表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青い鳥をつかまえて  作者: 花南
邪魔者はこの中にいる
11/20

(11)星と月と君と願いと



現在、僕は幸せ悩みを持っています。

ひとつはアスセナが生きていること、もうひとつはアウィス・ラーラがまだ僕の家にいること。

このふたつのうちどっちかひとつならば、僕は幸せになれたのかもしれない。だけどこのふたりが揃ったから僕の現在が存在しているとも言える。


ラーラは目をぱちくりとして玄関を見ていた。

夜遅くに帰ってきてばったりと寝た僕が、目を覚ましたとき、隣にラーラが寝ていた。それだけだったらなんだ…また寒くてベッドに潜り込みやがったな、で終わりなんだけれども……むくりと起き上がったら玄関にアスセナが立っていてこっちをひくついた顔で見ているんだ。

「ミッチェル…」

「アスセナ」

まずい。まずいぞ、この状況は。

アスセナは僕が彼女そっくりな女の子を僕が買ったとでも思っているだろう。どうやってこの状況を打破するべきか。いやでも、どう説明すれば彼女は納得するというんだ。

「あなた、その子どうしたの?」

「ええと、拾いました。植物園で」

「そう」

「そのう…アスセナさん?」

「何」

「僕は別にラーラとは何もしていませんよ? うん、これ本当」

アスセナはにっこり笑うと僕の頬めがけて思い切りびんたをしてこう言った。

「現行犯で捕まっていながら弁解するな。馬鹿」

乱暴に扉の閉まる音がした。

うー、アスセナ。誤解なんだ、本当に誤解なんだってば。そのときラーラが起きて、こちらを見た。

「今アスセナがきていた?」

「ああ、うん」

「ミッチェルさんの頬赤い」

「叩かれたからね」

「なんで?」

「君とえっちなことしてたと思われたから」

ラーラは沈黙したあとに、僕の躰をやさしくベッドに横たえて、そしてその上にまたがった。

「たまにはそういうことしてみる? ミッチェルさん」

「いやそんな気分に朝からなれません」

「若いんだろ。一発くらいがんばれよ」

「下品です、アウィス・ラーラさん」

たじたじになりながら言うと、ラーラは僕の服に手をかけて脱がそうとしはじめた。

「こら、ラーラ! 僕の兎みたいなグラスハートに悪戯をするな!」

「だってアスセナが帰ってきてからミッチェルさん私にかまってくれないんだもの!」

「ミッチェル。言い忘れてたけどアズッロ隊長が呼んでたわ……よ…」

今度こそ言い逃れできない半裸の僕と下着姿のラーラを見て、アスセナが固まる。

僕のもう一方の頬にもびんたの痕がくっきりと残った。


「あの子あなたにべた惚れなの?」

「さあ、わかんない。なんか世話することになっただけ」

ようやく誤解が解けたとき、アスセナは僕に謝ってハンカチを水で冷やしたやつをくれた。それを頬にあてながら、僕はセレスティア城へと続く道を歩く。

「ラーラのこと、僕は何も知らないんだよね」

「ドッペルゲンガーってこと以外?」

「うん。どこでアスセナの姿をコピーしたかも、何も知らない」

「どこでコピーされたんだろう……」

アスセナは考え込むように呟く。

「それで、ミッチェルはどうなの?」

「何が?」

「ラーラさんのこと好きなの?」

「ええと……わかんない」

「あっそう」

わかんないからわかんないと言ったら、アスセナはへそを曲げたかのように先を歩き出した。なんだよ、わかんないんだから仕方無いじゃあないか。だけどラーラのことを好きかわからないけれども、アスセナのことは大好きだよ、と言ったらもう一発びんたがきそうな気がしたから言うのはやめておくことにした。

リリィアス様。恋愛とか七面倒なものは一切なく、みんなリリィアス様だけを愛して、みんなで仲良く暮らすってことはできないんでしょうか。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ