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ノヴァリアの魔導師〜転生したら全属性使いだった〜  作者: にゃふ
第4話:危険な冒険を求めて

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第37章:眠れる竜の試練

 森の奥は、想像以上に深かった。

 古樹が絡み合い、空を覆い隠すせいで、昼なお薄暗い。

 しかしその陰に潜む「闇魔法石」の気配を探し当てることが、今回の任務だった。


 レイは空へ舞い上がり、魔力で作った翼を広げて滑るように森を俯瞰する。

 一方、セラとミナは地上で探査を進めていた。


「ねぇ、この糸……不思議な感じだね」

ミナは手首に繋がる透明な魔力の糸を見て呟く。

セラは小さく微笑んだ。

「これなら離れていても安心ね。レイは本当に気配りが細かいわ」


 レイは上空から森全体を調査しつつ、心の中でつぶやく。

(意外と広いな……でも、こんな森に五つも闇魔法石を置くなんて、完全に人為的だ。やはりザイロスか、それとも……)


 捜索は難航したが、糸を通して次々と情報が伝わってきた。

「セラ、発見。──破壊しました」

「ミナも一つ壊せたよ!」


 同時にレイも二つの石を見つけ、魔力を込めた剣で粉砕する。

これで残りは一つ。


 しかし最後の一つは、いくら探しても見つからなかった。

 レイは感知魔法を強め、森の奥を探る。

 ──途端に、異質な魔力が引っかかった。


「……見つけた」


 だが、そこは最悪の場所だった。

 石は巨大な洞窟の奥、その入り口を守るように──一体のドラゴンが眠っていたのだ。


 ◇


「ど、ドラゴン……!?」

ミナは思わず声を震わせた。

セラも蒼ざめ、杖を握りしめる手が震える。

「どうするの……? あんなの、勝てるわけ……」


 二人が怯えるのも無理はない。

 その巨体は山のようで、鱗は黒曜石のごとく硬質な輝きを放っている。吐息一つで熱風が洞窟を揺らし、閉じられた瞼の奥には恐ろしい力が眠っているのがわかった。


 だが、ただ一人──レイだけは違った。


(……ドラゴンだ。俺の前世でも見たことがなかった、真の竜種……!)


 胸の奥から湧き上がる高揚感に、思わず笑みが漏れる。

 恐怖よりも、未知に対する歓喜が勝っていた。


 ◇


 慎重に洞窟へ近づいたが、ドラゴンは目を開いた。

 黄金の瞳がぎらりと輝き、低い声が大地を震わせる。


『……小さき者よ。この地に踏み入るは、何を求めてか』


 その声は思念のように直接響いた。

 レイは迷わず答える。

「この洞窟に眠る闇魔法の石を破壊しに来た」


 ドラゴンは鼻を鳴らす。

『その石が我が眠りを妨げていることは知っている。しかし、安易に渡すわけにはいかぬ』


「なら、どうすれば?」


『力を示せ。弱き者には、この地を託すことはできぬ』


 瞼が完全に開き、黄金の双眸が三人を射抜いた。

 その瞬間、セラとミナは思わず後ずさる。

「ちょっ、ちょっと待って……戦うってこと!?」

「む、無理だよ……!」


 しかしレイは一歩前に出た。

 その背中を見て、二人は言葉を飲み込む。


「いいだろう」

レイは剣を構え、口元に笑みを浮かべた。

「なら、この力で証明してみせる」


 ◇


 次の瞬間、大気が爆ぜた。

 ドラゴンが翼を広げ、洞窟の外へ飛び出す。森全体が震動し、木々が薙ぎ倒される。


 レイも魔力を解き放ち、剣に纏わせる。

 大地が裂け、空気が焦げる。

 それは、森を揺るがす「竜」と「最強の魔術師」の激突の幕開けだった。

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