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7-4




「はやと…おにいちゃん…?」



静かに、波の音だけが、あたしの耳を掠めていく。



まさか……。



諦めかけたその時、



「…っぷは!」



隼人さんが海から出てきた。


見えているのは顔だけだけど、無事であることはわかる。



「おにいっ…ちゃ…」



すっかりへたり込んでしまったあたしは、ボロボロと涙を流す。


隼人さんはようやく足が着いたようで、少しずつ近づいてくる。



「はぁ…はぁ…っ。

…ゲホッ、ゴホッ……はぁ…はぁ…。

はる…、…ほら…」



隼人さんは息を切らしながら、麦わら帽子を差し出す。



「ぅ……うぅ…。

うわぁぁぁん」



あたしはその麦わら帽子を無視して、隼人さんに抱きついた。



麦わら帽子なんて、どうでもよかった。


本当に…本当に隼人さんが死んだんじゃないかって、すごく怖かった。



そんなあたしの気持ちを察したのだろう。


隼人さんは、あたしの頭を撫でながら、ただひたすらに「ごめん」と謝った。



でも…、と、隼人さんは続ける。



「オレは、はるのためなら何でもするよ」



そう言った隼人さんの顔は、夕日に重なって眩しかった。






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