高梨ここあ知らずに大物を退治します
元の世界で聞いた事があります
巨大なゾウは戦車と同じだと、小さな銃では皮膚の表面を傷つけるのが精一杯と
首筋に嫌な汗が1滴垂れます
こんな事なら1日待ってもう少し強力な武器を用意するべきでした
敵は全長3mの巨大な狼、果たして5.56mmが通じるのでしょうか
逃げてくれればと思いを込めて巨大な狼の足に数発打ち込みます
「パンパンパンッ!」
すると、巨大な狼はその巨体に似合わず後ろに大きく飛び跳ねます
私を危険な敵と認識したのか、こちら目掛けて全力で突進してくる
「危険を察知して逃げましたか知能も高いようですね
良いでしょう、m-16の威力を思い知ると良いのです!」
相手の眉間目掛けて連続射撃を行う
静かな森に発砲音が響く
「パパパパパパパパパパパッッッ!」
半分は命中しました、だけど狼の突進は止まりません
「なっ、やばいっ!」
反応の遅れた私は、全力で左側に回避する
「ふぅ、ぎりぎりでした、だけどお陰で背面と取りましたよ
どんな生物でも後ろは弱点って相場が決まってるのです!」
肩膝を地面に置き、肩に銃を構えて全力射撃を開始する
「ぐるぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
最初の射撃が効いていたのか、今のが決め手なのか分かりませんが
大きな咆哮と大人しくなる
「ぐぅぅぅ・・・」
まだ生きているようですね、可愛そうですが止めを刺しましょう
狼の額に銃口をくっつけると一発発射する
「パンッ」
森に静けさが残る
周りを見るとスターウルフ19匹とこの大きな狼が一匹倒れている
「ふぅ・・・準備が甘かったですね、取り合えず全部アイテムボックスに入れてギルドに戻りましょうか・・・」
このスキルは本当に便利だ、全部収納したのを確認するとギルドに戻ることにする
「ただ今戻りました」
受付のお姉さんがにっこり出迎えてくれる
「あ、ここあさんお帰りなさい、心配してましたよ~
えっと依頼はスターウルフの討伐でしたね
ギルドの依頼でしたのでこちらで買い取らせて頂きます
アイテムボックスに仕舞ってある物をこちらに出してもらっても宜しいでしょうか?」
「良いですけど、少し多いですよ?」
受付のお姉さんは笑顔を崩さない
「もしかして3匹くらい狩れましたか?流石はジンさんがお認めになった期待の新人さんですね~」
どうしよう、本当の数を教えるべきか・・・
お金も居るし正直に報告する事にした
「いえ、もう少し多くて19匹なのですが・・・」
お姉さんの笑顔が少し引きつっている
「ここあさん、新人だからって手柄を急ぐのは分かります
だけど、報告は正確にお願いします」
はぁ・・・やっぱりこうなりますか・・・
「仕方ありませんね、これで信用して頂けますか?
後ろを振り向くとその場に19匹出してみせる
お姉さんの笑顔が焦りに変わった
ギルド内がにわかに騒ぎ出した
「えっ?ここあさんこれをお一人で・・・?」
「うん?そうですよ?」
私は首をかしげながら答える
すると、奥からギルドマスターがやってきた
「何事だ、何だまたお前かって何だこれは!?」
「あ、ジンさん忙しい所すみません、これは実は先ほどここあさんが受けた依頼なのですが・・・」
「数時間で帰ってきたと思ったらこの数か?」
「はい、どうやらそのようで・・・」
ギルドマスターが私を見る
「ここあ、これは本当にお前が倒したのか?」
「うん?そうだよ?あ、そうだついでに大きな狼も倒したんだけど見てくれる?
「大きな狼だと?」
アイテムボックスから先ほど倒した巨大な狼を取り出す
「ほいっ」
巨大な狼をスターウルフの側に設置する
「なっ!?こいつはウルフキングだ、通常は上位の冒険者がパーティーを組んで倒せるかどうかという魔物だが・・・」
感づいては居たけど、どうやらこの巨大な狼はスターウルフじゃないらしいです
ギルドマスターはウルフキングに近づきじっと観察している
「額、尻、足に穴が開いている、どうやらお前が倒したのは本当のようだな」
「さっきから、そう言ってるじゃありませんか」
「そうだったな、こいつはギルドで買い取らせてもらいたいが良いか?」
「構いませんが、ちゃんと査定して下さいね」
「分かっている、有望な新人に逃げられたら適わないからな、ちょっと待ってろ」
色々苦労しましたが、これで今晩は暖かい宿に泊まれそうです
「さて、待たせたな、まずはスターウルフの討伐が19匹だから金貨1枚銀貨9枚だ」
「はい有難う御座います、それでこの子の分は?」
首を傾げるとギルドマスターは飽きれた表情で溜息を付く
「まぁ、まて普段こんな大物は滅多にお目にかかれないからな
ギルドで買い取れるのは金貨10枚だ」
「えっ!そんなに?」
あまりの金額に思わず後ずさる
「こいつは貴重な魔物でな、上位魔物に位置する大物だ
普段はアルカンティアの近郊には出没しないはずなんだが」
そうなのですか、そんな大物だったとは前世の悪運癖がこちらでも同じ様ですね
「さぁ、受け取れ、少し色を付けて合計金貨12枚だ」
「有難う御座います!」
受付のお姉さんにも挨拶を済ますとギルドを出る
外はすっかり夕暮れだ
私は足早に宿に向かう、すると広場にある掲示板のポスターに目が留まった
「第一回アルカンティア武道会を開催します アルカンティアで一番強いのは誰だ
武器の使用は自由、腕に覚えのあるつわものよ集え!
(優勝者には金貨100枚に加え国王陛下に何でも一つ望みを聞いて貰える権利を貰えます)」
これだ!?
武器の使用が自由なら私にもチャンスはあります
これはいよいよ面白くなってきましたよ!
高梨ここあ17歳、この世界に来てやっと目標が見つかりました