機械の王
最初の衝突の後。
部族の野営地では沈黙が広がっていた。
戦士たちは多くが生きている。
だが士気は砕けていた。
死ではない。
技術の屈辱だった。
弓も槍も魔法も。
アドリアンの兵器には届かない。
丘の上からカエルは都市を見ていた。
夕焼けが彼の背中を赤く染める。
かつて救世主として見ていた戦士たちが、
今は不安そうに互いを見ていた。
予言はまだある。
だが――
世界のルールが変わっていた。
都市の中では貴族たちが集まっていた。
議論の内容は名誉ではない。
英雄でもない。
アドリアンだった。
壁を強化すべきか。
傭兵を雇うべきか。
ある者は言う。
「交渉するべきだ」
「ヴァルモンの産業に乗るべきだ」
都市は二つに割れ始めていた。
英雄の過去を見る者。
技術の未来を見る者。
カエルは決断した。
正面衝突はしない。
部族を都市の外に退かせた。
逃げたわけではない。
だが――
彼の伝説には、初めて影が差した。
一方。
都市の中。
アドリアンは祝わなかった。
ただ見ていた。
貴族たちが彼を計算し、
恐れ、
必要とし始めているのを。
射手たちは休んでいる。
オートマトンは弾薬を生産している。
そしてヴァルモンの兵器は、
静かに待っていた。
この世界のゲームはもう
泥でも剣でもない。
精度。
物流。
支配。
それが新しい力だった。
ナラはその意味を理解した。
英雄はもう歴史を動かさない。
世界は新しい力へ進んでいる。
そして――
その先頭にいるのは、
彼らだった。




