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ポストリュード
変わらぬ中にいた5と言う特別。類稀なその存在に、それから彼女を重ねる。
数少ない五つ目。ピスと共に見てきた世界で、数度しか見たことのない、稀少。
あれは一体なんだろうか。答えを知らぬまま、想像と期待だけが膨らむ。
傍らの自分と見詰め合えば、彼女もまた同じように首を傾げた。
世界にはまだ、知らない事が沢山ある。
惑う魂、歪む形、五つ目の存在……。この興味は、一体いつまで続くのだろうか。
本能に語りかけるような問いは、けれどもきっといずれ飽きる普通へと変わってしまうのだろう。
それが怖くて、また二人で互いを覗き込む。
世界が知らない事だらけなら、こんなに退屈しなくてもいいのに────




