勇者VS魔王(白熱の戦いですが、初めは魔王の一方的なターンのようでした?)
「魔王、とうとうこの日がやってきてしまったな……」
「ふんっ。よく来たな勇者……逃げずにここまで来たことを褒めてやろう?」
『炎天下の日差しの下、魔王と勇者がそれぞれの得物を持ち、睨み合っております。……って、え? これ最終回ですか? 初っ端からクライマックスのようですが……』
「今日まで、私はレベルアップに勤しんできたんだ。怖気づく理由はない‼︎」
「それで?」
「覚悟しろ魔王‼︎」
「ふはははっ‼︎ 相手になってやろうじゃないか‼︎」
『まじでクライマックスですか!? 』
「いくぞ‼︎」
「こいっ‼︎」
ひゅぱんっ
『あー違ったァ! 全然クライマックスじゃなかったぁ‼︎ またバドですよ、この人は‼︎』
「さっさと構えろ勇者‼︎ お前右利きだろ!? なんで左でラケット持ってんだよ!?」
「い、今持ち替えようと思っていたところだ‼︎」
「だったら早く構えろ! いくぞ‼︎」
『魔王もバドやるんですね。……あ、前回、そういえば盗賊さん初めて出てこなかったですね。今回は先日に引き続き盗賊さんがいませんよ! びっくりです!!』
「ハァッ!!」
ひゅぅぅぅううう
「風強い! なんで外でやってんだ俺ら!?」
「私が知るか‼︎ お前が呼び出したのだろう‼︎」
「ちょ、ミス!w 悪ィ。場所移そう!?」
「当たり前だ! こんな場所でできるか‼︎」
『と、いうことで、場所移動だそーでーす』
『魔王城の、ここは、舞踏会とかやるホールでしょうか? まあ、確実にバドミントンする場所ではないでしょう』
「B? ネットどっかにあったよな?」
「今あるかどうか知りません。と、言いますか、あったとしても、ここに刺す場所はありませんよ?」
「うっ……」
「まぁ、たまの息抜きくらい、協力して差し上げましょう」
「まじで!?」
「創造系の魔法でしたら、魔王様よりも得意ですので」
「助かるっ‼︎」
「大きさと高さ教えてください」
「この辺からこの辺。んで、こーんくらい?」
「だいぶアバウトですね……」
「ヨロシクっ」
「はいはい」
『魔方陣三つくらい展開。さすが重鎮ですね。魔力保有量が明らかに勇者よりも高いです。数える必要もないくらいです。百倍どころじゃありません』
床にラインと、ネットが構築されていく。
「一言どころじゃなく余計じゃないか!?」
『うるさいですよレベル一』
「黙れ!!」
「あれ? まだレベル一? さっきレベルアップがどうとか言ってなかった?」
『バド力、勇者レベル三十……』
「そこに力入れるな本来のレベルを上げろ!!」
「い、いいじゃないか! 剣を扱うのにも結構有効だぞ!?」
『魔王、バド力六十五』
「多い!! おかしいだろ!?」
「ふふんっ。レベルもバド力もこの俺様にかなうわけないだろ?」
「腹立つ! すっごい腹立つ!!」
「んあ、てか、モーブは?」
「無視するな!!」
「おや? 聞いておりませんか? 盗賊にかどわかされておりましたけど……」
「はぁ!? あいつなにやってんだ!?」
「ついでに、スナイパーも一緒でした」
「あ、あいつはどーでもいーや」
「そうですか? ……さ、できましたよ」
「あんがと!」
「助かった」
「よっしゃ、やるぞ勇者‼︎ お前からでいーぞっ」
「……では」
しゅっ
……スカッ
「あ?」
「あ、あれぇ〜?」
「あぁん?おい!何やってんだてめェ。あぁん!?バドの極意がまるでわかってねぇじゃねぇか!俺が叩き直してやる!覚悟しろ青二才‼︎」
「は、ハイッ‼︎」
『そうして、魔王様の熱血特訓が唐突に始まりました……』
「おるァ!何やってんだ!腰低く構えろっつってんだろが馬鹿野郎‼︎ラケットは自分より前だ!そんで目線より上!上だっつってんだろが!目線と一緒にすんなボケ‼︎」
「はいっ」
「ドライブは構えと同じくらい腰下げろ!ほら!ちゃんと前見て!シャトル見てろつの!落とすな!ネットにひっかけるな!ネットギリギリに通せ!」
「は、ハイっ」
「ヘアピンはラケットを水平に…それ水平じゃねぇだろごるあああ!!あ?水平に見えてんのかそれ!?思いっきり斜めだろうがぁ!!あとヘアピンは球をスライスして…なってねぇえええ!!」
「は、はぃ」
「スマッシュは構えからワンステップで右腕引いて右足も後ろを踏むだろ?んでツーステップ目で前斜め45°の所で丁度当たるように。そんで足は前にあった左足は右足にくっつけて並べるにしてな。スリーステップ目で右足を前に出して振り抜く。ここが早ければスマッシュは早くなるぞ!そんでここからも気ぃぬくな!?ちゃんとフォーステップ目で左足を前に持ってきて構えに直す!これ大事だからな!」
「はぃぃ」
「ドロップはクリアのステップから速度を落とすものなのは知ってると思うが、速度が遅すぎると相手にバレるぞ!?だから…速度落とすのはえーよ!!今言ったばっかだろうが!!アホかてめぇ!ツーステップ終わりギリギリ、つまり、当たる瞬間に……馬鹿野郎!聞け!!当たる瞬間にだな、微妙な調節がいるんだ。その後な振りも大事だぞ。ふわっと落ちるよりもスッと真っ直ぐ落ちた方がいいからな。弧を描かないようにだな…ってできてねぇ!!」
「っ、ハイっ!!」
『すごいです。全くなに言ってるかわかりません‼︎ 困りましたねっ‼︎ 二人の世界構築ですっっっ‼︎』
「あ? わからない、だと?」
『……あ』
「一から勉強してきやがれ!! そうじゃなきゃ傍によることも許さん!!」
『エェ!? 今回の話ができなくなってしまいますよ!!』
「んなこたぁどうでもいい!!」
『えぇぇぇ!?』
「そうだぞ! 今回やっと盗賊がいない、私たちのターンなのに!!」
「それよりも今はバドだ!! オイ勇者!! ロブが飛んでねぇぞゴルァ!!」
「す、すんませんっ!!」
「よっし、今言ったこと、もう一回やるぞ! できねぇなんて言わせねぇからな!!」
「は、ハイっ!!」
『えー、あー、ちょっと?」
「行くぞ!」
「来いっ!!」
「ハァ!」
「ヤァ!!」
『……注意。これはスポ根ではありません。スポーツものでもありません。ギャグです。完全にギャグです。お間違いなきよう……』
「とうっ!」
「お、やるな勇者!! でやっ!!」
「くっ!!」
「もう一ちょ!!」
「負けるかぁ!!」
「おしっ、いい感じだ!」
「どんどん来い!!」
「オルァ!!」
「せやぁ!!」
『お、お間違いなきよう……』
「落とすかぁ!!」
「んなっ!? 勇者があんな技術を!?」
「ドヤッ!!」
「ふんっ。まあまあだ、なっ!!」
「なんだと!?」
「……二人とも聞こえていないようですよ?」
『Bさぁん……』
「気色悪いですね」
『そんなバッサリと……』
「失礼……」
『す、スマッシュ位はわかるんですよ? スパーンってやつですよね?』
「そうですね。そういうものだったと記憶しておりますが」
『それくらいしかわかりませぇぇぇん(泣』
「無理に覚えなくとも、お二人で勝手にやっているので観戦に徹していればよろしいかと……」
『そう言われましてもね? これで読者は楽しいのでしょうか?』
「さぁ? だいたい、書いている人もわかっていないのですから、どうでもよろしいのでは? もともと魔王様と勇者の提案ですし」
『そこまでぶっちゃけちゃいます?』
「……失礼」
『ま、確かにそうですねぇ。この際二人は放置でいいですか』
「そうですね。あの中に入っていこうというのが無謀だと思いますよ」
『そうですよね。仕方ありませんよね。わからないんですから』
「そうですね」
『お二人だけのターンを作りたかったのですけれど、ここまで熱されてしまったのなら、もう無理ですもんね!』
「そうですね。またの機会でよろしいのでは?」
『あー、Bさんと話していると楽になりますねぇ』
「……そんなことを言われたのは初めてです」
『そうなんです?』
「ええ。前回は猫にまで叱られてしまいました」
『それはそれは……でも、正論ですから、今はとっても助かりますぅ』
「よかったです。……さて、一決着つきそうなので、私は冷たい飲み物でも用意してまいります。あなたも何か?」
『いいえ、お構いなく……。飲めませんので』
「かしこまりました。では、失礼いたします」
モブB、去る。
「で、ヤァ!!」
「あぁ!!」
「入った! ……はぁはぁ」
「はぁはぁ」
「か、勝ったぞ、勇者……」パタリ
「く、ぅうぅぅぅう……」ぐったり
二人ともうつぶせに倒れ、死んだような状況。
「はぁはぁはぁ」
「はぁはぁはぁはぁ」
「お疲れ様でした。こちら、薄荷水でございます」
モブB登場。
「おお、サンキュ」
「かたじけない」
少しの沈黙。
「はぁ、楽しかったな。魔王」
「ああ、でももう少し強くなんないと、俺にはかなわないぜ、勇者?」
「いつか必ず勝ってやる!」
「……どっちかってぇと、バドもそうなんだがな? 勇者。レベルもアップしてほしいぞ? いつまで待たせる気なんだ?」
「そ、それも努力しよう……」
ほのぼの
『こうして本日のターンは終了させていただきます』
『結論。モブBさんは素敵ですっ。できる大人って感じですね!!』
「あれっ? 俺らのターンじゃなかったの!?」
「結論でまさかのモブ!?」
『あれ? 違いました?』
「違うだろう!? 私たち活躍してたじゃないか!!」
「そうだぜ! 俺らのあの死闘見てなかったのかよ!?」
『そう言われましてもねぇ……。バドほぼ未経験者の私が、あの戦いを見ていても、つまらないだけでして……』
「私たちのあの戦いをつまらないだと!?」
「おまっ! 撤回しろ!! つまんないとか撤回しろ!!」
『えぇー、そう言われましても……』
「申し訳ございません。本当は出てくるつもりはなかったのですが……」
モブB面目なさそうに顔を俯ける。
「だ、大丈夫だ。お前が悪いわけじゃない!」
「そうは言われましても、これがモブAの方ならそこそこ文句も出ずに終わっていたと思うのです……」
「そんなこともないと思うぞ!? あれはうやむやになっているだけだから!」
「そうでしょうか?」
「「そうだそうだ!」」
「おま、こういうときに締めろよ!」ひそひそ
『わ、分かりました』ひそひそ
「あ、そうだ! 今日の死闘でレベルアップしてたりしないか!?」わくわく
『……たらららったら~ん♪ 勇者、れべるあっぷぅ』
「なんか雑だな……」
『ユーシャハバドレベルガ五、アガッタ』
「おいぃ!! 棒読みな上にそれレベルちがーう!!」
『魔王様はバドレベル八上がりましたねっ』
「やった♪」
「なんで? 普通レベル高い方が次のレベル上がるの苦労するよね? なのになんでレベル低い私より魔王のレベルが高く上がるの? ねぇなんで?」
『それは魔王様が素晴らしく働いたからですよ。しかも、普通のレベルの方にはあまり食いつかないんですね?』
「私も働いたぞ!?」
『あ、そっちはスルーですか?』
「ふんっ。これが魔王様クオリティ」きらーん
「すっげぇ腹立つ!!」
「勇者がそんな言葉使っちゃいけなーいのっ」
「お前何キャラだよ!? 盗賊じゃないんだから、怪しい言動するな!!」
「ハぁ!? あいつと同じ扱いするなし!! 俺はただ単に勇者いじりに使っただけで、あそこまで怪しく謎じゃねぇ!!」
『盗賊も散々な扱いですね』
「「何か問題でも?」」
『……ありませんっ。さ、ではここで締めまーすよっと。せーのっ』
「「『ごきげんよう~』」」(モブBお辞儀)




