嫌な思い出と初めてのメイド
誤字・脱字などがありましたらお伝え下さい
優しく微笑まれながら手を差し出される
これは握手するべきなのだろう
でも怖い
「シャルティア?」
怖い、でも皇子様、でも怖い、皇子様、怖い、皇子様、怖い皇子、怖い、皇子、怖い皇子、怖い、怖い、皇子怖い怖い怖い怖い皇子怖い怖い怖い怖い怖い皇子怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
あれ?この顔知ってる……
「シャルティアっ!」
「シャルティア殿!?」
あれ?声が遠いな…
だんだんと目の前が霞がかり何も考えられなくなってきた
体に力が入らなくなりそのまま闇の中に落ちていった
□■□
『やぁ〇〇さん、今日も綺麗だね。今度我が家で開催される宴に参加しないかい?』
(ここで媚を売っておこう)
『〇〇さんは頭脳明晰でございますね』
(次男のくせに調子にのりやがって)
『坊っちゃん、早く婿入り先を見つけなければなりません』
(次男なのだからさっさと出ていけばいいのよ。邪魔なだけだわ)
会う人会う人
裏では良いことなんかなにも思っていない
ボクのことを良く思っていない
いいところの家だからと媚を売られ、次男だからと下に見られてバカにされ
この家に生まれたからか誰一人もボクを一人の人として見てくれない
それは生まれた頃からで慣れていた
見下した顔も媚びうる顔も…
だがその中で慣れないものがあった
それは…
能面のように貼り付けた笑顔
裏があるのにそれを悟らせないようにしている
そういう人の裏は考えられないようなものばかりだ
どう利用するか考えている顔だ
だからこの顔だけは慣れなかった
怖くて…
油断をするとすぐ足をすくわれる
気をつけなければ
でないと……
殺される
□■□
ふわふわした感覚
夢と現実の狭間
また眠りにつきたいと思ったがあの夢を見たくはなく現実に意識を向けた
「ん、ふわふわ……?」
どこ?ここ
ぼやける視界のなか、必死に今までのことを思い出した
(たしか、帝王様と城に行って皇子様に会って怖くて、それで……ボク倒れたんだ)
怖い理由がやっと分かった
思い出した
あの笑顔が怖かったんだ
能面みたいな貼り付けた笑顔が
「おめざめですか?」
急に声が聞こえて、聞こえた方に顔を向けると一人の女性が立っていた
(うそ…気配を感じなかった…!)
桜色のふわふわした髪にパライバトルマリンのようなブルーグリーンの瞳
愛顔が似合う全体的にふわふわした女性
こういう人をなんて言ったっけ…?
あ!ヒロインみたいな人
そんな感じの人だった
だけど気配は感じなかった
「えっ……と…」
とりあえず、誰?
「私は今日からグラス様付きのメイドになります、フィリーシャ・リントでございます」
「メイド…?」
「はい!貴方様は皇帝陛下直属の錬金術師様ですので城に一室をいただけるのです。その際、最低でも一人はメイドをつけるように、と」
ボク付きの……メイド…!?
え、うそでしょ…!
フィリーシャというメイドはキラキラした笑顔でボクを見ている
でも、皇子様みたいに怖いというものはない
多分心からの笑顔、裏のない笑顔なのだろう
でも、メイドか
でもそれで衣食住が保証されるなら…
メイドが一人だけなのは帝王様の気遣いなのだろう
ならつき放つのは無理だな
「グラス様は人見知りだということでまず私に慣れてもらおうかと思いまして」
あぁ、やっぱり
まぁこれは避けては通れない道
甘んじて受け入れよう
「これからよろしくお願いいたします!」
「は、はい……」
明るい…とても明るい…
これから大丈夫なのだろうか
◇◆◇
城に来て初日
なれない部屋になれないベット
ここに来るまで泊まったホテルとは比べものにならない
フッカフカのベット
金細工が施された机や椅子
部屋はいくつもあり広い
だけど派手ではなくて居心地は良い……が
そばにフィリーシャさんが絶対に居る
メイドだからしょうがないけどいつもうまく気配を消しているから疲れる
たまに気づくか気づかないかぐらいの気配をだすから余計に疲れる
ボク試されているのかな?
でも…
少し喉がかわいたとき
「グラス様、紅茶でございます」
「あ、ありがと…ございま、す…」
少し暑いなって思ったとき
「少々暑くなりましたね。すぐに冷却魔法をおかけいたします」
「あ、はい…」
あ、昼ごはんの時間だって思ったとき
「昼食の用意はできております」
「そ、ですか…」
風呂に入りたいなって思ったとき
「お風呂の用意、完了いたしました」
「えっ……」
もう、完全に思考を読まれている
でもそのおかけで快適だからなにも言えない
初日からこれだから、毎日だったら普通の人はダメ人間になる
絶対に…!
ボクは大丈夫………だと思う
フィリーシャさんはメイドだから
そう頭に叩き込んで一日を過ごした
はねのけるのもできないから仕事だと叩き込むことしかできなかった
だって純粋な笑顔でしてくれるから
こんなにボクに献身的にしてくれるのは何か裏があるんじゃないか、と思ってきまう
ボクの悪い癖
フィリーシャさんは多分いい人
いい人だから余計に気になる
一日だけで分かる
いい人すぎる
でも時にいい人は危険にもなる
気をつけなければならないかもな




