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ノヴァリアの魔導師〜転生したら全属性使いだった〜  作者: にゃふ
第5話:魔王城に突撃

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第45章:ミナVSガルドゥス

広間に響き渡る轟音は、戦場そのものを揺るがしていた。

黒鉄の巨拳が振るわれるたびに床石が砕け、粉塵が舞い、衝撃波が四方に広がる。


「くっ……!」

ミナは必死に短剣を交差させ、襲い掛かる拳を受け止める。だがその度に身体は軽々と吹き飛ばされ、背中から石壁に叩きつけられた。


肺から空気が押し出され、視界が白く染まる。

骨が軋み、指が震え、握った刃が滑り落ちそうになる。


「どうした、小娘。もう立ち上がれんのか?」

ガルドゥスの低い嘲笑が広間に響く。

その声は、獣の咆哮にも似た威圧感を持っていた。


ミナは必死に唇を噛みしめ、崩れ落ちる膝に力を込める。

「……まだ……」


だが返事をするより早く、再び巨拳が振り下ろされる。

「がはっ!」

鈍い音と共に腹を抉られ、体内がかき回されるような痛みに襲われる。

続けざまに頬へ叩き込まれる拳。視界が揺れ、頭が割れるように痛んだ。


「……っ……」

地面に転がったまま、ミナは血を吐き出す。

己の小ささ、力のなさを嫌というほど思い知らされていた。


(強すぎる……このままじゃ……)


だが、その心の片隅に――ほんのわずかに、光が残っていた。


ガルドゥスがゆっくりと歩み寄ってくる。

その巨体は影となって覆いかぶさり、逃げ場を奪っていく。


「終わりだ」


拳が振り下ろされる――その瞬間。

ミナは無意識に足を滑らせ、わずかな隙を突いて身を翻した。


「――ここだッ!」


短剣が光を帯び、渾身の力で突き上げられる。

鋭い刃が鎧の隙間を捉え、黒い血飛沫が舞った。


「ぐっ……!」

ガルドゥスの膝が沈み、巨体が揺らぐ。


(やった……!?)


だがその期待は、一瞬で打ち砕かれる。


「ほう……今のは効いたぞ」

ガルドゥスは傷を押さえながらも、不敵な笑みを浮かべた。

その眼光には痛みではなく、むしろ歓喜の炎が宿っている。


「面白い……もっと見せろ。その必死の足掻きを!」


再び振り下ろされる拳。

床石が割れ、衝撃で広間全体が揺れる。


「……っ……!」

ミナは咄嗟に身をひねり避けるも、かすった衝撃だけで身体が吹き飛ぶ。

壁に叩きつけられ、背中が焼けるように痛んだ。


腕は痺れ、脚は震え、息は荒く、視界は霞む。

「もう……立てない……」

その言葉が口から漏れそうになった時――。


――「頼んだぞ、ミナ」


脳裏に蘇る声。

あの時、レイが真剣な眼差しで告げてくれた言葉。


(そうだ……私は……任されたんだ)

(レイは……私を信じてくれたんだ……!)


胸の奥に消えかけていた炎が再び燃え上がる。

痛む身体に無理やり力を込め、膝を突き、立ち上がった。


「……まだ、終わってない……!」


血と汗にまみれた顔で、ミナは叫んだ。

その瞳に宿る決意に、ガルドゥスの瞳がわずかに見開かれる。


「立ち上がるか……。いいだろう」

口角を吊り上げ、狂気を帯びた笑みを浮かべる。

「その気力、粉々に砕いてやる!」


拳が再び振り下ろされる。

だが先ほどのミナではない。


彼女は全神経を集中させ、相手の動きを読み取る。

肩の角度、足の踏み込み、呼吸のリズム。

全てを見切り、寸前で身を滑らせた。


「――今だぁぁぁああッ!」


短剣が光を放ち、渾身の突きがガルドゥスの胸を穿つ。

黒い血飛沫が散り、巨体が後退した。


「……ほう、小娘。ようやく一撃らしい一撃を見せたな」

ガルドゥスの瞳に宿ったのは怒りではなく、むしろ歓喜だった。


「面白い……もっとだ! もっと俺を楽しませろ!」


広間に咆哮が轟き、瓦礫が揺れ落ちる。

だがミナは一歩も退かない。


(負けない……絶対に……負けない!)


その心には、レイの背中があった。

あの大きな存在を守るために、自分はここで立ち続けなければならない。


――戦いは、まだ終わらない。


ミナは全身を震わせながらも刃を構え、再び走り出した。

限界を超えたその身体を引きずるようにして――。

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