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VERTEX FINAL  作者: 銀乃矢
17/27

第16話「衝突、再び」

F1を戦う1年は早い。


気づけば中盤戦のベルギーグランプリが始まろうとしていた。


「ヒロキ、ちょっと来れるか?」

自分の部屋で準備をしていると、代表に呼ばれた。


「実はな、昨日チームメンバーで話し合って決めたことがあるんだ。」

「何を決めたんですか?」

「残りの大会、すべて、お前をこのチームのファーストドライバーとして扱うことだ。」


これはつまり、松下を優先した戦略を採るということを意味する。


「俺がファーストドライバーに?」

「あぁ、お前の方が期待できるからな。」

「これはアンドリューには伝える?」

「いや、これは伝えない。あいつにこれを伝えると何が起こるかわからないからな。」

「わかった。じゃあ、俺からもアンドリューには伝えない。」

「それで頼んだ。」




そしてすぐに決勝レースが始まる。


『今回からお前を優先した戦略を使う。意識しておいてくれ。』

「了解。」






レース19周目。

『3週後、お前をピットに入れる。』

「了解」



アンドリューがDRSを使い、加速してくる。

「この差の詰まり方は守れないな。行かせよう。」


アンドリューに順位を譲る。

「!?」


アンドリューが幅寄せ、フロントウイングが松下のリアタイヤが接触する。


「パンクしたぁ!?」

『大丈夫?状況は?』

「アンドリューと当たった!タイヤがパンク!」

『OK、OK、この周ピット、この周ピット。トラブルないかこちらも確認する。』


「…またかよぉ…もうなんであの人あんなことするんだ。」


結果、この接触の影響でポイント獲得圏から脱落。

14位でレースを終えた。

『ポジション14、ポジション14。お疲れ様。今日の接触については俺からもあいつに伝えておく。』

「ホントに頼みますよ。あの人のせいで何回もレース台無しにされてる。」


ピットに戻ってくると、ニコニコしながら談笑するアンドリューの姿があった。


「…あいつ。俺のレースをぶっ壊しておいて…ッ!」


「おい!アンドリュー!なんだあの接触は!大クラッシュしててもおかしくなかったぞ!」

「あはは〜、いやいや、それでさ〜」

俺の言葉なんて聞いていないようだった。

「お前…ッ!」

俺は胸ぐらを掴む。

「あんな追い抜きして!俺を殺す気か!」

「ハンッ。知らねぇよ。お前があそこにいただけだろ。」

「ふざけるな!お前が幅寄せしてきたクセに!」

「幅寄せぇ?俺がァ?」

「あぁ!オンボード映像見れば全部分かるぞ!」

「この野郎!」

取っ組み合いになる。


すると、駿と他チームのドライバーが松下とアンドリューを羽交い締めし、制止させる。

「なんで!なんでお前は俺のレースを壊す?」

「お前みたいなルーキーが大っ嫌いだからだ!」

「なんでだよ!」

「フェラーリにいた頃、お前みたいなルーキーと組んで5年続いたチームタイトルの記録が途切れたからだ!」

「そんな理由で…?」

「だから、お前は俺の邪魔をするな!チームのファーストドライバーは俺だからだ!」

「ふざけるな!チームのファーストはお…」

「お前はルーキー!大人しく俺の後ろ走ってろ!」

「なんでだ!俺だって上の順位を目指したい!」

「それなら、他のチームに行け。ただ、俺は来年マクラーレンに移籍するがね。」

「?!」

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