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3時ちょっと前──。
ダンスパーティの為にクラス展示を片付け終わり、バラバラと人が校庭に出てくる中、あたしは沙柚と2人で花壇の隅に座っていた。
「波瑠よかったね。
隼人さんがいて」
「え!?」
きゅ〜と小動物みたいに縮こまるあたしを、沙柚はハハッと笑う。
「アイツが来た時はあたしもヒヤッとしたけど…。
隼人さんが助けてたから、安心した」
「…うん」
「波瑠を守れるのはあたしだけだって思ってたけど…、違った」
「……うん」
「しかもあんなカッコいいとかズルすぎ!
ホント羨ましい!」
「……竜二くんだってカッコいいよ?」
「………。
いや、まぁ…竜二もカッコいいんだけど…。
……ねぇ、波瑠。
そこで何か生まれないわけ?」
「何かってなに?」
「幼なじみで…カッコよくて…優しくて、そんでめちゃくちゃ頼りになる…。
ほら、何かこない?
心がポカポカするような」
「……こない」
「…あらそう。
残念だわ」
「でも」
あたしは、遠くを眺めて思い浮かべる。
「隼人さんの笑った顔を見ると…胸がキュッとなる…」
隼人さんの笑顔は大好き。
見てると安心する。
「……ま、いっか」




