表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生してもムショクでした ~無能と呼ばれた『無色』の魔導士は色に染まって無双する~  作者: 越水けい
緑の章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/64

五十九話 天より穿つ


 森の中、緑のマスターのリーリヤと、緑の七戦帝のヴァルヴァラが対峙する。


「タイプ、カクトゥス」


 その言葉と共に、リーリヤの肌に無数のトゲが生え始める。


「ニードルストーム!」


 風と共にトゲが舞い、鋭いトゲの嵐がヴァルヴァラを襲う。


「グルーミースナイプ・ジャヌスト」


 ヴァルヴァラは素早く弓を引き、矢を放つ。


 その矢は飛んでいる最中、周囲のトゲを黒く染め、自分の攻撃に巻き込んでいく。


 リーリヤは黒のトゲと矢を風で薙ぎ払った。


「ずいぶん陰湿な魔法ね」

「そういう魔法が好きなの。いいでしょ?」


 ヴァルヴァラが笑いながら弓を引く。再び彼女の体を醜悪な見た目の植物が覆う。


「グルーミースナイプ・ヴァッサカニエリ」

「自分の下僕を撃った?」


 矢の刺さった下僕たちは、ふらふらと立ち上がると、突然雄叫びを上げた。キノコの成分で脳の神経を刺激されて、力がみなぎっているようだった。


「私の魔法も元は緑の魔法。治癒とか、植物の成分を流し込んで身体強化とかはお家芸だからね」

「ならこちらも。超治癒ハイヒール


 今度はリーリヤがパーシヴァルやソニア、リェナ達に魔法をかけた。


「一瞬で傷が治った……?」


 リェナが信じられないと言うように自分の体を見る。


「白髪の君は休んでおいた方がいい。君には魔力が残っていない」


 リーリヤはリツに冷たく言う。


 リツも無言で頷く。


「僕たちは下僕の相手をします!」


 すっかり元気になったパーシヴァルが剣を抜く。


「頼んだ。君たちも神経を刺激する魔法で一時的に身体能力を上げている。安心して戦うといい」

「本当! 体が軽い!」


 ソニアもダガーで下僕の攻撃に応戦する。レンジャーたちと、下僕は同程度の強さの様だった。


「さて……」


 リーリヤはヴァルヴァラに向き直る。


「やっと本気を出してくれる?」


 ヴァルヴァラは舌を出して微笑む。


「タイプ、フォレスト」


 リーリヤは何も言わずに、自身の究極の形態へと変身する。腕や背中からは気が生えており、体を包むように葉が生い茂っている。


「フォレストスナイプ・アトリーチュナ!」


 リーリヤは天高く飛び上がると、太陽を背にして、森の力を最大限に込めた一撃をヴァルヴァラに放つ。


 それはまるで、森が空から降ってきているようだった。


「グルーミースナイプ・リヤヌスト!」


 ヴァルヴァラも負けじと禍々しい矢を放つ。


 意外なことに、ヴァルヴァラの放った矢はリーリヤの究極の攻撃と拮抗している。


「この魔法は敵の魔法の攻撃が強ければ強いほど、強くなるの!」


 ヴァルヴァラはそう言いながら矢に魔力を送り続ける。


「それはすごいな。だが、その程度の魔法に私が負けるとでも?」


 リーリヤは焦ることなく、笑みを見せる。


「どうして? 私の魔法が押し負けてる? 何で魔力がなくならないの?」

「光合成よ。私は光がある限り半永久的に魔力を回復できるわ」


 全身に葉を広げた今のリーリヤは太陽の力によって無敵だった。


「そんなぁ!!」


 魔法を維持できなくなったヴァルヴァラは、リーリヤの矢を食らい、四散した。


「今日だけでもう三体目かぁ……」


 数秒後には、ヴァルヴァラは別個体となって復活していた。


「まったく。きりがないな……」


 リーリヤはため息をつく。





 モルとアカリは森の中を、キューブを探しながら歩いていた。


「なんかさっきから周りが騒がしくないですか?」


 モルが心配そうにあたりを見渡す。


「そうね……他の受験生の人たちが戦ってるんでしょうね」

「それにしては何だか数が多いような……」

「――きゃっ!」


 アカリが悲鳴を上げる。


 彼女の前に一人の男性が転がってきたのだ。


「何?」


 モルもすぐに駆け寄る。


「トオルじゃない! どうしたのよ!」


 アカリは転がってきたトオルを見て叫ぶ。


「御子だ……気をつけろ……」


 トオルがうめくように返す。


「御子?」

「セントラルを襲撃したあの幼女のことですね……」


 モルが額に汗をにじませた。


「ティムールさんも!」


 今度はモルの前にティムールが吹き飛ばされてくる。


「あれは、まずいぞ……」


 ティムールも、死んだような目をしていた。


 その先には、真っ黒な目をした幼女、御子が立っていた。


殺戮エリミネート


 御子は手に持った真っ黒な大鎌でモルたちに襲い掛かる。


「来て! ケートス!」

「緋桜!」


 モルとアカリは、かろうじてケートスと桜の魔法で御子の一撃を受け止める。しかし、御子は二回目、三回目と次々と鎌を振り回す。


 アカリも刀で受け止めるが、対処がギリギリ間に合っているだけで、攻撃はほとんどできていない。


「朱雀、二人を守ってくれ!」


 トオルが寝ころびながら叫ぶ。


「任された。この娘を倒せばいいね」


 人型で召喚されてきた朱雀が淡々と言う。


「やりすぎるなよ?」

「それは保証できないかも」


 朱雀は猛スピードで御子に迫ると、アカリやモルのことは気にせずに、猛烈な蹴りを加える。


 御子は蹴りによって一瞬のけぞるが、すぐに超人的な反応で鎌を振った。


 朱雀もすぐに反応して、それを間際で避ける。


「ちっちゃいのに強いのか。すごいかな」


 朱雀も御子の非人間的な動きに少し焦りを見せる。


 しかし、少しずつ御子の動きが鈍くなっているのも確かだった。


「ケートス!」


 朱雀が斬られるのをモルのケートスが間に割って入ることで防ぐ。しかし、ケートスは魔界に帰されてしまう。


「せめてあの魔法道具を……!」


 更にアカリが好きを狙い、胸元の魔法道具に刀を伸ばすが……


「――おっと。それはやめてもらおうか?」


 突如、割り込んできた男に刀を握られてしまう。


「ジャック、力を借りる」


 突如現れた男、黒の帝国の大隊長、ベルセルクの右腕が猛獣の者に変化する。


斬撃スラッシュ

「嘘?」


 アカリは突然の攻撃を防げずに、斬撃によって数メートルほど飛ばされてしまう。


「ベック、力を借りる」


 ベルセルクは今度は、自身の顔をドラゴンのものに変形させた。


「え? 顔まで?」


 モルが立ち尽くす。


「咆哮(ロア―)!」


 ベルセルクが放った咆哮は、モルと朱雀を巻き込んだ。


「凄まじい魔力だよ……」


 朱雀も倒れこむ。


「二人……と一匹! 大丈夫か!」


 トオルがアカリ達に駆け寄る。


 彼女らの肌には痛々しい、駒かな傷がびっしりと刻まれていた。


「久しぶりだな。トオル・ムメイ」


 ベルセルクが、倒れている御子を抱き起こしながら言った。


「ベルセルク、お前!」

「まったく。俺の妹に何をするんだよ。傷が付いたら大変だろう」


 ベルセルクは冷たい目でトオルを睨む。


「お前こそ、こんな小さな子に戦わせるのが正しいと思ってるのか!」

「黙れ。お前が正義を語るな。無知に発言権は無いんだよ。御子は本心で戦ってる」


 御子を気によりからせて座らせると、ベルセルクはトオルを見た。


「力を借りるぞ。フィーネ、ジャック、ヴェイン、ベック、アルカトラズ」

「は?」


 ベルセルクの腕は虎に、体はドラゴンに、羽根は生えて、足は鋭く爪の生えたものに、顔も凶暴な獣の姿に変わった。


「フォーム・キマイラ。この場にいるお前の仲間を全員殺して、お前を堕落させる。それですべて終わりだ」


 声すらも変わったベルセルクが叫ぶように鳴いた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ