笑いしかできなかった。




