23、人化
短いです………
「えっ………と?どゆこと?」
アカバナに突然、主認定されたネズは、当然の反応をする。それに対し、アカバナは説明するのは面倒くさいと思ったのか、地面に寝転びながら呟いた。
『言葉の通りじゃ。そなたは我の主となった。それだけじゃ』
アカバナはそれだけ言うと、数分と経たないうちに小さな寝息を立て始めた。
「え、ええ………?」
ネズは誰かに説明してもらいたいと周りを見渡すが、周りにいるのは、アカバナと未だ気絶しているフィネアだけだった。
「………………………俺も寝るか」
幸い、熊との戦闘で空腹より眠気が勝っており、硬い地面の上でも簡単に寝れそうだった。
「でも、魔物が来たらどうしよう………」
ネズのその小さな心配を耳ざとく拾ったのか、アカバナの目が一つだけ開き、ネズを見つめた。
『安心せい。我より強い奴はこの森にはおらん。そんな心配をするな』
アカバナはそれだけ言うと、その赤い目を閉じてまた寝息を立て始めた。
「え、えぇ………?」
ネズは半信半疑だったが、確かにアカバナはネズより強いので、その場に寝転がった。
ネズの旅の初日は、かなり濃いものとなった。
「う、う〜ん………」
まだ陽が完全に出る前、夜か朝かでいったら早朝と言いそうな空の下で、ネズは誰かの呻き声を聞いて目を覚ました。周りを見渡してみると、呻き声の主はフィネアだったようで、あと少ししたら目覚めそうだ。
「ふあ、あぁ〜………」
『む、起きたか。やはり、『白痴』は回復が早いな』
ネズの頭からアカバナの声が響いてきたので、アカバナの方を向くと、アカバナはその巨体をもうすでに起こし、黒と青と赤が織りなす空の景色を眺めていた。
しかし、それを側から見たら、白い蕾が開花する直前のような不気味さがあった。
「………やっぱアカバナってグロいよなー」
ネズの呟きを拾ったアカバナは、ネズの向きについていた赤い目の視線を、空からネズに向けた。
『む?我はさまざまな姿になれるぞ?どんな姿がいいのじゃ?』
「………え?」
ネズはまさかアカバナが変身できるとは思わず、たっぷり数秒かけて我に返り、すぐに真剣に考える。
「う〜ん………狐だったら小さくなるだけだけど、それだとグロい口も一緒だしなー………………あ、人化ってできる?」
『いけるぞ?それがいいのか?』
「うん、とりあえずその口にならなかったら大丈夫」
ネズがそう答えると、アカバナの足元から白い煙が上がってその巨体を覆い隠し、少し経ったあとに煙が空気に溶けるように消えた。そして、アカバナのいた場所には、
「………のじゃロリ狐巫女?」
「む、カグヤを思い浮かべたつもりだったのじゃがな。主殿の影響は思ったり強かったらしい」
アカバナはそう言いながら、人化するのが初めてらしく、その場でくるくると回って体の具合を確かめている。
ネズはのじゃロリと言ったが、人化したアカバナの身長はネズと同じくらい(約150cm)で、ロリというには少々大きすぎる。だが、ロリと言われたら納得しそうな童顔で、ネズと同じ白い髪、白い三角耳、白と赤のよく見る巫女服を着ていた。だが、よくよく見ると………
「俺と同じ顔………?」
「当たり前じゃろう。我の主はそなたなのだから」
アカバナの言ってることはよく分からないが、とりあえずネズは納得することにした。




