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ノヴァリアの魔導師〜転生したら全属性使いだった〜  作者: にゃふ
第4話:危険な冒険を求めて

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第31章:結婚と旅立ち

 「け、結婚式……ですって?」


 長の突然の言葉に、レイは思わず耳を疑った。

 セラは真っ赤な顔で固まり、ミナは「え、えぇぇ!?」と大きな声を上げた。


「ちょ、ちょっと待ってください! 俺とセラは……その、まだそういう……」

 慌てて否定するレイ。だが長はまったく耳を貸さない。


「セラは我が誇り高き娘、そしてお前は森を救った英雄だ。ならばこれ以上ない組み合わせだろう。森の民として、祝いを挙げるのは当然のこと」


「いやいや、そういう話じゃなくてですね……」

 レイが抵抗しようとするも、長は都合の悪い言葉をまるで聞こえないかのように無視する。

 周囲のエルフたちも「姫様がようやく……」「英雄殿との婚礼か……」と勝手に盛り上がり始め、話はどんどん進んでいった。


 ――そして昼。

 村の広場には花や布が飾られ、エルフたちが集まっていた。見事な祭壇が設えられ、二人の結婚式が本当に始まってしまったのである。


「なんでこうなった……」

 式服に着替えさせられたレイは、状況が理解できず半ば呆然と立ち尽くしていた。

 一方のセラは真っ赤な顔をしながらも、どこか嬉しそうに微笑んでいる。


 式は厳かに進み、祝福の歌と共に二人は誓いの言葉を交わした。

 村中が拍手と歓声で包まれ、夜まで宴は続いた。


 ◇


 やっと式が終わり、部屋に戻ったレイは大きく息を吐いた。

「……もう疲れた。なんで俺、結婚式挙げてんだよ」

 布団に倒れ込みながら、現実感のない出来事に頭を抱える。


 そんなとき――

 ノックの音と共に、ドアが静かに開いた。


「……レイ、起きてる?」

 現れたのは、純白の衣装を着たままのセラだった。


「セラ!? な、なんで……」

 レイは思わず飛び起きる。心臓が異常なほどに早鐘を打っていた。


 セラは恥ずかしそうに視線を逸らしながら、ぽつりと言った。

「……昔から、ずっとレイのことが好きだったの」


 その言葉に、レイは固まった。

(……え、これテンプレじゃないか? なんで俺がこんなラブコメみたいな状況に……!?)

 頭の中で混乱しつつも、セラの真剣な眼差しに目を逸らすことができなかった。


「でも……俺とセラは、従者と主っていう関係だったんじゃないのか?」

 レイは慎重に言葉を選ぶ。

 するとセラは小さく首を振り、笑顔を浮かべた。


「私はただの従者じゃない。あなたのそばにいたいって、ずっと思ってきたの。レイがどんな道を進んでも……死ぬまで一緒にいるって」


 その言葉には迷いがなく、ただひたすらに真っ直ぐだった。

 レイの胸に熱いものが広がり、思わず息を飲む。


「……セラ、お前ってやつは……」


 その夜、セラはレイの部屋に残り、同じベッドで眠ることになった。

 レイは布団の端に縮こまり、緊張で全く眠れない。

 一方セラは安らかな寝顔を見せ、幸せそうに寄り添っていた。


 ◇


 翌朝。

 村の入り口には長や多くのエルフたちが見送りに集まっていた。


「ここまで世話になりました」

 レイは深く頭を下げる。長は満足そうに頷き、セラを見つめた。


「セラ、どうか幸せに。……レイ、我が娘を頼んだぞ」


 その横で、昨日まで敵意をむき出しにしていたセラの兄が一歩前に出た。

 険しい表情のまま、しかし力強い声で言う。

「お前を……信用する。妹を頼んだ」


 レイは驚きつつも頷いた。

「必ず守ります」


 セラとミナを伴い、レイは再び旅路へと足を踏み出した。

 村を後にする背中を、エルフたちはいつまでも見送っていた。


「きっと……また帰ってきますよ」

 レイは振り返り、そう言葉を残した。


 ――そして三人の旅が、再び始まった。

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