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氷の魔王~凍てつく心が溶かれる日~SOMEDAYIF~

ほんの少しさみしくシリアスな話です。

 それから2人は仲良く暮らした。その間魔王さまの敵に狙われたり、些細なことで仲違いしたりすることあったがそれでも2人の絆は深かった。仲良く暮らしている間魔王さまは密かに彼女がずっと自分のそばにいられる方法つまりそれは彼女の寿命を延ばす方法を探した。知人にそれとなく聞いてみると、

「元から定められた寿命を延ばすということは魂に干渉することだ。それはかなり危険で難しい」

と首を振られた。ある時二人で月見をしている時に、彼女から想いを告げられた。

するとポツリと魔王さまは彼女にこぼした。

彼女と自分は桁外れに寿命や老いるスピードも違うから口惜しい。

なんとか寿命を延ばし、若さを留める方法を探しているが、見つからない。

「お前のことを好きになっても…共に生き老いることが叶わないだろう。

取り残されるのがひどくさみしいのだ」

と魔王さまらしくなく弱気になっていた。

「氷血の魔王」と呼ばれた冷酷無比な自分と同一人物とは思えないほどに…。

彼女はしばらく黙って考えていましたが、やがて魔王さまの顔をみつめて真摯に問いかけた。

「例え同じ時を生きられないとしても貴方様は私のことをいつまでも覚えていてくださいますか。」

「あぁ。この世にお前を知るものが誰ひとりいなくなっていたとしてもお前を忘れないでいよう。

忘れもしない。永劫に近い退屈な我が人生に色をつけてくれた唯一の女だ。」

そう言い切ると魔王さまはふと悩みの糸口がすとんと解決されたように感じた。

そうだ、例え死で別れたとしてもその絆は切れたりしない。

いつかまた会える根拠もない確信が自分にあった。

「それに必ず私が終わりを迎えたとき迎えに来てくれるだろう?それまでの辛抱だ。

なに、お前に会う前から悠久に近い時を生きているのだ。だから逝くのはそうかからないさ」

そうおどけて笑って言った。ちょっとはにかんだような笑いは彼女と会って生まれたものだ。

「では約束ですね。」「あぁ。約束だ」

二人だけの決して違えない約束を交わしてからそう時が経たないうちに彼女は逝った。

 

 それから男は彼女の事を想いながら気の遠くなるほどの長すぎる人生を生きた。

その間魔界の表舞台から一切姿を消し、姿と名を変えひっそりと彼女と暮らした人間界で暮らした。

魔族の寿命は魔力の大きさに比例する。魔力を維持できないといつか終わりに迎えてしまう。

魔力を維持するとは他からエネルギーを取り入れるということ。

つまり魂を喰らうことであるが、魔王さまは彼女と会って以来、他に勧められても頑としてそれを拒んだ。

そしてどんなに力の飢餓に苛まれようともそ知らぬふりで無視し続けた。

彼女を看取ったとき、その魂のあまりにも清らかで美しさに彼は息を飲んだ。

「これ程までに美しい魂は見たことないな。これを食べれば、何千年も力を振るうことできるだろう。

だが、そう無駄に生きながらえる理由などないし、絶対にそうしたくない。」

目も覆いたくような眩しさの光の玉。「共にいてくれるな?時が来るまで」

そう優しく語りかけると、頷いたように魂の輝きが増したように思えた。

魔王さまは跪いて愛しい人の魂を掲げて最敬礼してあちらへ自ら送り届けた。

彼女が側にいる時は封じていた本当の姿に戻るのはこれが最後だと決心しながら。

 力を使い果たしたとき、永遠に近い存在だった彼はようやく彼女に会いにいくことができた。

彼女は三途の川の辺で待ってくれた。どれだけ冥府の獄卒らに催促されて、脅されたとしても

あまりの強情さと一途さを気に入った閻魔が彼が来るまで留まることを許した。

そして彼の様子を見守れるよう岸辺の水面に時折様子を写してくれたのだ。

やってきた彼を出迎えたのは彼女だった。彼女らは強く抱き合って喜んだ。

そして川を渡り、冥界の最奥にある輪廻の輪のあるところにたどり着いた。

「では渡ろうか。例え離れ離れになろうともお前とは必ず巡り会えると信じている。」

「えぇ。私も信じていますわ。貴方は約束を守ってくださいましたから」

心配していませんと口にこそしないがそう優しく言った気がした。

二人は手をつないで笑いながら渡っていった。

「人外×人間ラブ企画」のお話を知った時に、色々な組み合わせで話浮かんでは消えました。

がふとメモ帳に書いたこの「SOMEDAY IF」の元になったネタを膨らませて

ようやく書ききりました。

また投稿する機会がありましたらよろしくお願いします。

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