わたしは添乗員
「えっ。もしかしてランキング1位を狙ってるとか?その企画で??」
お母さんが私の手にした明日出発の旅の旅程表タイトルをみて、言ってきた。
「なにいってるの!?これ、鉄板企画なんだよ。魔法バス12台分が満席で埋め尽くされてるんだから。」
そう、私の復活第一段となるこの旅行は、すごい人気を誇っていた。なんと、50人かける12台、定員600人のツアーが埋まってしまったのだ。
ツアー名は、「皇后 ルナといく 究極のエンジョイツアー」。
ふっ、ふっ、ふ。ターゲットが正解だったと思うわー。わたし。少しお歳を重ねた女性陣。自分のためにお金や時間を使うことをいとわなくなった人たちよ!
内容はというと、うちわやペンライトを作る究極の手作り体験。もう観光だけの旅行は生きつくした方々にも手作り体験は人気なんだよね。
そして、メインイベント前日には『メインはシシカバブ! カプサ(蒸しピラフ)・ミートローフ・サボテンの素揚げなど、砂漠料理100種類バイキング』が夕食でつくのよ。やっぱり、主婦の皆さん、日ごろは夕食の品数を増やすのも面倒になってたりするから、バイキングは種類の多さが肝なのよね。
そして、メインイベントはなんといっても『王太子サトゥー 20歳記念コンサート』なのよね。プラチナチケットを600枚確保するの、本当に苦労したわ。皇帝の権力ってかなり役にたつのよね。
このコンサートに手作り応援グッズを持っていき、めいいっぱいトキメいてもらうわ。素晴らしいうちわをサトゥーさまが気づいてウィンクなんてしてくれちゃったら盛り上がるだろうなあ。
旅程表を見て母がつぶやく。
「あなた、皇后になっても、結局はバスツアーから逃れらてないのね。」
そういわれても、満席の大規模ツアーに私は満足である。
私は皇后である前に『イチ添乗員』なのだから。
お母さんと語らう楽しい夜。その時点で、私はまだ知らない。
翌日のバスの座席、最前列に座る人を見て自分がまたあんなつぶやきをしてしまう日々をはじめてしまうことに。
「げげ。イミテーションジュエリー三人組!あ、いえ・・・、精霊女王さま方・・・。ようこそ本ツアーに!」
本小説を最後までお読み下さいまして、本当にありがとうございました。みなさまの閲覧を励みに初の長編を完結させることができました。初挑戦であったため、読みづらい点等多々あったかと思いますが、ここまでお付き合い下さったことに感謝の気持ちで一杯です。
皇后 瑠奈の旅人生は、まだまだ始まったばかりですので、いつの日かまた皇后が行く!的な旅の物語を追加できればいいなあと、思っております。
新連載『大公爵令嬢唯一の敵は天使の微笑み』を今後は、執筆して行こうと思っています。。頑張る女性の物語を応援下さった方々には是非そちらもお読みいただけたら幸いです。
末筆になりましたが、お読みいただけた方全ての皆さまに、リアル、想像問わず、幸せな旅時間が訪れることを祈って、最終話を終えさせていただきたいと思います。