第33話:翌日の報告
大空洞の第三耕地を確かめた。十六本になっていた。昨日から一本増えた。種を蒔いてから十九日。光の筋が当たる場所から出た最初の五本は、茎の先に小葉がわずかに開き始めていた。
第一耕地は今朝も二本が収穫できる大きさになっていた。採取ポイントの三本と合わせて五本になった。霧花草の葉を六枚採った。
三か所に水をかけた。水場の水は今日も変わらない温かさだった。
小屋に戻って乾燥台に並べた。炭に火をつけた。
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待つ間、昨日のことを頭の中で繰り返した。
月百本。銀貨二枚半。三ヶ月の試し取引。
今まではドゥルガ経由で一本銀貨二枚だった。セイロスとの直接取引になれば二枚半になる。月百本なら銀貨二百五十枚。そこからドゥルガの仲立ち料が引かれる。百本で銅貨千枚——銀貨十枚分になる。残りは銀貨二百四十枚。
計算をきれいにしても、今やることは変わらない。採って、乾燥して、煎じて、積み上げる。
乾燥が終わった。五本を仕上げた。通常品が十七本になった。混合品は五本のまま。
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昼前にシルバじいさんの元を訪ねた。
「昨日、セイロスさんが来ました」
じいさんは少し前に出た。「どうだった」
「月百本、銀貨二枚半で、三ヶ月の試し取引になりました。月末に最初の引き取りに来ます」
「そうか」じいさんはしばらく黙った。「それは良い話だ。二枚半はきちんとした値だ。エクラの相場から見て、無理のない落としどころだ」
「ゴルドさんとハルトじいさんの話を順番通りに話しました。ミアも横にいてくれました」
「どんな反応だった」
「腕を組んで聞いていました。途中で口をはさまなかった」
「途中で口をはさまなかったということは、聞く価値があると判断したということだ」じいさんは少し椅子を引いた。「セイロスが霧穴の入口を見たいと言ったか」
「はい。五歩ほど中に入りました。次に来た時に大空洞まで案内してほしいと言っていました」
「それは興味を持ったということだ」じいさんは静かに言った。「栽培が見たかったんだろう。量が読める場所かどうかを、自分の目で確かめたかった」
レインはその見方を頭の中に置いた。自分は「案内する場所」として大空洞のことを話した。でもセイロスが聞いていたのは「量が安定するかどうか」だったのかもしれない。
「月末まで、今のペースで積み上げます」
「そうしろ」じいさんは短く言った。
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午後、採取ポイントに三本寄ってから小屋に戻ると、ミアが扉の前に立っていた。
「師匠に話した」ミアは言った。「セイロスが来て取引の話になったと」
「ゴルドさんに。昨日の夜か」
「うん。金額は言わなかった。取引の話になったとだけ」
「何と言っていたか」
「「そうか」とだけ言った」ミアはわずかに間を置いた。「でも少し間があった。師匠が「そうか」と言う時の間には、種類がある。昨日の間は悪くない方だった」
レインにはゴルドの間の種類はわからなかった。でもミアにはわかる。それで十分だと思った。
「教えてくれてありがとう」
「余計な話かもしれないけど」ミアは言った。「師匠はセイロスのことを知っていた。昔エクラで顔を合わせたことがあると。「あいつは目利きだ」とも言っていた。それだけ」
ミアは会釈して帰った。
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三本の採取分を乾燥台に追加した。混合品も一本仕上げた。通常品が二十本、混合品が六本になった。
棚を整えた。左に薄緑が二十本。右に深緑が六本。
月末まであと何日あるかを頭の中で数えた。今のペースなら百本に届く見通しだった。毎日採れば採取ポイントからだけでも月に九十本前後になる。耕地からの分が積み上がれば余裕が出る。
経営の書を開いた。
「積み上げることと、焦ることは違う。積み上げているうちは増えていく。焦っているうちは減っていく」
棚の薄緑の小瓶が二十本並んでいた。明日の分がまた積み上がる。




