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ポストリュード
絡み縺れる世界の流れに、一つ特別な魂が宙を舞う。
3の形をしたその証が、涙に抱かれて優しく包まれるのを聞く。
届いたはずの掌が、及ばない身を置いて自由を愛した。
直接の面識のない彼女だが、話には聞いて、特別だった。彼女と意識を共有できたなら、一体どれほど満たされただろうかと……今となっては叶わぬ思いに目を閉じる。
不思議と零れない涙。けれども隣を見ればピスの魂は悲しんでいて。
それならきっとケスも同じだと安堵をしながら。
繋いだ掌をどちらからともなく握りしめれば、まだそこにいる形に温かさを覚えた。




