第81章:勝利を手に
決戦が始まった。
進化したザイロスの攻撃は、まさに圧倒的だった。
腕を振るうだけで衝撃波が生まれ、闇の爪が空間を切り裂く。
吐き出される黒炎は地を這い、触れるもの全てを飲み込んでいく。
レイは全身を駆使してかわし、剣を振るって反撃に転じる。
炎の斬撃、氷の杭、雷鳴の突進、風の刃、大地の盾――全属性を切り替えながら、次々と技を繰り出す。
「クッ……やはり、全属性を使えるお前は厄介だ!」
ザイロスは苛立ちを隠せず、さらに闇を増幅させる。
十を超える闇の分身が現れ、同時に襲いかかってきた。
だがレイは一歩も怯まない。
両目を閉じ、魔力感知を最大限に研ぎ澄ませた。
(本体は……そこだ!)
瞬時に炎を纏わせた剣を振り抜く。
爆ぜるような轟音と共に、分身は霧散し、本体のザイロスが弾き飛ばされた。
「ぐっ……!」
黒殻にひびが入り、血が滲む。
ザイロスは苦悶の表情を浮かべながらも、なお立ち上がった。
「まだだ! 私は……この程度で倒れる存在ではない!」
吠えると同時に、闇がさらに膨張し、床を砕きながら荒れ狂った。
レイは剣を高く掲げ、全身から魔力を解き放つ。
炎、氷、雷、風、大地、光、そして闇までも――七属性が渦を巻き、一つの巨大な極光を形成していく。
「……これが、俺の全力だ」
眩い光に照らされ、ザイロスは叫び声をあげながら突進してきた。
黒炎と極光が衝突し、世界そのものが割れるかのような轟音が響き渡る。
光と闇が押し合い、結界が砕け、床が崩落していく。
互いの魔力が限界までぶつかり合い、二人の姿すら見えなくなった。
しかし次の瞬間、光が闇を貫いた。
「なっ……!?」
ザイロスの瞳が大きく見開かれる。
黒殻が砕け、翼がもがれ、角が折れ落ちていく。
「お前は……神には……なれ……ぬ……」
最後の言葉を残し、ザイロスの肉体は光に飲まれて霧散した。
静寂が訪れる。
瓦礫の中に立つのは、剣を肩に担いだレイただ一人。
荒い息を吐きながらも、その瞳は揺るがず、確かに勝利を掴んでいた。
「……終わったな、ザイロス」
その声が、戦いの幕を閉じる鐘の音のように響いた。




