表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界でチートでは無く物欲センサーが付属しました  作者: 狼絕
1章 『星々の願い』
19/37

12 『状況整理 2』




 「生まれた……場所?」


 眉を顰め、復唱する。何を言っているのだろうか。


 イグラスとセレナも同じ困惑を抱えている様で、一度は聞いたようだがよく分かってないみたいだ。


 「これについては私は今は説明する気はありません」


 死ぬ程気になるが、絶対の意志を感じ取り諦める。いつになったら色々教えてくれるのだろうか。


 「いいですか、皆さん。次の目的地は『星屑の洞窟』ですが、そこは既にシュトルツさんが向かって居ます」


 「私達の目的は、それの手助けをする事。イグラスさん、星屑の洞窟が指定霊沓危機区域になっている理由は主になんですか?」


 話を唐突に振られたイグラスだったが、どうやらほとんどの人の共通認識らしい。セレナも特に動きは無く、知っているらしかった。


 「丁度110年前に、このアラグレーの街の付近に星が落ちた。洞窟が出来上がり、『星霊(スカイ・スピリット)』の集まるダンジョンになった……。といっても、ここから出発して5日程だがな」


 星霊について聞く前に、それを読んだかのように続けてイグラスが口を開いた。


 「精霊には種類がある。『星霊(スカイ・スピリット)』は高高度や星の光が集まる場所、かなり特殊な場所にしか存在しない。生態もイマイチ不明で、殆ど何も分かって居ない。人里には近付か無いし、馴れ合うことも無い。だが、それだけなら少し特殊なダンジョンで済んだ」


 「問題は、そのダンジョンの奥だ。ダンジョンには、往々にして、魔法や、特定の特殊な機能を込めた宝具や魔道具が見つかるが……ここでは__武器が見つかった」


 私にはそれの凄さがよく分からない。魔道具や宝具が出る時点で意味がわからないのだ。


 「ごめん、わからない」


 「……………。お前、ほんとに世間知らずなんだな。俺でも知ってるのに」


 「ごめんって……」


 気を取り直したようにイグラスが言う。


 「いいか、武器ってのはな、自然に見つかるなんて事滅多にないんだよ」


 詳細は省くが、一応種の繁栄能力はあるようで、他種族と魔法を使って新たな武器を作り出す事はあるらしい。


 ある方法を使い武器を探す事は出来るらしいが、今はその方法の難易度が高過ぎるのと、既存の武器を使う事の方が多いらしく、なかなかどうして、武器は増えないらしい。


 人間に武器は作れないのか、本で調べた事がある。

 だが、どうやらここでは作れないらしく、それらしい形を作っても崩れてしまうらしい。そういう武器の魔法なのだろうか、彼らの生存意欲というか、繁栄の意欲 (生きてはいないが)は結構高いのだろう。

 それに、包丁や加工用のナイフを使ったとしても、普通の武器の方が意思が介入する為断然使いやすく、戦闘の練習にもならないのだとその本には書いてあった。


 「だが、剣が自然から見つかった事例は幾つかある。自然の力から生まれた、自然の力を込められた、強力な武器だ。決められたやつしか抜けないのと、そこまでの道のりが困難な事を除けば、完璧な武器だ」


 欠点だらけじゃん。なに? 決められた人しか抜けないの? なに? 意味無くない?


 「一人しか居ないのか、複数いるのかは分からないが、まあ抜けないやつが沢山いるのは変わらないな」


 「兎にも角にも、そういう武器の事を『霊沓(れいすい)武器』と呼ぶ。まあ、指定霊沓危機区域という名前は逆に武器の名前から来てるな。大体の指定霊沓危機区域には霊沓武器があるし」


 つまり、霊沓武器のある場所は大体危険だし自然と指定霊沓危機区域になるということだろう。

 シュトルツは、その武器を目的にしてるのだろうか? でも、それは特定の人しか抜けないだろう。抜けるなんて保証は無いが、やるだけやってみるということだろうか?


 「でも、シュトルツって奴は3日前……いや、4日前か? 手助けをする理由は置いといて、4日くらい前にここを発ったんだろ? ニンゲンの移動手段でそれに追い付くなんて……」


 とイグラスが悩ましい声で言う。シグレが深く頷いた。


 「抜けるか抜けないかは別として、シュトルツさんの安全の為に着いていきます。それと、移動手段ですが、私は何度も言った筈ですよね。今、イグラスさんも言いましたよ」


 「は?」


 「何言ってんの?」


 シグレが私にギザギザした歯を見せながら笑った。


 「"ニンゲンに"それに追い付く手段は殆どありません。そして、今回エリアール森林に行った目的は__"移動手段"です」


 「「「あ」」」


 私と、セレナと、そしてイグラスの声が綺麗に被った。

 イグラスに関しては目を見開いて死にそうな目でシグレを見ている。


 「……移動手段に使われるイグラス、かわいそ」


 「てっめぇナナツキ!! お前も乗る事になるんだぞ!? ああ!?」


 「私は拒否も出来ない可哀想な狼ちゃんに構うのに時間を使うよりも、シグレは何故「私がイグラスを連れ帰る前提で、ここまで計画を進めることが出来たのか」が気になるなあ」


 完全に無視。シグレに無理やりゴリ押しで話題を移すと、シグレがまた笑った。


 「それも秘密です。どうせ、後で分かりますよ」


 「あーはいはい、その代わり、その"後"が過ぎた時にわからなかった時はちゃんと教えてね」


 「ナナツキ順応早いな!?」


 「どうせ教えてくれないでしょ。それに私はこいつに借金してるしそんなに逆らえないから」


 「裏切られそうだな俺」


 裏切るなんて事私がする訳が…………ないわけでは無いが、まあ私は強くないので、意味のわからない展開には付きまとわれてはいると思うが、裏切ってもそこまで害はないだろう。


 それに裏切るって誰に裏切るのだ。シグレが何かしら私達に害を与えるなんて……。


 ……有り得なくはない、かなぁ……。


 「凄い不名誉な事を考えられた気がします」


 「気のせいでしょ」


 なんだかんだ目的は達成したし、妥協点だろうか。


 後々わかると言うのであれば、それに従おう。

 どうせこんな世界に来て何も無い今、つっこんで行くしか選択肢はないのだから。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ