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ノヴァリアの魔導師〜転生したら全属性使いだった〜  作者: にゃふ
第10話:神の器

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第93章:もう一人の黒幕

「今日は静かだな」

学院の休みを利用して、レイとセラはギルドの掲示板の前に立っていた。

ザイロスの事件から数ヶ月。街には再び穏やかな日常が戻り、魔王軍の影も見えない。

けれど、レイの胸の奥には、何か言葉にできないざわめきが残っていた。


「これ、どうかな?」

セラが指さしたのは、小さな村で起きた“魔物の連続失踪事件”。

魔物が消える──普通なら喜ばしいことだが、その異常さにレイは眉をひそめる。


「……気になるな。行こう」


二人はそのまま現地へ向かった。


◇ ◇ ◇


村の森の中は静まり返っていた。

だが、血の臭いがかすかに漂い、地面には焦げたような跡が点々と続いている。


「……これは、魔法の焼け跡?」

「いや、違う。魔力の残滓が不自然に薄い」

レイは地面に手を当て、感知魔法を使う。

だが、魔力の流れが途中で途切れていた。まるで“誰かが意図的に消した”かのように。


セラが不安そうに辺りを見回したそのとき──。


「──ッ!」

耳をつんざくような悲鳴が森の奥から響いた。


二人は駆け出す。木々を抜けると、そこにはボロボロの服を着た少女が倒れていた。

長い銀髪に、傷だらけの体。息も絶え絶えに、彼女はレイを見上げて呟いた。


「……助けて……“黒い鎖”が……私の仲間を……」


「黒い鎖?」

レイが問い返す間もなく、少女の体に黒い紋様が浮かび上がり、苦痛に叫ぶ。


「セラ、抑えて!」

「わ、わかった!」


二人が急いで治癒魔法をかけるも、紋様はゆっくりと体内に沈んでいく。

その痕跡からただよう魔力は、明らかにザイロスのものではなかった。


──まるで別の存在が、裏で糸を引いているような。


◇ ◇ ◇


少女をギルドに運び、治療班に引き渡したあと。

レイとセラはギルド長・グランの部屋に呼ばれた。


「……黒い鎖、か」

グランの顔が険しくなる。

「最近、他の街でも似た事件が報告されている。痕跡も、魔力反応も、まるで“誰かが意図的に統制している”ようだ」


「統制……つまり、組織的な動き?」

レイの言葉に、グランは重々しく頷いた。


「そして──」

机の上に置かれた書類には、一つの名が記されていた。


黒鎖教団こくさこうだん


「……まさか、まだ裏に……」

セラが息を呑む。


「この教団は、ザイロスが消えた直後に活動を始めたらしい。

 ただの残党ではない。むしろ、“ザイロスすら操っていた存在”かもしれん」


その言葉に、空気が凍る。


レイは拳を握りしめ、静かに呟いた。


「……黒幕は、まだ生きている」


その目には、再び闇を断つ決意の炎が宿っていた。

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