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幕間3 そして幕が上がる

「なるほど。これで、これまでの色々が納得いったわ」

「ほうか・・・ほれはほはっ・・・・・・ユリン、ユリン。話しながら頬を引っ張るのをやめてくれないか」

魔王=マグ、にいまいち納得し切れないユリンは、話を聞きながら魔王の顔やら体やらをペタペタと触っていた。

さすがに、頬を引っ張ったところで魔王に手をつかまれ、制止された。

「ちょ、ちょっと、マグ兄。そんなに、強く握らないで」

「あ、いや、その・・・すまぬ」

とんだラブコメ空間と化しているが、紛れもなくここは魔王城(ラストダンジョン)である。

「しっかし、ユリン。魔王を惚れさせる勇者って、お前すげーなー」

やり取りを遠目に見ながら、スライクが茶々を入れる。

「ほ、ほれっ!?

スライクごめん・・・まだ、頭がついていってないからその話題には触れないで・・・」

「あらあら、あないに顔あかぁ〜くして、可愛いったらしゃ〜ないな〜」

「カキツバタもーー!あぅ」


「さて。このままこうしていても何も進展しそうにないですので。

ひとまずは、お部屋を用意いたしましたので、ゆっくりしてください」

一通りの事情説明も終わり、現在の状況はなんとなく見えてきた。

問題はこの後どうするか、である。

これまで魔王は倒すべき敵、としてやってきたものを、何もなかった、とするわけにはいかない。

かといって、改めて敵対する、という気が削がれてしまったのも事実。

(これが全部魔王はんのシナリオやとしたら、あてら完全におどらされてるわけやけど・・・

そうする利益があちらさんにあらへんのも事実・・・

念の為、注意だけしときましょかね〜)


案内された部屋は、最低限の家具しかない質素な部屋であった。

ただし、ベッドはこれまでのどの宿のものよりも柔らかく体を包み込んでくれる最高級品であり、緊張感と疲れから解放された体はすぐに眠りに落ちてしまいそうだった。

だが、ユリンは考えることがあまりにも多すぎて、なかなか眠ることはできなかった。

(久々にゆっくりお風呂も入れたし、お布団も柔らかいし、何かの罠にはまって幻でも見てるんじゃないだろうか)

だが、確かにあの時触ったマグの感触は現実であったとしか思えないし、Lv.98になる前には、状態異常完全防御のスキルを習得していたはずだった。

(マグ兄の言っていたことを本当だとして・・・う、一目惚れとか言われてもどうしたらいいのよ・・・た!確かにマグ兄のことは嫌いじゃない。

でもでも、10年会ってないのに急に言われても。てか、そもそも一緒にいたのも3日だけだし!)

一人百面相をしながら、ユリンの思考は進みかけてはすぐに戻ってきてしまっていた。

勇者、とはいえ、恋愛に興味がないわけではない。

(と、とりあえず、これは、置いておこう。

他のことが何も考えられなくなっちゃう!)


「とりあえず、もうマグ兄を倒すとかは考えられないし、どうしたらいいかなぁ・・・」

ポツリと、頭の中だけでは整理しきれなくなったユリンが、口に出してヒトコト漏らした。その時、

「んーーー、ユリン・・・さん?それだとさー、ちょーーっと困るんだよねー??」

神を名乗るいつもの声が響いた。


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