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魔国の日常  作者: 盗賊
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続・魔王ニャンニャン記

『前回までのあらすじ! 猫になってしまった魔王。どうやら言葉も通じず、城には助けてくれる人もいない模様。なので勇者に助けを求めに、旅を始めたのでありましたぁ!!』

「旅って、ホントはそこまでの道のりじゃなかったんだがなぁ……」

『魔王の城から勇者の家まで普通に歩いて丸一日はかかる。いつも魔王は空間転移魔法や高速移動だとか、馬とかそういう移動手段を使っていたので歩きはほとんど初めてだ。そのうえ、猫の体である。動きづらいことこの上ない。プラス、猫の足では人間の倍以上かかりそうだ』

「こ、これは何とかしないといけないぞ! 誰かの自転車に飛び乗ったりとか!」

 ちょうどそこに……

「これをトアル国の王都郊外の方に送ればいいんだな?」

「おお、頼むわ。勇者の家にも配達頼むな」

「おけおけ。んじゃ行ってくら」

 何かを積んだ馬車がそんな会話をしていた。

「……ご都合主義バンザーイ!!」

 馬車に忍び込む魔王猫。

『そうして馬車に揺られること数時間、もう太陽が頂点を通り越して沈み始めていた……』

「勇者様ー。ご機嫌いかがですかー?」

「ああ、いつも悪いな」

「いいえ。魔族から守ってくれる勇者様ですから、これくらいお安いご用です」

「さすがに、毎日聞くともう簡単に聞き流せるな」

「あはは……」

(ついた!)

 馬車からそっと抜け出して物陰に隠れる。

 勇者と馬車の主人の会話が終わり、勇者が家に入る直前に出てくる魔王。

「勇者!」にゃぁ

「ん? お前は昨日の……なぜここに?」

「やっぱわかってねぇ!!」にゃぁぁ

「なんだ? 魔王にいじめられでもしたか?」

「俺そんなことしねー!!」にゃ!

「……なんかわからんが、とりあえず家入るか?」

「うんっ」にゃんっ

(他の奴らにかくまってもらうよりもましだろう)

「おぉ、かわいいな!」

 勇者猫を抱き上げて家の中に入れてもらう。

「ああ、もう泥だらけじゃないか。どこ歩いてきたんだ?」

「色々あったんだよぅ……」にゃぉ~ん……

「なんだ? 疲れた顔して?」

「勇者ぁぁ!」にゃぁぁん!

 抱きつき

「なんだなんだ!? ……かわいいなぁ、もう!」

 ぎゅっ

「あ、あれ? こんなキャラだったか、勇者?」にゃぉ?

「とにかく体洗おうな? きれいにしよう?」

「……え?」なぉ?

「汚いままじゃいやだろう? ついでに私も風呂入るか。猫とお風呂……♪」

「ちょ、ちょっと待て勇者! 俺魔王様!! これはやばい! まずいって!!」にゃにゃにゃにゃにゃっ!!

「な、どうして暴れるんだ!? 昨日は風呂楽しんでたじゃないか?」

「今日はやな気分!」フシャー!!

「わ、分かったから。ではせめて体拭こう?」

「まだまし」にゃ。

「……それならいいってか? なんだか言葉が分かっているみたいだが……」

「それはわかるさ。だって中身は魔王様」にゃん

「ま、いいか……?」

 温めたタオルで猫を拭く。

「肉球……」

「あ、そこはだめっ!」にゃっ

「むにむに……」

「ヤメテぇぇ!!」にゃおーんっ

『こうして何とかお風呂を回避し、きれいになって、ほっと一息ついたころ』

「さて、何か飲むか? と、言っても、何か飲むものもないしなぁ」

「ミルク持って帰っちまったもんなぁ。市販ので……っつっても、この体で調子崩したらどうなるかなんてわからんし、あんまり危ない橋わたるわけにも……」にゃ……にゃぁ……

「水ならいいのかな」

「くっ。炭酸ジュースが恋しいぜ!」にゃっ

 ほのぼの。

 ……

 ほのぼの

 ……

 ほのぼ……

「な、なぁ、猫……」

「なんだよ?」あぉん?

「わ、わたしと一緒に遊ばないか?」うずうず

「あ?」にゃ?

「そうだ、遊ぼう! 猫だって暇だろう!?」わくわく

『どこから取り出したのか、猫じゃらしを構える勇者』

「誰が、って、えぇ!? 体が勝手に!?」にゃっにゃっ

『これが猫の本能か。猫じゃらしに思いきりじゃれつく魔王。猫化が進む進む』

「にゃれかとめてぇ!!」にゃぁぁぁ

「楽しいか?」きらきら

「楽しんでんじゃねぇ!!」にゃぁ!!

『こうして勇者が満足するまで遊び、疲れた魔王』

「にゃ、にゃぁ……」

「楽しかったな♪」

「にゃれが、たのしぃにゃ……そにゃ、おまえにゃぁ……」にゃ……

「ふむ、そろそろご飯か。その前に風呂行ってくるな。疲れたのだったら休んでおけ」

「だれのせーにゃー」にゃぁ

「と、いうか、猫は何を食べるのだろうな? ネズミか?」

「むりっ!!」にゃっ!!

「嫌なのか? では、魚か?」

「そっちのが断然いい!!」にゃぁっ!

「魚だな? 刺身か?」

「うんっ」にゃんっ

「了解した。……先にさばこうな。魚臭くなるからな」

「にゃっにゃっ」

「よし。魚魚」

 冷蔵庫から大きめの魚を取り出す。

 包丁を構えて、魚を投げる。

「ハぇ!?」にゃおんっ!?

「ハァッ!!」

 空中でさばいて、皿に刺身を盛り付け、骨と頭を流しに。

「うむ。まあまあだな」

「にゃ、にゃ……!?」

『……剣の稽古か何かですか?』

「おお、ナレーター。いたのか」

『ええ。ってか、完全に振りがバドなんですか……』

「まあな。剣よりもこっちの方がしっくり……」

『勇者として完全にアウト発言ですよ?』

「そうだな。以後自重する」

『そうしてください。そして早くレベルを上げてください。バド力ではなくレベルを!』

「しつこい! こっちだって気にしてるんだぞ!!」

『はぁ……』

「これ見よがしにため息をつくんじゃない! いい加減にしろ!」

『早くお風呂行ってきなさーい。ちゃんと冷蔵庫にお刺身を入れてね?』

「わかっている。行ってくるな。ちょっと待ってろよ?」

 猫を一撫でしてお風呂に。

「ニャンだあれ!!」

『猫化が……』

「しつけぇ!!」

『こうして夜は更けていく……』

「話聞け!」

「どうした? 猫?」

「にゃおんっ」

「さて、寝るか」

「おうっ」にゃっ

「……い、一緒に寝ないか?」うずうず

「俺男。勇者女」にゃにゃ

「一緒に寝よう、猫!!」

 ぎゅぅぅ

「ぐぇぇ」にゃぁぁぁぁ

「あ、すまない!」

「けふっ」

「ああ、もうかわいいなぁお前は!!」

「勇者、キャラがキャラがぁぁ!!」にやぁぁぁぁ

「寝よう寝よう。一緒に寝よう♪」

「いや、あかーん!」にゃ、にゃおーんっ

「寒いからな。フカフカ布団だぞっ」

「なんか勇者が女の子女の子してるぅぅ!!」みぎゃー!!

「よし、明かり消すぞ」

 猫を抱いたまま就寝。

『勇者が規則正しい寝息をたて始めたころ』

「ふう。ひどい目にあったぜ」

『魔王猫が何とか勇者の腕の中から這い出してきました』

「よいしょっと。……うわっ!?」

 かくんっ

 羽毛布団に足を取られてこける魔王猫。

「なんだよ! もうっ」

 そうしてベッドの端にたどり着くまでに何回もこけた。

「このっ!」

 苛立ちをぶつけようとしたのかm方前足を振り上げた。

「うぉぅ!?」

 振り上げた前足に布団が絡み、そこにつられてバランスを崩し……

 コテン、コロロン……

 ポテンっ

「きゅぅぅぅ……」

『うわぁ、でんぐり返しですか。かわいいですね。癒されます』

「勝手に癒されてんな! 金払えやこにょっ!?」

 ナレーターに文句をつけようと、また前足を振り上げ、バランスを崩し、ベッドから転がり落ちる。

 うつぶせにコケ、上半身のところに着地点がなくそのまま下に。そして、猫独特の高い所から落ちても平気、なスキルは発動せず……

 ぽふっ

『……』

「ゆーにゃ、何もゆーにゃ……」

『い、いやぁ、下がフカフカ絨毯で助かりましたね……』

「ゆーにゃと言ってたにょに!!」

『魔王、かわいいキャラになっておりますよ』

「気にするにゃ!! ……気にするな」

 何とか気持ちをたてなおし、思案。

「この状況を何とかせねば」

『あ、携帯なんてどうです? 文章なら言葉通じるでしょう?』

「それにゃ!! 勇者の携帯は……」

 猫の身軽さで棚に登り、携帯を引っ張り出す。

「っそういえば、まだガラケーなんだよな。俺なんてタッチパネル式だぜ?」

『最近の人は大体そうでしょう?』

「それもそうだな。メールでいいかにゃ。おれは、まお……にゃぁ!?」

『ど、どうしたんです!?』

「だって、この手、打ちづらい!!」

『が、頑張ってください!!』

「にゃぁ、ミスにゃ!!」

『こうして何度も間違え、消してはやり直しの連続。俺は魔王だ。猫の姿になった。助けてくれ。この三文を打つだけで夜が明けました』

「にゃ、にゃぁ……」

『お疲れ様です。魔王……』

「ほ、ホントにゃ。疲れたにゃ。一回眠りたい……」

『ここで残念なお知らせなのですが、勇者の起床時間はもうすぐです』

「にゃ、ニャンだと!?」

『ご、よん、さん、に、いーち……』

「く、あぁぁ……。んぁ? 猫?」

「にゃ、にゃぁ」

「おはようネコォ」

 ぎゅう

「うにゃっ」

『魔王、今渡さないと時間ありませんよ! 勇者、走り込みに出て行ってしまいますからね!』

「了解にゃ」

 ごそごそ

「何してるんだ?」

「にゃぁ!」

 携帯差し出し。

「ん? おれは魔王だ。ネコのすがたになった。助けてくれ? なんだこれ?」

「にゃっにゃっ!!」

「そうか、お前……」

「気づいたか!?」にゃオン!?

「言葉がわかるだけでなく、文字もわかるのか! 意味は分からんが、すごいなぁ!!」

「うっわだめだこの人! 天然だよ!!」にゃぁぁぁぁぁ

「よし、私は出かける準備をするからな。猫はまだ寝ててもいいぞ」

「そうじゃないっての!!」にゃ!

 携帯持ち去り

「あ、こら! 返せ!」

「無理!」にゃんっ

 高い棚の上に避難。勇者は届かない。

「ああ、もう……わかった、それはやるから。……昨日の刺身の残りはこの辺置いとくな。水もここに。じゃあな」

 勇者はさっさと準備をすると出かけて行ってしまった。何か大事な用事でもあったのか。

「これからどうするか……」

『ほかに話聞いてくれそうな人……いますか?』

「いねぇ……。いや、いた! 盗賊! あいつんちは知らねぇけど……たぶんここにメアドも電話番号も入ってるから……」

『なるほど。頑張って、またメールしますか?』

「うにゃぁぁぁ!! またか! その前に一回休もう!? そうしよう!?」

『自分で決めてください。私は知りません』

「一時間くらいしたら起こして!!」

『そうして一時間後……起きてください!!』

「後五分……」

『それ絶対起きないやつですよね? あなたが起こせって言ったんですよ! 起きなさい!!』

「……ねみぃ」

『ほら、盗賊にメールでしょう!?』

「くぁぁ」

『あくびしてないで!!』

「うるせぇな。こっちのリズムってもんが……」

『早くなさい!』

「わぁったよ。うるせぇ……」

 ゆっくり盗賊の名前を探す。

「お、あった。……って、あ!?」

『どうしました?』

「電話押しちまった!!」

『えぇ!? 猫語で話しても意味ないでしょう!?』

「分かってるよ! 間違ったんだよ! くそ! 中止ボタンがおせねぇ!!」

『えぇ!?』

『もしもし? 勇者? こんな朝早くからどうしたのん?』

「チガーウ! 間違っただけなんだぁぁ!!」にゃおーう

『ん? あれ魔王様? どうしたの? これ勇者の携帯だよ?』

「そうなんだよ! 間違い電話! 悪かった! って、えぇ!? 通じてる!?」

『ハ? ナニ? ドユコト?』

「盗賊ぅぅぅ!!」

『え、また? ナニ? あ、そういえば、猫語?』

「実はかくかくしかじかで!!」

 今までことをかいつまんで説明。

『なるほどねぇ。私の忠告を無視したと』

「忠告?」

『猫にお願い事は厳禁だって言ったのに。覚えてすらいないなんて……』

「あ、あぁ!?」

『今更気がついてもねぇ』

『あの、とても今更なんですが、括弧普通のにしてもらっても? ナレーターと見分けが……』

「了解。んで、魔王様? 自業自得、身から出たさび。ってことで頑張って」

「んな! そこを何とか! 助けてくれ!!」

「悪いけど、僕はこれにかかわる義理も、余裕もない」

「……報酬は弾むぜ!?」

「そういう問題じゃ……」

「たのむぅ!!」

「……んじゃ、説明だけはしてあげる。一回だけしか言わないからね? ……たぶんあの猫、人工精霊のたぐいだと思うよ」

「人工精霊?」

「うん。まあ、詳しいことは機密事項だから言えないけど、精霊って、魔法とは違う特別な力を持って使っているの。それを自分たちで作ったら、その不思議な力を使えるんじゃね? っていう計画があったの。かなり昔のことだよ。それでね、精霊の死体から取り出したその力の核みたいなものを改造してクローンみたいなのを作ったわけ」

「ひでぇことするな」

「ま、人間なんてどいつもそんなものでしょ」

 低く怖い声

「どうした?」

「いや、別に……。それでね、その人工精霊は、ご主人の命令には逆らえないようにプログラムされてるの。でもね、そのプログラムにも不具合があったんだ。エラーを起こした一体の、ウイルスが周りに感染してね、ご主人を襲い始めたの。それで、そんな危ないものは処分しないと、からの、全人工精霊が反旗を翻す」

「どういうことだ? 全部感染したのか?」

「違うよ。人工精霊はただのプログラムのはずだった。けどね、心があったの」

「心?」

「そ。仲間意識が強い、心。全員殺されてなるものか! ってさ。小さな仲間を逃がして、殺そうとする人間は殺した。昔々のお話さ」

「……」

「んで、人工精霊には繁殖能力がない。だから滅んだだろうって思われてた。けどさ、最近になって二匹見つかったんだ」

「二匹も?」

「そう。二匹も。もちろん、人間はそれを確保して研究しようとした。でも、逃げ出した。一匹が犠牲になって」

「その片割れが……?」

「うん。今のマオちゃんの体の元の持ち主だと思うよ。僕ね、その猫の討伐依頼出されてたの」

「なっ!?」

「密命だよ。あの時も依頼されてそういう薬作ってる時だった」

「フシャーっ!!」

「安心してよ。そんなことしない。でもね、誰かに見つかったら危険だよ。一応魔王は人間の敵。いくら優しくてもね。その体だったら、魔法も使えない、力もない。簡単に殺せる。勇者にもばれない方が好ましい」

「そんなにか!?」

「ま、いいや。以上説明を終わります」

「ちょっと待てイ!! 俺これからどうすればいいの!?」

「……自業自得。ご愁傷様」

「ひでぇ!!」

「元々どんなお願いだったのさ?」

「分かんねえよ! 願い事した覚えもねっての!」

「ナントカだったらいいのにな、とか、ナントカしてくれねぇかな、とか」

「あー、一日代わってくんね? 的なこと言ったような……」

「もう一日たった?」

「たった」

「……ご愁傷様」

「なに、どういうこと!?」

「願いをかなえるのって、忠実なんだよ。一日なら一日。二十四時間? たったんだよね?」

「もう、二十五時間くらいか?」

「だったらエラーが起きてる可能性大。解除プログラムも絡まってる、きっと」

「それじゃ……?」

「バグが起きたゲームは、ゲーム会社に直してもらうしかないけど、その会社がつぶれていた場合、どうなるんだろうね?」

「!? ……俺このまま……?」

「……僕、解読コード知ってる」

「じゃあ!!」

「でも、ごめん。本当に時間ない」

「電話してる時間あったらこっちコイや!!」

「むり。てかさ、もともとでしゃばりすぎだって言うからこの仕事いれてさ? なのにさ~……」

「悪かったよ! 助けてくれ、頼むから!」

「ダメだよぅ、国王直々に頼まれちゃって、断れないんだよう」

「こっちは魔王だぞコノヤロー!!」

「……だいたい機密事項だってば。解読コード公開しちゃいけないんだよう……」

「ほんと、マジで!!」

「……えー。あ、そうだ。蛙の王子様って知ってる?」

「ハ? なんだいきなり」

「ま、そういうこと。あそこまで頑張んなくてもいいけど、んじゃ、ガンバッテー」

「あ、おい、ちょっと待て!!」

 ブツ。ツーツーツー

「あんにゃロー!!」


『勇者帰宅』

「……ね、猫? どうした? 暗雲垂れ込めてるぞ?」

「なーぉ……」

「大丈夫か?」

「……」

「す、すねるな?」

「……」

『特に何もないので猫と遊んで、猫を抱いて勇者就寝』

「蛙の王子様って、蛙がキスされて王子になるとかそんな話だよな?」

『そうですね』

「……キス、しろと?」

『さぁ』

「ゆ、勇者に?」

『誰とは言ってませんでしたけど、まだ許してくれそうですよね。どうしようもない事情があったんですもの』

「だ、だよなぁ!? んじゃ、失礼して……」

『や、やるんですか!?』

「し、仕方ねえだろ! ね、猫だし! 許してくれ勇者ぁ!!」

 ……

「って、できねぇ!!」ちゅっ

『ほっぺですか? これじゃあ、ダメでしょ……って、おや?』

 ポンッと軽い破裂音と白い煙。

「おわっ!?」

 ぐらっ

 勇者の両脇に手をつき。

「手、手だよ! 元に戻ったぁ!!」

「ん、うぅ……」

「あ」

「あ? ま、魔王?」

 勇者、自分の状況確認。

 ベッドの上、勇者を魔王が押し倒している図? 魔王が寝込みを襲おうとしている図?

「……こ、これはだなぁ!?」

「どういう状況下説明してもらおう? 魔王?」

「あ、あ、あわわわわわわわわ」

『その後二時間、魔王は正座で説明&説教タイム』

「仕方ない、許してやろう……」

「勇者ぁぁ」

『何とか元の関係に戻れそうな魔王と勇者……?』

「ん、ちょっと待て?」

「へ?」

「おまえ、ねこ、ずっと!?」

「二回目に来た時からだな」

「な、な、な……」

 勇者赤面。

「猫とあそ……」

「ああ、なんか女の子っぽかったな。あんなかわいいとこもあるんだな」

「ぜ、絶交だぁ!!」

「えぇ!?」

「今すぐ出ていけ!!」

「うわっ!? ちょ、勇者!?」

「でーてーけー!!」

『こうして勇者宅を追い出された魔王様。人型に戻れたのはよかったでしょうが、勇者とは変な溝が……いつか埋まるときは来るのでしょうか?』

「え、逆に来ないの!?」

「ふんっ」

「許してゆーしゃー!!」

『この辺でこの話も締めますよ?』

『あ、後日談として、魔王が猫になっていた間にたまった仕事。書類の山が机だけでは足りなくなり、床にまで山を作っておりました。もちろん、それを片づけるまで、モブBの監視のもと、徹夜で作業をいたしましたとさ。事情を説明しても、理解したのかしていないのか、許してもらえなかったそうです……』

「誰か助けてー!!」

『そして猫はというと……』

「猫君は僕が引き取るよ。悪い人間の好き勝手にはさせないようにするから」

「ああ、よろしく頼むな」

「かわいがるから安心しといて」

『というように、盗賊が安全なところに、国を欺きつつ飼うこととなりました』

『ここまでで、疑問事項は解決いたしましたでしょうか? まだあったらすみませんけど、ここで終わりです。長かった猫騒動も決着です。楽しんでいただけたら何よりでした。なれーさんは疲れましたよ。私も猫に癒されたいですねー』

「なーぉ?」

『……でも、この黒猫ちゃんは勘弁しときます! それではさよーなら―!!』

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