47/84
6-3
「波瑠!
ペンギン見に行こ…」
「亮」
あたしは、覚悟を決めて亮を呼んだ。
「……なに?」
たぶん、あたしの言いたい事がわかるんだと思う。
亮の顔から笑顔が消えた。
「亮…。
もう止めようよ、こんなの…」
「………」
「もう…無理だよ…っ」
感情が高ぶって、ポロポロと涙が零れる。
「……もう、ダメ?」
「………」
「ホントに…もう、…無理?」
聞こえてきた亮の声は、震えていた。
「……ごめっ…なさい…。
ごめんなさい…ごめんなさい…」
泣きながら、ただ謝ることしかできないあたしに、亮は悲しい笑顔を浮かべた。
「謝るなよ、波瑠…。
俺が悪いんだから…」
あたしはぼやける目で、一生懸命亮を見た。
「あーあ。
もっと波瑠に構ってやってたら、何か変わったのかなー…」
「………」
「……なぁ、波瑠。
一つ聞いていいか?」
「…な、に…?」
「俺のこと、好きだった?
俺と付き合ってて…楽しかった?」
そういう亮の顔は、すべてを諦めたような、そんな表情をしていた。
あたしは、必死にしゃくりを抑え、声を絞り出す。
「好きっ…だったよ…。
亮と…付き合えて…、楽しかったよ…」
これは本音だ。
今はどうあれ、幸せだったことに違いはないのだから。




