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第二話 天啓

部屋に戻され、申し訳ないが乳母達の心配の声を無視して、私は布団の中に引きこもった。この膨大な量の情報を理解するには処理が追い付かない。私の名前、王子殿下の名前、一流と名高い学園の名前。得た知識と現状持ち合わせている知識を点と点をつなげるように照らし合わせる。

まず、ゲームの内容。貧乏男爵家の名ばかり令嬢だったヒロインが聖女として覚醒して、学園に入学するところから始まる乙女ゲーム、だっただろうか。そして乙女ゲームらしく攻略対象となる人物がおり、その中から一人を選んで恋愛をするという物だ。相手は五人。王子殿下、宰相候補、騎士、神官見習い、悪役令嬢の義弟。登場人物はモブを含めると沢山居るがメインとなる人物はこの五人とヒロインと、もう一人。このゲームの悪役令嬢、ミュリエル・ロビンソン。

この私だ。ミュリエルは主に、生まれや身分等ヒロインの親を貶したり、ヒロインの世間知らずさを利用し恥をかかせ嘲笑ったり、ヒロインを傷物にしようとしたりと散々な事をする。

ただ、ミュリエルが主に登場するのは最初期、王子殿下と義弟のルートのみで、その他にはお局的立ち位置として少し登場する位なのがせめてもの救いだった。

ヒロインはヒロインらしくそんなミュリエルにも救いの手を差し伸べるのだが、ミュリエル本人が跳ね除けたり、ミュリエルの親の悪事が晒され家が消えたり、攻略対象に攫われ監獄に入れられたり。まともな最後が修道院行きしかない。散々過ぎる。あとは…。





どのくらいたっただろうか。処理し終わった。

だがまだ他に、この記憶の意味と髪色の変化について考えなければいけないのだ。

まず考えるのはこの記憶が手に入ったきっかけ。これは礼拝堂に落ちた雷、だろうか。その時ステンドグラスの女神様を見て映像が流れた気がする。ならば、きっかけは雷ではなく女神様?記憶は思い出した、というよりは急に入ってきたという方が近いだろう。

急に入ってきた記憶で、かつ、きっかけは女神様。この状態を言い表すのなら確か、天啓。それならば私の髪色が二回変わったのも納得がいく。天啓を受けるのは聖女だけなのだ。だから私の髪は銀色になった。髪が変化するのは、十数世代前の聖女も黒髪から白金髪に変わったと伝わっている為、特に珍しいことではない。 女神の髪の毛は白とされている為、白に近い髪色の者は聖女候補となる。そして天啓をうけ、正式な聖女とされるのだ。

ではこの天啓の意味は何だろうか。おそらく重要になるのは私の断罪。ヒロインは断罪後どうなったのだろう、それが関係してくるのでは。ゲームの王子殿下のルートでは断罪して終了だった。

…もしかして、その後に何かアクシデントが起こったのではないか?ヒロインは聖女だ。 先程、聖女は女神の使者と説明したが、それだけでなく聖女は女神のいとし子でもある。

ならば女神様がヒロインを幸せにしたいと考えるのは普通だろう。その為には私の力が必要で、おそらく私にしか出来ないこと。

…確かゲームではお妃教育をして下さった王妃様は学園入学の少し前に亡くなってしまう。過去に流行った病に今更なり治療が間に合わず。お妃教育は王族にしか伝えてはいけないこともあったそうだ。その為断罪時点では王太子妃になる予定だった私しかその内容を知らないことになる。

ゲームのクレジットの後ろで修道服姿の私が何かを飲んでいる場面があった。おそらくその事実に気が付いて最後の嫌がらせでもしたのだろう。

もう今は別人であるが、つくづく嫌な人間だ、私は。女神様は、そんな人間だったとしても聖女の為に私を選んだのだろう。私にしかできないから。 流石に病を流行らせないのは女神フェイティニーには無理だから。

だから私の髪色は戻ったのだろうか。私が聖女と周りに認識されると本来の聖女であるヒロインが聖女として神殿に呼ばれず、学園に通えなくなってしまう。そうなるとヒロインの幸せへの近道が消えることになる。男爵令嬢でありながら生活がギリギリだったヒロインは、自力で学園へは通えない。だから聖女になったことによりご両親に楽をさせてあげることができるようになったのだ。そして今まで忙しさで気にすることも出来なかった恋愛ができるようになった。私は他人のありふれた幸せを踏みにじりたくない。普通が出来なかったヒロインをこれ以上苦しめるのは残酷だと思うから。

話が逸れたが、この天啓がヒロインのために降りてきたのだとしたら私は何をすればいいのだろうか。ヒロインの為にゲーム通り学園に通えるようにしなければならない、でもゲーム通り過ぎてもいけない。

…確かミュリエルは掲示板で悪役のくせに抜けすぎていると言われていなかったか。それならば。

完璧な、悪役らしい悪役になってやろうではないか。あぁ、そうだ。


「どうしようも無い運命ならば、悪役は悪役らしく全力で乗ってやりましょう。」


それじゃあ、先ずはこれからの計画を立てる事にしようか。


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