表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/46

高梨ここあ野宿します

「申し訳ございません、ここあ様私が不甲斐ないばかりに・・・」


戦闘の後、あの場に滞在するのが危険だったので、

帝国の首都ベルンの近くで着陸して野宿している


「良いのです、それより今後私を守るためとは言え無茶しないで下さいね」


「私はここあ様の剣であり盾でもあります

 この命はここあ様の物ございます」


ラプターはこうなっては頑固者だ、私がもっとちゃんとしないといけませんね


「程々にお願いしますね、それとペスコ先程は助かりました」


「ん?我はここあに世話になってるからのぉ

 この程度で良ければ朝飯前じゃ」


ラプターは真っ赤な鼻を書いている、とっても可愛いです


「それより、ここあ先程のスキルは何じゃ

 あんな出鱈目な威力聞いたことがない

 神器グングニルでもあれ程の威力は出ないぞ」


神器とはこの世界の勇者たちが装備していた武器らしいです

100年前の人魔戦争で皆やられちゃったらしいのですが・・・



「あれは、詳しく説明するのは難しいのですが

 一言で言うなら人類の英知の結晶ですね」


「ふーん、人族は凄いものじゃの

 我々魔族は生まれつき強大な力を持ってるがゆえ

 研鑽を怠っておるからのぉ

 100年前の戦争も、人類の兵器によって次々に魔族がやられたと聞く」


人魔戦争では、神人が旧型戦艦を使って魔族を倒したと言われている

100年前・・・丁度私達の歴史では第一次世界大戦の時代です

やはり神人とは私と同じ転生者なのでしょうか


「ゆくゆくは私もその人と同等の、

ううん、遥かに強大な船を呼び出せる可能性があると知ったらどう思いますか?」


今はまだ無理ですが、行く行くはイージス艦や原子力潜水艦、正規空母

可能性は無限大です


「じょ、冗談だろここあ?」


「ふふ、どうでしょうね」


私は笑顔を向けるとペスコが苦笑いしている



「ラプター、ジャスミンさんの様子はどうですか?」


「はっ、ぐっすりをお休みになられております」


「起きたら何て説明しましょうか・・・」


そう、あの村では魔族によってエルフの村が虐殺されていた

おそらくジャスミンさんの家族もあの様子では生き残りは居ないでしょう


「んっ・・・ここは・・・」


ジャスミンさんが眼を覚ましたようです


「あっ、ジャスミンさん何処か痛いところはありませんか?


「うん・・・私は大丈夫、確か私の家に入ってそれから・・・」


ジャスミンさんの動きが止まった


「思い出した、そうだここあちゃん私の家族は、家族は無事なの!?」


私に飛びかかってきた


「落ち着いてください、ジャスミンさん恐らくはもう・・・」


「ここあちゃん、私ね村を出るのは反対されていたの

 でもね、ある程度成功するまでは家に帰らないって決心してたの

 でね、ギルドマスターにまで上り詰めてようやく皆に会えると思って

 それなのに・・・それなのに・・・」



この世界は冷酷だ、人の命なんてマッチの炎よりも儚い

元の世界では、余程の事がない限り人の死とは縁遠かった

この世界も元の世界と変わらないんじゃないか

そう、思ってた私が甘かった

現実はとても残酷だ、知り合って間もないけれど

ジャスミンさんのこんな顔を見ると怒りが湧いてくる


「ジャスミンさん、ごめんなさい」


そう、私は謝ることしか出来なかった

情けないけれどそれしか言葉が思いつかない


「ああああああぁぁぁぁぁぁ」


ジャスミンさんは言葉にもならない声で泣き叫んだ





「ごめんなさい、ここあちゃんみっとも無い姿を見せたわね」


泣き止むと、すぐに元の冷静なギルドマスターに戻った

今は暖を囲い夕飯のスープを食べている


「いえ、身内のあんな姿を見せられたら誰だった・・・あっごめんなさい」


私は一瞬失言と思い身を拒めた


「ふふ、良いのよここあちゃん、ギルドマスターをやってるとね

 人が死ぬことに慣れてしまうの

 冒険者ってとても危険な職業でしょ?そう、死に慣れていたつもりだったの

 そう思っていたんだけど、違ったの

 死に慣れたんじゃなくて考えないようにしてたのよ

 だから、知り合いの冒険者が亡くなった時も冷静でいられたの

 何て酷い女なんだろうね」


違うそうじゃない

そう言いかけて私のは言葉を飲み込んだ

私はまだ死とうものを経験してない

ラプターやペスコが同じ目にあったら、私は正気でいられるだろうか?

多分無理だと思う、こうして平然と装ってるだけジャスミンさんは凄いんだ


「ごめんなさい、ここあちゃん

 困らせてるつもりはなかったの

 ごちそうさま、スープ美味しかったわ」


そう言うとジャスミンさんは横になって寝てしまった



「ねぇペスコ」


「ん、なんじゃ?」


「100年前の人魔戦争で活躍した神人って今は何処にいるのですか?」


「ふーむ、大半の魔族は滅ぶか隠れてしまったからのぉ

 魔族側の資料にもその後どうなったか分からないはずじゃ

 しかし、人族の寿命は良くて100年、今はもう居ないんじゃないかのぉ?」


つまり、不明ということですか

この世界について情報が足りませんね

もう少し冒険者家業を続けて情報収集する必要がありそうです


「すみません、変なこと聞いて

 さてと、今日は寝て明日に備えましょう」


高機動車が破壊されてしまったので、今日は普通に野宿です


うう・・・腰がいたいです・・・

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ