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プレリュード
残り香が燻る景色。
舞う残滓に混迷する未来を垣間見て、既に手を離れた無力さに掌を握る。
彼の力があれば彼女たちと楽しさと自由を共有できるのに。
そんな叶わぬ願いが、隣の自分の視線と重なる。
道端の石ころに所縁はなく。有り触れた自然が及ばない歪みに、特別さを憂う。
扉も道も、もう見えない。手繰るきっかけも返した後。
残ったのは非力で足りないはんぶんと。合わせても一つで全てな自分だけ。
見えても。聞こえても。
為す術のない目の前の現実が、ただ無情に流れ行く。
彼女ならば……彼ならば、或いは。
そう願う指先は、重なる温もりへ縋るように絡まった。




