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ノヴァリアの魔導師〜転生したら全属性使いだった〜  作者: にゃふ
第8話:ザイロスとの戦闘

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第78章:レイVSザイロス

 無数の魔物を討ち倒し、血と焦げた臭いが漂う廃城の奥――。

 そこには、異様なほど静まり返った広間があった。

 ただの静寂ではない。

 世界そのものが息を潜め、二人の邂逅を待ち構えているような空気。


 レイは足を止め、深く息を吐いた。

 心臓の鼓動が、やけに大きく響く。

 目の前には、一人の男が佇んでいた。


 漆黒のマントを翻し、白銀の髪を肩に垂らしたその姿。

 その目は氷のように冷たく、底知れぬ闇を宿している。

 ――ザイロス。


 この世界を混沌に陥れた張本人。

 幾多の犠牲の果て、ようやく辿り着いた宿敵。


「やはり来たか、レイ=アークライト」

 その低い声が響くたび、空気が震える。

 魔力が言葉に乗って流れ出し、重圧となってレイの体を押し潰そうとする。


「……お前が、全ての元凶だな」

「元凶? そうだ。だが、それは世界を作り直すための破壊だ」


 ザイロスはゆっくりと歩き出した。

 一歩ごとに大理石が黒く染まり、砕け散る。

 その光景を見て、ミナが思わずレイの腕を掴んだ。

「レイ……ここ、空気が……おかしい」

「大丈夫。ここは俺が行く」


 そう告げた瞬間、ザイロスの指先に黒い魔法陣が浮かぶ。

 それは光の鎖のように地面を這い、ミナたちの足元に広がった。


「なっ……!?」

「観客席は、あちらだ」


 黒い閃光。

 ミナたちは一瞬で光に包まれ、空間から弾かれるように消えた。

 残されたのは――レイとザイロス、たった二人。


「これは、俺とお前だけの“決闘”だ」

 ザイロスの唇が、冷たく歪む。

「お前の力、見せてもらおう。転生者――レイ」


 レイは無言のまま剣を抜いた。

 刃が淡く光を帯び、揺らめく。

 握る手が震えているのは恐怖ではない。

 覚悟を刻み込むためだ。


「……これで、全部終わらせる」

「フッ、言葉だけは勇ましいな。ならば、始めよう」


 次の瞬間、空間が弾けた。

 ザイロスの背に闇の翼が広がり、同時に黒雷が奔る。

 地面がひび割れ、光が消える。

 レイもまた全身の魔力を解放し、白金のオーラが迸る。


 光と闇――正反対の力が交わる。

 空間が悲鳴を上げるように歪み、凄まじい衝撃が辺りを吹き飛ばした。


「――行くぞッ!」

「来い、レイ!!」


 二人が同時に動いた。

 光刃が走り、闇槍が迎え撃つ。

 衝突のたび、爆風が広間を飲み込み、瓦礫が宙を舞う。


「くっ……やっぱり、速い!」

 レイは身を翻してかわすが、その直後に背後から黒い魔弾が放たれる。

 すぐに魔法陣を展開し、障壁で防ぐも衝撃が重く肩に響く。


「防いだか……だが、それだけか?」

 ザイロスは楽しげに笑い、闇のエネルギーを掌に集め始めた。

 次の瞬間、無数の影の剣が空間に出現する。


「《シャドウ・バースト》」

 一斉に放たれる黒剣の雨。

 レイは瞬時に詠唱を重ねた。


「《聖光障壁セイクリッド・ガード》!」


 白光のドームが展開し、闇の剣を弾き返す。

 爆風で床が抉れ、光と影が交錯する。


「……なるほど。全属性を扱うという噂は本当らしいな」

「噂じゃない。本物だ!」


 レイは左手を突き出す。

「《フレア・ランス》!」

 炎の槍が閃き、ザイロスを直撃する――が、黒い膜が瞬時に覆い、無傷。


「効かぬ。火も、氷も、雷も……俺には通じん」

「なら、これでどうだ!」


 レイは詠唱を重ね、光と風と雷を同時に重ね合わせた。

 空間が震え、無数の光線が交錯する。

「《エレメンタル・ストーム》!」


 轟音とともに広間が爆ぜた。

 眩い閃光の中、ザイロスの影が揺れる。

 だが、爆煙が晴れると――彼は、微動だにせず立っていた。


「……なるほど。面白い。だが、まだ足りん」

 その目が、赤黒く輝いた。


 空気が一瞬で凍りつく。

 ザイロスの魔力が一気に膨れ上がり、闇が床から溢れ出す。

 まるで世界そのものが彼の支配下に置かれたかのようだった。


「見せてやろう。これが、“本気”だ」

 ザイロスの声が響くと同時に、背後の闇が形を変え――巨大な魔神の姿となった。


「ッ……マジかよ……!」

 レイの額から汗が流れる。

 それでも退くことはない。


 剣を握り直し、魔力を極限まで高める。

 光が再び彼の周囲を包み、翼のように広がった。


「こっちも、全力で行かせてもらう!」

 レイが地を蹴る。

 瞬間移動に近い速度で間合いを詰め、光刃が闇神の腕を切り裂く。


「……ほう」

 ザイロスがわずかに目を見開く。


「まだまだ!」

 レイは追撃を重ね、雷と氷を重ねた剣撃を放つ。

 だが、闇神の拳が振り下ろされ、爆風が広間を吹き飛ばした。


「うっ……くそっ!」

 地面を転がりながらも、レイは立ち上がる。

 全身が痛む。それでも目は決して折れない。


「この世界を、壊させはしない!」

 叫びと共に光が爆ぜ、再び両者が激突する。

 光と闇――二つの極が激しくぶつかり合い、

 その瞬間、広間全体が白に包まれた。

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