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ノヴァリアの魔導師〜転生したら全属性使いだった〜  作者: にゃふ
第17話:学院編

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第180章:監視者の配属

最近出す気力が出なくなってきたのでちょくちょく出します

旧研究区画を出た直後だった。


「そこまでです」


 静かな、しかしよく通る声。


 廊下の先に、一人の人物が立っていた。


 長い銀髪を後ろで束ね、

 黒を基調とした学院上位制服。

 胸元には特別監査官の紋章。


「……誰」


 ミナが即座に一歩前へ。


 相手は軽く会釈した。


「本日付で、あなた方の監視兼補佐に任命されました」


 澄んだ灰色の瞳が、レイを見る。


「監査官リュシエル・ハーグレイです」


 名乗りと同時に、空気が少しだけ張り詰める。


 セラが静かに確認する。


「監査官……つまり私たちの行動は全て記録される、と?」


「はい」


 リュシエルはあっさり頷いた。


「任務内容、接触対象、魔力使用状況。

 特にレイ殿の境界干渉に関しては、逐次報告義務があります」


「……感じ悪いね」


 ミナが腕を組む。


「信頼してないってことでしょ?」


「逆です」


 即答。


「信頼できるかどうかを確認するために、私がいる」


 淡々とした口調。

 感情が読めない。


 ◆


 リオンが一歩前に出る。


「旧研究区画の封鎖は形だけだな」


「ええ」


 リュシエルは視線を逸らさない。


「“計測不能区域”は、既に三か所」


「三か所?」


 マリーナが眉をひそめる。


「他にもあるの?」


「あります」


 短い沈黙。


「ですが、あなた方が接触した区域が最も反応が強い」


 その視線が、再びレイへ。


「対象認識も確認しました」


「……やっぱり俺か」


「はい」


 リュシエルは少しだけ目を細める。


「ですが興味深いのは、

 あなたが“接続を拒否できた”こと」


 セラが鋭く問う。


「それ、学院側は想定していたの?」


「いいえ」


 即答。


「想定外です」


 ◆


「質問いい?」


 ミナが、ぐいと近づく。


「あなた、どっち?」


「どっち、とは?」


「学院の犬?

 それとも“私たち側”?」


 空気が止まる。


 リュシエルは、わずかに瞬きをした。


「私は学院の人間です」


 きっぱりと。


「ですが」


 少しだけ間を置く。


「学院が常に正しいとは、思っていません」


 その一言に、セラの目が揺れる。


「……内部に不審は?」


 リュシエルは答えない。


 代わりに、逆に問い返す。


「あなた方は、

 学院内部に協力者がいる可能性をどう見ていますか?」


 沈黙。


 リオンが低く言う。


「ある」


 マリーナも頷く。


「観測装置は偶然じゃない」


 レイは、リュシエルを見た。


「あなたは?」


 ほんの一瞬。


 感情が揺れた。


「……否定できません」


 ◆


 廊下の窓から月光が差し込む。


 影が長く伸びる。


「これからの調査は、私も同行します」


 リュシエルは言う。


「記録もするし、止めもします」


「止める?」


「必要なら、レイ殿の魔力行使を強制遮断します」


 ミナの目が細くなる。


「できるの?」


「試してみますか?」


 一瞬、火花のような緊張。


 だがレイが手を上げる。


「いい」


 そして、まっすぐリュシエルを見る。


「俺は逃げない。

 監視も受ける」


「……覚悟はある、と」


「ある」


 リュシエルは、静かに頷いた。


「では正式に配属します」


 そして小さく付け加える。


「……私も、真実を知りたい」


 その声音は、初めて少しだけ人間らしかった。


 ◆


 学院内部調査班。


 レイたち五人に、監視官リュシエルが加わる。


 味方か。

 それとも抑止装置か。


 まだ分からない。


 だが確実に言えることは一つ。


 学院内部で動く“観測者”は、

 すでに彼らの存在を認識している。


 そして次は――

 より深い区域で、待っている。

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