かいとう6
村の広場に行くと、仮装した子供たちで溢れていた。
顔にはお面を付けていて、誰が誰だか分からないようになっていた。
子供たちは村の中を駆け回り、それを大人たちが追いかけている。
かくれんぼもしているようで、隠れた子供を大人たちが探している様子もあった。
「これは、自分たちの子供や弟妹を探すイベントなのかな?」
「兄ちゃんたち、初めてかい? だったら、気をつけな。悪戯しかけてくるからな。じゃあな」
ヒナタの疑問に通りがかかりのおっちゃんが回答していくと、すぐさま立ち去って行った。
「悪戯か……よく分からんけど、ミヒメ、探さないとな」
「どうする? 二手に分かれて探す?」
「どっちが先にミヒメを見つけるか、勝負するか!」
「了解~、じゃ、また後で~」
ヒナタは颯爽と広場の中心へと駆けて行った。
「どうすっかな~。探すといっても、村の様子なんか見てないし、どこに何があるか分からんし。しかも、お面にフードも被って、みんな似たような恰好だぞ」
フウタは顎に手を当てて、ミヒメらしき姿を探していく。
「うわっ、何だコレ!?」
腰に衝撃を受けた。何が起きたのかと見てみると、腰の辺りが濡れていて、藍色に染まっていた。
「あんちゃん、そんなことで突っ立ってたら、当ててくれといってるもんだぞ。基本的には隠れるにしても、広場のすぐそばだから、遠くにはいないぞ。色水を当てるのは、身内以外は禁止だから、あんちゃんの妹か弟か? が近くにいたみたいだな。まあがんばれよ!」
「父ちゃん、離せ~。おれはまだ帰らない~」
「はいはい、今日はもう終わりだ。お前の負けだ、とっとと帰るぞ」
小脇に息子を抱えた父親らしき男性が、青色塗れで家へと帰っていった。
ヒントをもらったフウタは、色水を投げつけられた方向に駆けていく。すでに居ないだろうが痕跡はあるかもしれないと、付近を隈なく探していく。
辺りを見回すと、少し離れた上から、ポタポタと色水が落ちていくのが見えた。
落ちた色水を見ると、藍色だった。
木の上を見上げると――。
「ミヒメ――いた!」
「ヒメちゃん、見~つけた!」
フウタとヒナタ、同時にミヒメが木の上に登っているのを発見した。
ヒナタを見ると、胸と右太ももが藍色に染まっていた。
「ふうちゃ、ひーたん……おりれないよ~うぇっ」
ミヒメは木の上に登っているのを見つかり、降りようとするも降りられず、泣いていた。
木に登っている途中で、木の枝に引っ掛かったのか、お面は外れていた。
ローブもあちこち引っかけたようで、所々、生地が破けていた。
「どうしよう!? ボクたち、木に登ったら、確実に折れちゃうよね」
ヒナタの言う通り、若い木のようで幹が細く、枝も撓るだけで、掴んだら、ポキッと折れそうなくらいに心許ない。
「ミヒメ、兄ちゃんたちが受け止めるから、落ちろ!」
「むり~、こわいよ~」
「そうだよね~、怖いよね~。落ちろと言われても、厳しいよ」
「んじゃ、どうすれっていうんだ?」
「風を操って、引き寄せるみたいな? できないかな?」
ヒナタのヒントに、フウタはこれまでの家事スキルの応用で使えそうなものがないか思いを巡らす。
「あ~あっ! あの魔導鞄の、吸い込むみたいなのは?」
フウタはボウが倒した錫魔蜂たちを吸い込んで回収していった魔導鞄のことを思い出して閃いた。
「それ名案かも」
「オレが掃除機みたいに吸い寄せてみるから、ヒナタはミヒメを受け止めてくれ」
「分かった――ヒメちゃん、聞こえた~。フウタが掃除魔法でヒメちゃんを引き寄せるから、合図したらヒメちゃんは手を離してね。ボクが絶対に受け止めるから。ねっ!!」
「う~、わかった」
「3・2・1・手、離して――フウタ!!」
「わーってる」
ミヒメの手が木から離れたのを確認して、フウタは掃除魔法を展開した。
「きゃ~~~~っ!?」
最初から吸引力が強すぎたのか、ミヒメの身体は下へとぐわんと思いっきり引っ張られた。
慌てたフウタは落ち着きを取り戻して、掃除魔法の吸引力を調節していく。
落下の抵抗が抑えられたところで、衝撃もほとんどなくふわっとヒナタがミヒメを受け止めた。
「こわかったよ~、うわ~ん」
「ぐえっ!」
ミヒメは大泣きし、ヒナタの首に思いっきり抱き着いた。
「父ちゃん、ずるいよ~ひどいよ~おうぼうだよ~」
ニールも無事にボウに捕まえられていた。ただ、ボウの方は、ニール探知機で探し当てたようで、ニールは文句垂れ流しだった。それでも、最後は嬉しそうにしていた。
こうして、ミヒメとニールの怪盗ごっこは幕を閉じた。




