拝啓 大事な人へ
「陛下、ノーブル国王妃ネージュ様より書簡が届きました」
「いますぐ読むから人払いを…。と、オパール公爵をすぐに呼んでください。先に読むとうるさいですからね」
グラソンが頭を押さえていると扉の外が騒々しくなり強引に開かれた。
「グラソン、ネージュから手紙がきただろう!」
「相変わらず行動が早いですね。お茶の準備が出来たら読みましょう」
執務室の隣には、休憩室がありそこにお茶が準備されている。思い思いに座るとグラソンが手紙の封を切った。
拝啓、親愛なるお父様、お兄様へ
雪が溶け新緑と林檎の花が見られる季節となりました。クラウディオと結婚したのが雪深くなる前の秋だったのに季節が変わるのは、早いと思います。
お兄様が国を騒がせていることは、商人伝で聞いております。新しい法案や交易を増やしており商人や農民が嬉しい悲鳴をあげているそうですね。宰相や文官達を困らせ過ぎないようにしてください。
こちらで最近変わったことは、ポール商会の支店が王都に出来たことです。支店長がジャン、宝飾品の担当としてローズだそうで宝石を献上されました。今では一緒にお茶を飲むのが楽しみの良い友人です。今度ローズと一緒に考えた宝飾を発表するのが楽しみです。
セルヴォとセッティの結婚の日取りが決まりました。セルヴォがセッティを追いかけて騎士を返上した時は驚きましたが、今では私の筆頭騎士になっているのでわからないものですね。結婚式には、大事な王妃付き女官の絵を描いて欲しいのでマエストロ リッドに依頼をお願いします。
最後に子どもを授かりました。やっと安定期に入り体調が落ち着き、宮廷医によれば秋には生まれるだろうとのことです。生まれましたらお祖父様と伯父様と紹介したいので見にいらしてください。
結婚式の時、本当に幸せになれるかとお父様は心配してくださりましたが今とても幸せを噛み締めています。記憶と思考が3歳になったときに見捨てないでくれてありがとうございます。
ネージュ
「私がお祖父様とは、嫁に行ったのは悲しかったがネージュが幸せで両親に愛される孫が生まれるのはさらに喜ばしい」
語るブリュイヤールの目に光るものが見えた。グラソンは、手紙を机に置くと冷めきったお茶を飲む。
「父上、俺は母上の約束をやっと果たせた気がします。ネージュが生まれた時に母上は、ネージュを守ってねと言っていました。言われるまでもなく大事な妹ですがその約束がずっと気になってた」
ネージュは婚約者に愛されようとして無視されつづけ、高位貴族の義務のため婚約破棄も難しかった。
愛されることを知っているからこそ無視は、辛かったに違いない。グラソンやブリュイヤールが愛情を注げば注ぐほど溝が大きくなるのがわかっていても止められなかった。
「次はお前の番だ…な。いい加減婚約くらいしろ」
「まぁ、そのうちしますよ。それより産まれてくる子どもに何をプレゼントをするかが重要です。国として贈る分がありますが個人的にも贈りたいですね」
「それならあれがいいぞ」
ブリュイヤールが得意気な顔で話し始め、グラソンがメモをとって色々聞き出していた。淹れられたお茶は冷めてしまっても二人は、大事な人のためプレゼントを選ぶのだった。
God Only Knows
男は、目が覚めると真っ白な部屋いた。
「俺はバルコニーから落ちて。ここは…まさか!?」
かつて男が神という人物と会った空間だ。
『またあったね■■■■■。望んだ通り世界と少女の魂をヒロインの体に入れたのに手にはいらなかったんだね』
「頼む彼女と俺をもう一度転生させてくれ今度こそ」
『君は覚えていないだろうが私がお前を転生させたのは2回。それでだめなら魂の檻に入ると契約した。3回目はないんだよ』
「いやだ□□□□□。今度こそ一緒に」
男が慌てて部屋から出ようとするが、男の体が光りホタルの光のような形になると神の持つランプに吸い込まれた。
『色欲と傲慢の魂が手に入った。あと怠惰と物欲の魂が集まれば……』
これは神のみしる物語
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ネージュが手紙をブリュイヤールとグラソン両方一緒に送るのは、初めて送った時二人が喧嘩を始めたため。紙の枚数や文字数で競いあい宰相がネージュに仕事にならないと泣きついたため。




