表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
83/84

After Story3




「俺たちさ、何回ここの海に来たかな」


「……覚えてないよ」



浜辺に座り、2人で寄り添う。



「俺も覚えてない」



ははっ、という隼斗さんの笑い声が、耳元で聞こえてくる。


本当に。


よく飽きないなってお兄ちゃんに言われるくらい、何度も何度もここにきた。



ここは、特別な場所だから。



「……なぁ、波瑠。

小さい頃にここでした約束、覚えてるか?」



隼斗さんが急に昔話を持ち出してきた。



「…覚えてるよ。

『次は2人で海に行こう』でしょ?」



あたしが言うと、隼斗さんは「そう」と頷く。



「もう約束は果たしてるけど…。

『次』も、『次の次』も同じだと思うんだ」



そして隼斗さんは、真っ直ぐあたしに向き合う形になる。



「社会人になっても…、結婚しても…、おじいちゃんおばあちゃんになっても…。

また、この海に来よう?」



そう言って隼斗さんは、ポケットから四角い箱を取り出した。



「今すぐには無理だけど、必ず迎えにいく。

絶対に波瑠を守る。

だから…」



箱の中には、小さな宝石の付いた可愛い指輪。



「俺と結婚してください」



それは、あたしへの誕生日プレゼントでもあり、プロポーズでもあった。



「………ぅ……、は、はい…」


「…ぷ。

波瑠、ブサイクになってるし」


「だって……、嬉しいん…だもん…っ」



あたしは嬉しさのあまり、ダボダボと涙を流していた。


それはもう、みっともないくらい。



呆れてるかな、と思っていると、クスッと笑い声が聞こえる。



「………。

そんなとこも…」



隼斗さんは、あたしの目尻に軽くキスをした。



「愛してるよ、泣き虫さん」






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ