7-7
「え…?
あたし…隼人さんのこと好きだったの…?」
「いや、聞かないでよ」
沙柚が呆れたように、また一つ溜め息をついた。
「…ねぇ波瑠。
波瑠って一応、アイツと…杉山と付き合ってたよね?
好きになったらどんな気持ちになるか…わかるはずだよね?」
好きになった時の気持ち…?
「波瑠はどう思ってたの?
アイツのこと」
亮のこと…。
「かっこいいなぁとか、優しいなぁとか…。
あと、素敵な旦那さんになりそうだなぁ…とか?」
あたしの答えを聞いた沙柚は、口をあんぐり開けた。
「え……?
嘘だよね?波瑠…。
冗談だよね…?」
あたしには、沙柚の言ってる意味がわからなかった。
「冗談じゃないよ」
「はぁあああ!?」
教室が揺れるくらい大きな声を出した沙柚は、頭に手を置いてうなだれた。
放課後で誰もいなくてよかった……。
「うーわ。
奇跡の鈍感娘がここにいた。
てか、何で気づかなかったんだろ。
…あー、そうかそうか」
一人でブツブツ言う沙柚に、あたしは全くついていけない。
「…うん、そうしよう。
波瑠!」
「はい!?」
いきなりこちらを向いた沙柚。
「波瑠、隼人さんに会ってきな!」
「は…?」
その口から下された指令は、とんでもないものでした。




