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ノヴァリアの魔導師〜転生したら全属性使いだった〜  作者: にゃふ
第9話:ザイロスとの決戦、そして平和な世界

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第86章:依頼デート

 文化祭の喧騒が過ぎ、週末。学院は休みに入っていた。

 レイは朝から冒険者ギルドの掲示板を眺めていた。色とりどりの依頼書が貼られており、討伐や護衛、薬草採取など内容は多岐にわたる。


「どう? 何かいいの見つかった?」

 隣でセラが声をかけてくる。制服ではなく動きやすい冒険者装備に身を包んだ彼女は、すっかり学園生とは違う雰囲気を纏っていた。


「そうだな……あんまり重い仕事は休みにやるもんじゃない。薬草採取の依頼なんてどうだ?」

「えー、採取だけ? たまには派手なのがいいな」

「派手なのは、どうせすぐ舞い込んでくるだろ。今くらいは平穏でいい」

「……ふふっ、そうね」


 二人は薬草採取の依頼書を受け取り、街を出て森へ向かう。

 木漏れ日の下で風に揺れる草花をかき分け、目当ての薬草を探す。戦いの緊張感はなく、ただ穏やかな時間が流れていた。


「ねえレイ、こういうのってデートっぽくない?」

「デートで草むしりは聞いたことないな」

「でも二人きりだし、なんだか特別な気がする」

 頬を赤らめて微笑むセラを見て、レイは言葉に詰まる。戦場では決して味わえない照れくささが、胸を満たしていた。


 ――とはいえ、平穏がずっと続くわけではない。

 茂みから突如、低い唸り声が響いた。小型の魔獣が三匹、牙を剥いて飛び出してくる。


「ほら、やっぱり派手なのが来た!」

「……だから言ったんだよ」


 剣を抜き放ち、レイは迫る魔獣を軽やかにいなす。セラも魔法で援護し、数分もしないうちに森は再び静けさを取り戻した。

 二人は互いに目を見合わせ、そして笑う。


「ちょっとしたスパイスがあった方が楽しいでしょ?」

「まあな。けど、あんまり刺激が強すぎるのは遠慮したい」


 集めた薬草を袋に詰め、二人は街へ戻る。

 ギルドで報告を終え、報酬を受け取ったあと――外のベンチに腰掛けて、ゆったりと風を感じた。


「こういう時間も、悪くないな」

「でしょ? 私、ずっとこんな日が続けばいいなって思ってる」

 セラの言葉に、レイは小さくうなずいた。


 戦いのない日常。それは短く儚いものかもしれない。

 だが確かに、今ここにある。

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