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ノヴァリアの魔導師〜転生したら全属性使いだった〜  作者: にゃふ
第8話:ザイロスとの戦闘

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第76章:解析

「……解析、完了まであと3%か」


静かな広間に、淡い魔法陣の光が広がっていた。

レイはザイロスの作り出した転移扉の前で、魔力式の解析を続けている。


背後では、ミナとセラが魔物の残骸を確認していた。

焦げた匂い、冷気の残滓、焼けた床。あれだけの数を、たった二人で――。


「……ほんと、頼もしくなったな」


思わず漏らした独り言に、自分でも苦笑がこぼれる。


数ヶ月前、あの二人はまだ未熟だった。

セラは感情を表に出せず、ミナは突っ走ってばかりで。

けれど今は――俺がいなくても、自分の判断で戦って、勝って、守ってくれる。


「俺、昔は全部一人で抱え込んでたよな……」


壁に背を預けながら、レイは小さく呟く。


前世――魔法理論の研究に明け暮れ、孤独の中で成果だけを追っていた。

他人の協力も、友情も、絆も、必要ないと決めつけていた。


でも、今は違う。


この異世界で、出会ってしまったんだ。

セラの優しさも、ミナの明るさも、ヴァルゼリオの不器用な誠実さも。

そして――ザイロスのような“歪んだ強さ”も。


「……守りたいと思える奴らができたんだ。だから俺は、もう――負けない」


魔法陣の光が強くなり、解析率が100%に近づく。

レイは立ち上がり、手をかざした。


「解除――《ディスコード・キー》」


青白い魔力が奔流のように流れ込み、扉の封印が音を立てて解けていく。

あと少し。

そう思ったその瞬間――


ガコンッ!! という鈍い音が、床の下から響いた。


「……嫌な音だな」


床の中央が裂け、漆黒の金属装甲がゆっくりと姿を現す。

八本の脚を持ち、巨大なコアが胸に埋め込まれた人型――。


ミナが叫ぶ。


「ちょ、あれ絶対やばいって!? なにアレ!?」


セラが分析するように呟く。


「……古代魔導兵器。魔王軍でも最上級クラスの防衛兵……」


レイはため息を吐く。


「なるほどな。最後の守護者ってわけか」


魔導兵器オメガ・ガーディアン

魔力反応は尋常じゃない。

一撃で普通の冒険者パーティーを全滅させられるほどの魔力を内包していた。


「レイ! どうするの!?」


「決まってんだろ」


レイは笑って、足を一歩前に出した。


「俺がやる」


「え……?」


セラが驚く。ミナも口を開きかけたが、レイが片手を上げて止めた。


「お前らは休んでろ。さっきの戦いで魔力も体力も削ってるだろ。

 こいつは……俺の仕事だ」


静かな声。だがその奥には、燃えるような決意があった。


「さて――久しぶりに、全開で行くか」


レイの身体から、金色の魔力が立ち昇る。

空気が震え、周囲の石壁にひびが走るほどの圧。


ミナが小声で呟く。


「うわ……これ、完全に本気のやつだ……」


セラは真剣な目でレイを見つめた。


「……どうか、無理しないで」


レイは背中越しに、短く答える。


「心配すんな。俺は――最強だ」


魔導兵器が咆哮のような音を上げた。

無数の魔力砲が起動し、空間を切り裂くほどの光線がレイに向かって放たれる。


「――《位相転移障壁》!」


レイが手をかざすと、光が彼の身体をすり抜けたように見えた。

空間を一瞬ずらす高度な防御魔法。

当たる直前に“次元”そのものを操作する、常識外れの技だ。


「お返しだ――《雷霆・断界閃》!」


雷光をまとった剣撃が一閃。

だが、オメガ・ガーディアンは防御フィールドを展開して受け止めた。


「ほぉ……やるじゃねぇか」


レイは笑う。心の底から、戦いを楽しんでいた。


それから数分――激闘が続く。


炎、雷、氷、闇、光。

あらゆる属性の魔法がぶつかり合い、空気が焦げ、地面が抉れる。


ミナは息を呑み、セラはただ祈るように見守った。


「……あんな戦い、人間の領域じゃないわ」


「だろ? けど、あれが“レイ”だよ」


ミナの目は、誇らしげに光っていた。


そして――。


レイは静かに右手を上げた。

その掌に、七色の光が収束する。


「……終わりだ。全属性融合――《アーク・ディザスター》」


次の瞬間、世界が白く染まった。


轟音とともに、魔導兵器の装甲が一瞬で蒸発し、

床も壁も波打つように崩れ落ちる。


爆風の中、レイだけが静かに立っていた。


風が止み、粉塵が晴れる。


ミナ:「な、なに今の……!?」

セラ:「……まるで、世界の理をねじ曲げたみたい」


レイは自分の手を見つめ、苦笑する。


「……やべ、やりすぎた」


崩れ落ちた床の先には――ザイロスの玉座の間へと続く階段が現れていた。

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