第82章:仲間たち
ザイロスが消え、研究室の残骸を処理したレイは、一人静かに出口へと歩いていた。
長い戦いの余韻に浸る暇もなく、胸の奥では仲間たちの顔が浮かんでいた。
「……待たせすぎたな」
崩れた石の回廊を抜けると、薄暗い広間の先に懐かしい声が響いた。
「――レイ!」
駆け寄ってきたのは、セラだった。
彼女の顔は安堵と心配で入り混じり、レイを見た瞬間にその大きな瞳に涙がにじむ。
「無事で……よかった……!」
「あぁ、心配かけたな」
レイが苦笑すると、セラは思わず抱きつき、仲間たちも次々と集まってきた。
ミナが息を整えながら笑う。
「さすがだね、レイ。ザイロス相手に一人で戻ってくるなんて……」
リリアは少し唇を尖らせつつも、ほっとした表情で。
「でも無茶しすぎよ。私たちもいたのに……」
その言葉にレイは肩をすくめる。
「悪い、あれは……俺がケリをつけなきゃならない戦いだった」
仲間たちは何も言わずにうなずいた。
レイの戦いを理解しているからこそ、責めるよりも、その背中を支えたいと思っていた。
そこへ、ゆっくりと重い足音が近づく。
現れたのは、魔王――ヴァルゼリオ。
「……どうやら、本当に終わらせてきたようだな」
「お前こそ、大丈夫だったのか」
ヴァルゼリオは腕を組み、わずかに笑う。
「俺を誰だと思っている。あんな手下どもに遅れは取らん」
その言葉に、仲間たちの緊張がふっと和らぐ。
敵としてではなく、今は確かに“仲間”として彼がここにいることを、皆が実感していた。
しばしの沈黙の後、セラが小さく呟いた。
「……これで本当に平和になるの?」
その問いに、レイは空を見上げるようにして答える。
「ザイロスは消えた。だが、奴が残した痕跡や魔物はまだ世界に残ってる。完全な終わりじゃない……けど」
そこで一度言葉を切り、仲間たちを見渡した。
「――俺たちがいる限り、世界は負けない」
その言葉に、皆の胸に熱が灯った。
セラは静かに笑い、ミナは肩で息をつきながら「やれやれ」と呟き、リリアはこっそりとレイを見つめる。
そしてヴァルゼリオもまた、口の端をわずかに吊り上げた。
「いいだろう。俺も退屈は嫌いだからな。世界を守る戦い、最後まで付き合ってやる」




