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僕が1番まともです?異世界転生したら特性バリバリのアイドルグループの世話係でした  作者: めんだCoda


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第10話 …別に大丈夫や…

「間に合った…!」


 ステージ裏にいるユウヤ、リュウ、ナオトの3人が、走ってきた僕とアダムに、心配そうな顔で近付いてくる。


「すみません、皆さん、お待たせしました…!」


 息切れして膝に手をつく僕の肩を、優しく掴むユウヤ。


「ありがとな、ハルト。——って、あれ、ハルトなんかジャケット大きくないか…?ていうか、それ…」


 僕が経緯を説明すると、ユウヤ、リュウ、ナオトは顔を見合わせる。


「それだったらいっそのこと、ジャケット全員脱いでもいいかな、って俺は思うんだけど、どう思う?リュウ、ナオト」


「そうやなー。アダムのパッツパツなジャケット姿はオモロいけど、踊りにくいやろ。それに、見た目もボディービルダーみたくなってるで」


「ちょ、リュウ、ボディービルダーて。笑わさんといて。俺も脱いでいくのでいいよ。準備してくれた、スタイリストさんには悪いけどな〜」


「みんな…ごめん…」


「まあ、気にすんなって、アダム。よし、じゃあ、リュウ、ナオト脱ぐぞ」


 3人がジャケットを脱ぎ出すと、ステージ裏がバタバタしだす。


「次の出番のグループの方!ここに来て立ってくださーい!間も無くステージ上への出番です!」


 音楽祭関係者の人がステージ袖を指差し、するとU-4の背後で巨大な何かがのそりと動く。

 移動してきたのは、あの緑の大きなトカゲのようなものがいる、動物グループだ。


「ちょっと、すみませんね…」


 緑のトカゲが、着替えているリュウのそばを通ったときだった。


 ヌルッ


 リュウの顔に、緑のトカゲの巨大な太い尻尾が触れていく。


「ぎゃあああああーーー!!」


 リュウの引き攣った顔と共に、響き渡る絶叫。


「ちょっと!!そこの方!静かにしてください!!生放送中ですよ!!」


「あっ、はい!申し訳ありません!!…おい、リュウ、大丈夫か、しっかりしろ」


 しゃがみ込むリュウの横にユウヤが屈むと、リュウが自分の頬を触らずに震える手と、見開いた目で硬直している。


「…なんや…これ…」


「リュウさん、あの、それ、たぶん…」


 僕は、緑のトカゲの後ろ姿をチラッと見上げる。


「あの、緑のトカゲの方の体液だと思います…」


「た、体液ーーー!?」


「しっ!静かにしてください、リュウさん!とりあえず、僕のハンカチで拭き取りましょう!ちょっと待っててくださいね、今出しますから。えっと、これ——」


 僕は、リュウに取り出したハンカチを見せる。ハンカチは、所々折れ曲がってくっついていた。


「…おい、なんやこれ……。なんか固まっとるし、ここなんて、なんやベチャベチャやないか…。ハルト、お前、俺にケンカ売ってんのか…」


「あ…」


(そうだった、僕もあの体液くらって拭いたんだった…!)


「すみません!違うんです!僕もあの体液ついて拭いてたの忘れてて…」


「はあー?じゃあ、どうしたらいいんや!早くこのベトベトした気持ち悪いこれ、どうにかしたいねん!!俺ら衣裳やから、ハンカチなんか持ってきてへんで!」


(どうしよう…!)


 パニックになるリュウに、音楽祭関係者の複数の白い視線がこちらに集まる。


(やばい、このままだとU-4の印象が悪くなる…!)


「…分かりました!そしたら、僕が今からシャツ脱ぎますので、それで拭いてください——!」


 僕がシャツのボタンを外し始めると、サッと僕らの目の前にレースのついたピンク色のハンカチが差し出される。


「うちのメンバーが、すみませんでした。私のもので申し訳ありませんが、使っていないので良かったら、こちらを使ってください」


 ハンカチを差し出したのは、動物グループの世話役をしていたウサギのような人間のような女の子だった。


「ありがとうございます、すみません」


 突然のことに唖然とした僕はハンカチを受け取ると、ウサギのような女の子はニコッと笑ってグループの方へと歩いて行った。

 しばらく、その女の子に目を奪われていたが、僕はハッとしてリュウの方へ顔を向ける。


「リュウさん!これで、拭きましょう!」


「いやや、無理や!そんなわけの分からん人の」


「そんな、ワガママ言わないでください!もうすぐ出番なので、ここから移動できないんです!」


「いやや、いややー!」


 声を荒げ始めるリュウに、またも音楽祭関係者達がまた訝しげな目を向け始める。


「リュウさん!声を落としてください!……えーーい!もう!リュウさんごめんなさいっ!」


 僕はリュウの口を片手で塞ぐと、レースがヒラヒラなびくハンカチを顔に擦り付ける。


「ハル…おま…もご……」


「リュウさん!大人しくしててください!」


 僕はリュウの顔の近くでそう囁くと、リュウを押し倒し馬乗りになり、近くにあった水の入ったペットボトルをひっくり返しハンカチに浸すと、顔をゴシゴシとこする。


「…ふう。よし!綺麗になった…!」


「……」


「リュウさん、気分はどうですか?気持ち悪いところは、もうないですか?」


「…どけよ…」


「え?なんですか?」


「俺の上から降りろっちゅーてんねん…」


「え、あ、すみません!僕…」


 慌ててリュウの体の上から降りると、リュウが頭の後ろをかきながら、ゆっくりと起き上がる。

 心なしか、顔が赤い。


「あれ…リュウさん、顔が赤いですね…?ごめんなさい、僕強く擦り過ぎましたか?」


 頬を触ろうと手を伸ばすと、リュウが僕の手からサッと顔を避ける。


「…別に大丈夫や…」


 僕から顔をそらすリュウは、少し口を尖らせている。


「…?そうなんですね。それなら、良かったです」


「はーい。次、U-4さんステージ後方にて座って待つ出番です〜。袖までお願いします〜」


 掛け声に、4人は慌てて音楽祭関係者の側へと駆け寄った。

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